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食数の見込み

食数の管理は、通常、食堂業者さんにお任せで、総務で気にすることはないと思います。

売れ切れや売り残りは、食堂業者さんのリスクであって、それも含んで委託契約しているという考えがほとんどでしょう。

たしかに総務は食事提供のプロではないので、食数に口出しするのもおかしな話で、変に口出ししたがために食数がはずれて足りなくなったり、余ってしまったりしても責任が取れません。

しかし、総務が一方的に伝えるのではなく食堂業者さんと一緒に考えることはできますし、クライアント(委託側)として情報を伝えることは必要です。

私は製造業の社員食堂運営しか経験がありませんが、経験した2社での数字を少し並べてみたいと思います。

喫食率(%)=食数÷出勤者数×100とします。喫食率は食堂利用率と言っても良いと思います。

まず分母の出勤者数ですが、在籍社員数のうち、およそ10%はお休みもしくは外出となるため、90%の人が喫食率のベースとなる出勤者の人数になります。

この90%という数字は、異なる2社、異なる3箇所の事業所で、500人在籍でも1000人在籍でも5000人在籍でも変わらない割合でした。(あくまでも製造業での経験値です)

次に、出勤したひとのうち、何人が食堂を利用するのか、一日ごと若しくは月平均で先ほどの喫食率の計算をしてみます。

喫食率(利用率)は、会社の立地環境、食事代の補助の割合などに左右されますが、味やメニュー、イベント、混雑度合いや雰囲気でも変化し、食堂運営の改善点を探すための基礎データにもなります。

経験的には月平均50%を越えれば、まずまずといったところです。食堂業者さんの見込みではなく、あくまで総務経験者の数字として捉えてください。(食堂業者さんはもっと低めでも大丈夫ですとおっしゃると思います)

せっかく会社の中にある社員食堂ですから、喫食率が20%や30%では食堂設置面積分の家賃や厨房機器・人件費をつぎこんだ投資や運営経費からみても、非常にもったいないことになります。

私の経験した3箇所は、どこも都心からは離れた場所でかつ、周りに商店などもない環境でしたので、70%から80%の喫食率はありましたが、場所が都心の食堂であっても50%の喫食率は欲しいところです。

特に都心は家賃も高いですし、喫食率50%から60%の目標はもって、なんらかの仕掛けや工夫をしながら、会社の資産を有効に活用したいところです。

さて、長期連休前後や飛び石連休の時の喫食数は、当然ですが見込み食数は下がります。では、どの程度変化したのか、こちらも製造業の一例として紹介します。

連休といってもいろいろなパターンがありますが、連休の真ん中の日など、普段の半分も食堂利用者がいないのではないかと想像してしまいます。

しかし意外にも、喫食率が50%を割ったことはありませんでした。悪いときでも60%、連休の合間や前後であっても休む人が少ない時は、80%から90%にもなり、普段と変わらない喫食数になることもありました。

会社としても有給休暇取得奨励をしているのですが、皆さん真面目に出勤してしまうところが日本人っぽいなぁと、食数データーを見ながら感じていました。

つぎに見込み数を減らす時に、どのように食事の数量を調整するかですが、満遍なくどのメニューも一律に減らす方法と、メニューを限定してしまう方法があります。

メニューを減らす方法は、食べる側というより、食事を作って提供する側の食堂業者さんに向けた対策になります。食堂従業員の方が交代で効率よく休めるようにするためには、メニューの絞り込みは大変有効です。

そして連休だけではなく、食堂利用者がイレギュラーに減ったり増えたりする場合には、食堂業者さんと総務で連携する必要があります。

会社の中の部署が、まとまって外部の施設へ出かけて行ったりすると、一時的に食数は減ってしまい、研修や新入社員の増加などで一時的とはいえ急激に食堂利用人数が増えると、売り切れが多くなり、みんなに迷惑がかかってしまいます。

一般に平均的な出数(食数)の一割の変動は一時的に吸収できるけど、それを超えると売り切れになったり、長蛇の列で待ち時間が長くなる、着席できないなどの問題になってきます。

これは、材料の保有数量だけではなく、厨房機器の能力や食堂従業員人数などによる提供スピードの限界、座席数の制約があるからです。

会社内のさまざまな部門のイベントをいち早く察知して情報を入手し、食堂業者さんと共有することは、総務にしかできないことです。また、食堂業者さんと総務でムダを少なくし、廃棄する食材を減らすことは、環境への貢献になります。

食数や喫食率のデータは、社内の活動と連動しています。さらに、常に動向を見ていると、そのデーターを有効に活用して社員食堂の改善点を見つけることもできるのです。

コストをかけずにメニューの改善はできないか、イベントメニューを提供してもらったけど結果はどうだったのか、混雑を回避するための動線の改善や昼食時間のローテーション変更による効果はあったのかといった確認もできるようになります。

何より、食堂業者さんにとっても、総務にとっても、喫食率・利用率が上がることは、「やりがい」につながります。

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