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デザイン論

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デザイナーとして生きていく矜持を培うために学んだこと、考えたこと。
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#実存主義

美的デザイン&倫理的デザインの先へ。 #317

前回の記事では、Spirituality Designという用語を紹介しながら、「なぜ生きるのか?」という問いに向き合う実存的なデザインについて考えてみた。 今回はこの実存主義的デザインと従来のデザインとの関係性を整理してみる。参考にするのは、キルケゴールの実存の三段階だ。 キルケゴールの実存の三段階キルケゴールは、実存には美的、倫理的、宗教的の三段階があると提案した。専門家ではないので解説は控えるが、ブリタニカ国際大百科事典小項目事典を参照すると、以下のような説明がなさ

生きる意味をデザインできるのか? #316

Spirituality Designとの出会い『システミックデザインの実践』の共著者であるクリステル・ファン・アール氏が、「システミックデザインの次にはSpirituality Designが来るだろう」と話していた。ここでのスピリチュアルは、非科学的な現象というような意味ではない。「sense in life」や他者や自然とのつながりという文脈で話していたことから、ここでのspiritualityは「生きがい」や「生きる理由・意味・意義」というニュアンスだろう。 spi

デザイン×哲学=? #104

 デザインを学ぶ私がいま最も興味があるのは哲学です。というのも「哲学なきデザインは無意味である」ということを学んだからです。厳密にはここでの哲学の意味は「自分なりの価値観」ですが、いわゆる哲学を学ぶことは価値観の形成に役立ちます。哲学を学ぶ中で出会ったのが、構造主義と実存主義の2つ。哲学を学ぶ中でデザインや生き方について考えたことをつらつらと書いてみます。 構造主義的ニヒリズム構造主義とは、「人間は構造によって規定されている」という考え方です。言語学者のソシュールが「言語に