〈5〉社員ニーズを引き出すための準備

総務に協力的な人に協力を頼む

社員全員を巻き込むと、文句言う声の大きな人が出てきます。
その人の意見が〝みんなの意見″になってしまうと収拾がつかなくなることが多いので、少人数に絞り込んでしまおう。
そして、普段から総務に協力的な人に協力をお願いしようと、総務の中から意見がでました。

総務に協力的な人とは?どんな人でしょう。どうして協力的なんだろうか?と疑問がわいてきます。

私が総務に入る前のことですが、私自身総務の部屋が会社のどこにあるのかも知らず、総務の誰かと話しをしたことすらありませんでした。特に用事もなかったですし、文句も、伝えたいこともなかったからです。

総務に協力的な人とは、実は私とは正反対に普段から困りごとを相談したり、意見や要望を直接総務に伝えている人でした。

自分から総務と接触をはかり、やり取りをしながら、一緒に解決の糸口を見つけたり、落とし所を決めたりする人だったのです。

もちろん総務メンバーと同期だったり仕事のつながりのある庶務や管理の方々など古くからつながりのある人は、はじめから協力的な人も多いのですが、そういう人たちも総務には結構ズバッと厳しい言葉を投げかけてくる人が多い気がします。

結果として、ハッキリものも言うけど、あとは総務で考えろと投げてしまう人ではなく、一緒に考えて解決してくれる人が、総務に協力的な人でした。

もっと良く言えば、社員を代表して、会社を良くしようと総務に働きかけてくる人達だったのです。

給食委員会や食堂委員会などの小グループがすでにあるならば、その方々に協力をしてもらうのが良いと思いますが、なければ、数名の方に社員代表として協力して欲しいと根回しをする必要があります。


知識をつけて他社見学の準備

10名程度の社員代表者を決めたら、今回新たに社員食堂を作ることになった経緯や、現在の社員食堂の運営状況について簡単に説明をします。

我が社の社員食堂の歴史や変遷について説明すると、みなさん懐かしく興味をもって聞いてくれたりします。(いまは実施しなくなった、家族会、クリスマス会、年末年始のイベント、お酒も飲めたことなど)

少し興味がわいたところで、いまの食堂について良いところや悪いところなど、少し話してもらうと、味や値段だけではなく意外と面白い視点の意見が出ました。

昔の食堂との比較、入口の混雑から始まって、人気のある席・不人気な席、売り切れが出た時の対応の仕方、皿やトレーの大きさ、調味料の種類や置いてある場所など、食堂に常設のアンケート用紙には書かれないことが、次から次へとたくさん出てきます。さすが協力的な人たち・・です。

もちろん良いところも話にあがり、あのメニューは美味しかったので定番メニューとして毎週出して欲しいとか、顔見知りでよく話すようになった食堂のおばちゃんのことなど、みなさん、社食にはすごく興味があって普段からいろいろなアイデアや考えを持っていることがわかりました。

細かいことは個人的にメモっておくことにして、「新しい食堂はどんな社員食堂にしたいか」を聞いてみることにします。しかし、突然の漠然とした質問に皆さん黙りこんでしまいました。

「味も特に問題ない」、「今のままで良いのでは。」「ボソボソ。。もごもご」

食堂業者さんの再選定という目的も知ったあとで、どんな社食にしたいかと聞かれるので、いまの食堂業者さんに作ってもらっている食事の味にも慣れているし、感謝もしているので、リニューアルで業者さんの入れ替えなんてやらなくて良いのでは? 入れ替えないで! といった話も出てきます。みなさんとても優しいのです。

ここで改めて、食堂業者さん作成の提案書をみてもらうことにしました。見せなくて良いところは除きますが、短時間で印象に残るようなメニューの写真などを中心にみてもらいます。

やはり人は比べるものを見せられると少し欲が出てくるようで、もしかしたら、食事も食堂も少し変わっても良いのかもと思いはじめるようです。

その後は、他社の社員食堂を見学してきた話や、メディアに取り上げられる社食の話、世の中の福利厚生の仕組みの変化などの話を重ねていきます。

すると、さらに興味が出てくるのがわかりましたので、「皆さんもほかの会社の社員食堂って見てみたいですよね!」

「食堂見学と試食会に行きませんか!」と持ち掛けて、みんなに他社を知ってもらう段取りをつけます。

あとは、食堂業者さんに協力してもらって、スケジュール調整をしてどんどん進めていけば良いわけです。

他社の食堂見学会では、総務の担当者はホスト側にまわって、社員代表者の発言をメモって、行動を観察し、ときには質問などもぶつけながら、数か所ほどの他社の社員食堂を見てまわりました。

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