うんちチェックがもたらす未来
「トイレ」を通して社会をより良い方向へ変えていくことをコンセプトにしているNPO法人日本トイレ研究所を運営している加藤と申します。記事の更新がかなり久しぶりになってしまいました。。
今回は、日本初、いやいやおそらく世界初となる「うんちweek」について書きます。
「うんちweek」って何なの?と思うかもしれませんが、かなり真面目な取り組みですので、ぜひお付き合いください。
最近は自動で流れてしまうトイレも多いので、気を抜いているとあっという間に流されて跡形もありません。本当にうんちしたのかしら、と思うほどです。
ですが、それではマズイと思います。うんちを観ないなんて、人生を棒に振るようなものです。なぜなら、うんちは体からのお便りだからです。
どういうことかを説明しますね。
大雑把に言うと、食べたものは胃でドロドロにして、小腸と大腸で栄養と水分を体内に吸収するわけですが、この一連の過程を経て、不要なものがうんちになります。必要なものをしっかり体に吸収して、不要なものを上手に出すことが必要となります。
必要なものを吸収できなければ栄養不足になるし、不要なものを上手く出せずに体内にとどめてしまえば具合が悪くなります。そりゃそうですよね。
吸収と排泄が上手くいっているかどうかを目に見える形で示してくれるのが「うんち」なのです。いいうんちが出れば「体が上手く機能しているよ」ということですし、いいうんちが出なければ、「体のどこかが上手くいっていないよ」ということです。
ちなみに、うんちの形状に関する7分類(ブリストル便形状スケール)というのがあって、簡易的にはそれで判断するのがおすすめです。7分類の特徴については、こちらを参考にしてください。
ところで、腸内細菌叢という言葉を聞いたことはありませんか? 腸内に棲んでいる細菌の集まりのことで、約1000種類、約40兆個もいるといわれています。この細菌たちは、様々な役割を担っています。たとえば、私たちの免疫に重要な役割を果たしています。日頃、腸内細菌が私たちの体を刺激しながら免疫を発達させ、いざ、本当に悪い菌やウイルスが入ってきたときに攻撃する準備をしてくれているのです。
これって、ものすごく重要なことだと思います。
詳しくは、以下の福田真嗣(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授/株式会社メタジェン代表取締役社長CEO)さんの記事を読んでみてください。
そうであれば、免疫を高めるためにも、腸内細菌叢をよりよい状態に保ちたいと思いますよね。自分の腸内細菌叢の状態が良いか悪いかをおおまかに判断する方法があります。
そうです、うんちの状態から推測できるのです。先ほどのイラストでいうと、真ん中の「なめらかバナナうんち」がよいということになります。
あと、うんちをチェックすることは大腸がんの発見にも寄与します。これは何となくわかりますよね。
健康診断で検便をやる理由の一つがこれです。大腸にがんができると、そこをうんちが通るときにがんとこすれるので、うんちに血がつきます。そこで、うんちに血がついているかどうかを調べようという検査が検便です。検便の説明書には、うんちの表面を専用の棒でこするようにしてください、というようなことが書いてあるのは、そのためです。
ということで、栄養を上手く吸収できているか、腸内細菌の状態が良好か、また大腸がんになっていないかどうかなど、体の状態を教えてくれるのが「うんち」なのです。
悪いうんちが出る、もしくはうんちが出ないというのは、どこかが上手くいっていないということなので、生活を見直すことが必要です。排便には、食や運動、睡眠、ストレスなどが影響するので、一つひとつを自分で調整する必要があります。そうすることで、日頃から体を整えることが出来ます。うんちを観ないということは、点検をしていない乗り物で走っているようなものです。大きな事故につながるかもしれません。冒頭で「うんちを観ないなんて、人生を棒に振るようなもの」と言ったのは、こういう意味です。
ですが、私たちは食べ物には気をつけても、うんちについては無関心で、うんちを観る習慣がありません。それを変えるきっかけをつくりたいと思い、取り組み始めたのが「うんちweek」です。
11月10日(いいトイレの日)~11月19日(世界トイレの日)を「うんちweek」として、うんちを観ることの大切さを呼び掛けています。
(うんちの7分類の指標や排便、栄養、腸内細菌など、様々な記事があります。)
そんな中、市町村や教育委員会、校長先生や養護教諭などにお願いしたところ、全国の1万人を超える小学生が10日間のうんちチェックに取り組んでくれることになり、現在、実践中です。子どものころにうんちを観る習慣が身につけば、これは一生ものです。
この取り組みは子どもだけでなく、大人も実践中です。排便記録アプリ「ウンログ」ユーザーの記録が、日々公開されているのですが、11月16日の時点で総うんち記録回数が36万回を突破しています。簡単に言うと、36万回うんちを観た、というデータです。私はこれを36万UV(うんちビュー)ということにします。笑
大人も子どもも、おじいちゃんやおばあちゃんも、みんなでうんちチェックに取り組んでもらえたらうれしいです。
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