〈7〉食堂コンペ

笑顔になる社員食堂は楽しくて居心地の良い食堂

社員代表者に協力してもらって得たものは大きく、どんな食堂を作りたいか方向性もハッキリとしてきました。淡々と食事をして、次の人に席を譲って、次の人も黙々と食事をする。そんな社食ではなく、楽しくて居心地のいい食堂が必要なのです。

話は少しそれますが、私が技術者だったころ、派遣社員の多くの方々と仕事をしていました。実験を手伝ってくれる人、データーを整理してくれる人、図面を描いてくれる人など、自分の席がある人もいるのですが、決まった自席(机と椅子)のない人もいました。

自席のない派遣社員の方が、汚れた実験室の片隅でお弁当やパンを食べている姿をよく目にしていました。

当時から食堂にお弁当の持ち込みはOKでしたが、何回かに分けて鳴るチャイムとともに次のグループの人達が押し寄せる社食だったので、お弁当やパンを持ち込むことが多かった派遣社員の方には利用しにくい食堂だったのではないかと思います。

せっかく私が社員食堂を作る担当になったのですから、自席のない方もお弁当を持ち込んでゆっくりと食事ができて、食事をとったあとの休み時間のあいだも、ゆっくり休息のできるそんな食堂にしたいと考えました。

食堂の立ち上げを考えはじめたばかりの頃には思いもつかなかったことでしたが、いろいろな刺激を受けながら、考え続けてきたことによって見えてきたものだと思います。


7社へのコンペ参加依頼と要件書の作成

コンペには既存の社員食堂をお願いしている業者さんを含めて、7社に参加していただきました。

新たに作る社員食堂の食数が昼食だけでも2000食でしたので、大手3社と中堅4社への依頼になりましたが、食数が少なければ地元の給食業者さんにもお願いしたいところではありました。

ちなみに、社員食堂をお願いできる最低の食数はどの程度なんでしょうかと伺ってみたところ、大手の給食業者さんでも50食以上あれば、営業で売り込みに行きますよとの返事でした。

さて、コンペにあたって要件をお伝えするのですが、私が一番伝えたかったのは、これから食堂を利用する社員のことでした。

我が社がどんな企業で、その中でもどのような職種の人が多く働いている事業所なのか、年齢層や男女比率、就業時間帯や残業時間と残業者人数、休日出勤人数から通勤形態、事業所の立地環境まで、社食を利用する社員の“生態”のような部分を伝えたかったのです。

これから食堂で食事を作ってもらう食堂業者の方々にも、その食事をいただく社員のことを知ってもらうのが一番大切だと思ったからです。

そして、次のような社員食堂のコンセプトも掲げ要件書に記載しています。

「美味しく楽しく食事ができて、食事の後も楽しめる社員食堂」

「美味しく楽しい食事ができる」ために、過去に得た社員アンケートの結果をそのままお伝えしました。

・温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べたい
・メニューは種類が豊富な方が良い
・お皿や盛り付けで味が変わる
・接客の仕方で美味しさが変わる

「食事の後も楽しめる社員食堂」は、食堂業者さんも本業から外れているテーマで大変苦労されるだろうとは思いましたが、自由な提案に期待をしました。

要件書を渡してから一ヶ月後、各社にそれぞれプレゼンの場をもうけて披露していただくことにして、その間に7社の企業調査と評価表の準備に時間を費やしました。

各社の会社規模、売上げ、弊社他事業所における実績や社内ヒアリング、他社実績や規模、直近の食中毒等事故履歴とその対応などで、一部は報告書としても記載しましたが、主に私から役員説明時の手持ち資料としての準備になりました。

評価表は、要件に対する提案内容、実現性の度合い、コストはもちろんですが、プレゼン時の対応や熱意、質問に対する返答などもしっかりと評価対象にさせていただきました。

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