ダチのポケモン奪って高飛びした
すごく昔に書いたヤツが残ってたのでなんとなく公開しました
転校生だった僕は沖縄に移り住んだ。
当時は小学二年生と下の毛も生えてないお年頃だった為、あまり沖縄の思い出は少なく覚えている事と言えばクソデカゴキブリ君に遭遇し絶叫しながら夜に駆ける(た)事、ひめゆりの塔の売店でバイトをしていた母親からの現場で見た心霊現象(とても胡散臭い)の事、漫湖(まんこ)公園の名前を出した時に先生が苦笑いだった事ぐらいだったが何より思い出深いものと言えば僕がダチのポケモンを奪って高飛びした事だろう。
僕が当時仲良くしていた子で西郷隆盛に似ている太ったクソガキがおり、彼を西郷と呼ぶことにする。
余り社交的ではない僕は当時から家に引きこもりがちであった為、西郷と偶に(一ヶ月に一度)遊ぶ程度の仲であったが遊ぶ時はいつもポケモンで遊んでいた。
僕はレベリングという作業が苦手であった為ゲーム内での強敵であるシロナというキャラを倒せないでいた。対照的に西郷はちゃんとレベル上げをしていたのでレベル100のポケモンが何体も所持していた。
常日頃から楽をすることばかり考えていた僕はコイツから強いポケモンを貰ってさっさと攻略しようというカタルシスも糞もない方法を選択した。
しかしただポケモンをたかった所で貰えるはずが無いと踏んだ僕は条件を提示した。
当時、ポケモンの映画が放送間近でありその映画の特典でダークライという伝説のポケモンが手に入った。
僕は西郷に話を持ちかけた。
僕はその映画を見る予定だ。そこで手に入ったダークライを後ほど渡すから今先にその百レベルのポケモンと交換しないか、と。
カスの交渉をガキの頃思いついた僕って凄く賢いのでは?と僕は思っているがこの交渉のおかげで僕は将来ダークライを渡す権利と引き換えにレベル100のポケモン(ドダイトス)を手に入れた。
後は映画を見て交換するだけの簡単な作業。勝ったなガハハ、風呂入ってくるわ...とはいかず僕はミスを犯した。
僕は映画を観ることを忘れた。
気づいた時には映画は放送を終了しておりダークライは本当に伝説のポケモンになってしまった。
すぐにドダイトスを返してその場で謝れば解決した話かもしれないが当時の僕はその発想にならずとにかくミスを隠蔽する事のみに脳のリソースを割いていた。
そして僕のしわしわの緩み切った脳味噌は一つの結論にたどり着いた。
次の転勤まで西郷と遊ばなければいい、と
前述の通り僕は転勤族であり主に2年ペースで転勤をしていた。僕がポケモンを強奪(こうかん)したのは小学3年生の夏、そして沖縄に来たのは2年生。つまりあと半年彼からの追及を逃れれば僕は助かる。
それから僕は彼からとにかく距離を取った。元々月1で遊ぶ程度であった為すごく仲良しと言うわけではなかったがそれでも急に僕が冷たい、突き放すような態度を取り始めたのだ。彼には僕がどう見えていただろうか。
正直この辺りからあまり覚えてはいない。とにかく会わないようにし、特にポケモンの話題は学校で絶対に出さなかった事ぐらいしか覚えておらず次に覚えている時は僕が飛行機に乗って沖縄を脱出した時であった。
勿論彼からの貰ったドダイトスは今も大事にしている...わけなく僕はその後ポケモンのソフトをGEOに売った。
彼のドダイトスは未だ何処かのゲオで次のポケモンマスターを待っているかもしれないし、何処かの家庭でつよつよドダイトスとして活躍しているかもしれない。それかデータごと消されてる。
真相は誰も知らない...
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