女たちはいつも置き去りにする

一度だけ過ちを犯した。
その人は、僕のファンだと言った。
あなたのSNSに救われたと言った。
僕らは何度も語り合い、お互いの覚悟を決めて関係を持った。
そして、彼女は何も言わず僕の腕の中から消えた。

女たちはいつも男を置き去りにする。
自分たちは欲しいものを手にして、手にした途端姿を消す。
歓びにうち震えた残像だけを残して。
男たちは失い続ける。

帰りの電車の中、たまたまかけた曲に二人の想い出が甦る。
イヤホンをしたまま、寝床に入った。

僕には帰る場所があって、きっと秘密を抱えたまま、それを墓場まで持っていく。

女と男、どちらも裏切り、裏切られて生きていく。

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