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感染症

まさかの感染症に学校も仕事も生活も大打撃を受けてしまっている。短い期間で収束できるだろうと誰もが思ったけれど、すべては想像を超えて影響を受けてしまった。brog

当初は、目の前で起きている事、世界で起きていることを受け入れて、自分のできる範囲で対応することに必死だったように思う。

すぐに浮き彫になった困りごとはマスクの不足、人工呼吸器の不足、医療従事者の不足だった。自分自身、長い間モノ作りの世界で生きてきたので、勝手な想像をすれば、マスクと人工呼吸器については思うところもあった。

一番深刻で長く解決できていないと言われる医療従事者の不足については、自分の経験していない業界なので、課題解決の想像すらできていないが、一般人としてできる事は、かからない事、予防に努めることしかない。

さて、マスクや消毒の不足については、中国で先行して問題になっていたとはいえ、結果的にはすぐには手が打てなかったために日本でも世界でも課題となってしまった。そこで思い浮かんだのは、企業にストックされているマスクや消毒液であるが、国や自治体が要請を出して、企業がストックしているものをかき集めてもよかったのではないかと思う。

鳥インフル、新型インフルを経験してきた企業の中でも、BCP施策として従業員のためにマスクや消毒をストックしていた企業は多いと思う。朝の通勤時、昼の会社就業内、帰宅時を考えれば一人一日3枚は必要で、一週間から一ヶ月のストックを考慮すれば、一人の従業員に対して30枚入りの箱、もしくは50枚入りの箱を準備していたものと想定できる。すると日本全体に保管されていたマスクや消毒は、相当に膨大な量があったのではないだろうか。

ウィルスを会社に持ち込まない、家に持ち帰らないと考えれば一日3枚だが、一日一枚の使用で済めば、3倍のストック量になる。企業によっては、5倍、10倍のストック量があったことを考えれば、せめてその半分を拠出してもらうか、或いは国や自治体が買い取って、医療機関や施設、学校に配布しても良かったのではないかと考えてしまった。

また、コロナ収束後のことを考えれば、企業や学校に一定の保有をお願いして、分散備蓄を考慮しても良いのではないかと思う。国や自治体がマスクや消毒液を購入したり保管するには、どの範囲までを考えて備蓄するのか、一時的な支出額の確保や保管場所の問題も大きいことは明らかで、これを社会全体の問題として捉え、ある程度の規模の企業や団体、学校に分散備蓄の協力を求め、いざという時は保有量の半分の拠出、買取りを国や自治体が行い、これを条例等で定めるか、協定を結ぶことで日常の備えとしておく事はできないものだろうかと考える。

もう一つの人工呼吸器については、日本の大企業のフォローがもっとあっても良かったのではないかと思うところがある。人工呼吸器の製造メーカー、得意なメーカーは中小企業と言われるが、日常的に量産効果の得られるほどのニーズはなく、しかし技術ノウハウや特許が多い製品である事は想像ができる。市場フォローについても小回りの効く企業規模の中で専門性高く、ニッチな分野で運営されてきたことも理解できる部分である。

しかし、緊急事態のなか飛躍的にニーズが増大した時に、専門メーカーだけでは生産が追いつかない状況となれば、大企業との分担、連携は国がサポートをしながら進めるべきではなかったかと思われた。専門メーカーでは、製作も市場サポートも大変だった事が想像できるが、せめて大企業が製造の最初から8割を担い、製作の最終仕上げと調整、出荷検査、市場サービスは専門メーカーにといった分担ができたのではないだろうか。

ニッチな技術分野で積み上げてきた特許やノウハウは国の保証のもと、また、大企業の倫理感にも頼る形で、大企業が専門メーカーの下請けに回るべきだったのではいかと考える。大企業が気にするのは、プライドの他に、品質保証の部分でメーカーとして手を出すのであれば、自分たちの品質保証レベルは守らないと世の中に出せないと考えてしまう硬直した考え方が壁になってくるものと思う。

近年の大企業は基盤事業のほかに新規事業による事業拡大を唱えるところが多いが、ベンチャーのような開発スピードが得られない事が問題となり、なかなか進まない。市場価値と利益の関係、ノウハウの獲得なども問題となるが、内部的課題も多く、経営判断の質とスピード、社内各部門で持っているプライドや組織の壁、人事制度の壁が大きいのではないかと思う。人事制度については、話がそれるので別な問題とするが、量産製品で培ったこだわりの製造タクトやコスト意識、最終品質に求める高いレベルをの追求を拭いきれず、新規事業に踏み切れない、スピードが落ちるといったいった事が多いのではないかと感じる。

感染症で必要性の高まった製品のモノ作りに対しては、大企業には柔軟な対応を求め、専門メーカーの下請けに成り下がってでも緊急事態を乗り越える勇気を持っていただき、国や自治体には、大企業と専門メーカーの双方に不利益が出ないようなサポートや仕組み作りを行い、世の中に発信していっても良いのではないのだろうか。

brog

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