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UNRIVALED00

1.ピュアグラップリングイベントへの夜明け

遡ること昨年11月27日、時短営業要請を無視した世田谷区内のカフェに複数の男が集まった。
リバーサルジム横浜GROUNSLAM代表の勝村周一朗から切り出し『来月27日にゴールドジムを押さえているので、そこでイベントをやりたい。』と。
この時点で期日まで1ヶ月ちょうど。
通常のイベントであれば告知物の制作はおろか、メディアへのプレスリリース、マッチメイクはほぼ決まり、大会へのプロモーションも大詰めとなるタイミングだ。
予定していたイベントが流れ、せっかく押さえていたゴールドジムも、そのままだと料金だけを徴収されるばかりなのでもったいないと。
そこでグラップリングのマッチメイクを中心としたイベントを開催したいとの提案だったのだ。
ミーティングに同席していた柔術ジムIGLOO代表斉藤氏はそれを快諾。
同じく同席していた作家高澤氏(伝説的雑誌ATAQUE出身)も交え、制作物の洗い出し、役割分担を策定するまで深夜に至る。
この時点で大会名すら未だ決まっていなかった。

2.ルール設定

常々『日本でMETMORISのようなスタイリッシュなイベントをやりたい』と謳う斉藤は兼ねてから各種グラップリングイベントのルールを研究していた。
ADCC、KASAI、WNO、EBI、修斗グラップリング、キャッチレスリング、グラップラーズリーグに至るまで。
また日本に於ける寝技競技人口の少なさ、コロナ禍に於ける外国人選手招聘の困難さ、一般視聴者にとって分かりづらく退屈と感じる寝技競技の問題点を、ルールを改定することで刷新しようと模索していた。

『引き込み-2ポイント』
イベント名すらまだ決まらない状況下で、まず初めに決定したのがポイント制。
そして引き込みにはマイナスポイントが付与されるということ。
選手の戦績に【引分け】が残らないようマスト判定を採用したかったのだが、主流だったEBIルールには疑問があった。
試合開始からオーバータイムを狙う選手や、本戦の試合内容を無視し、勝敗が決することもあるからだ。
ボクシングのようにラウンド制にし、ジャッジがポイント裁定をするという案もあったが、あくまでサブミッション決着を目指すという点からも10分1Rのみの設定となった。
これまでグラップリングイベントと言えば、参加者は柔術家あがりがほとんどだったが、アマレスや柔道家が参戦しやすいようなルール設定も急務だった。
立技のスリリングな展開にフォーカスし、一般視聴者にとっての分かりやすさを重視したかった。
ルールの設定については日本グラップリング界の第一人者である岩本健汰が加わり、他にもエスケープポイントや抱き上げなど、当時の一般的なグラップリングルールとは一線を画したルール設定が構築されていくのであった。

3.幻の岩本健汰xジオ・マルティネス戦

水面下で決定していた岩本健汰xジオ・マルティネス戦。
ジオのギャラ交渉もまとまり、これからというタイミングでコロナ禍で棚上げになり、行き場を無くしたイベント。
12/27にぽっかりと空いたイベントスペース。
互いの利害が合致し、急転直下、ほとんど準備期間もないままスタートしたグラップリング大会。
イベント名は【無敵】【比類なき】といった意味を持つ『UNRIVALED』に決定。
少々長いのでは、という批判もあったが、これまでの格闘技イベントと差別化を図るという意図もあり、UNRIVALEDアンライバルドとしたのだった。
そう、UNRIVALEDは岩本xジオ戦がルーツだったとも言えるのだ。

4.UNRIVALED 00

webサイト作成からルール設定、当日の人員配置からマッチメイクに至るまで、僅か1ヶ月の間に急ピッチで準備を進めていった。

出場選手からの理解

制作チームの奮闘

各メディアやボランティアスタッフの協力もあり、MMA数試合を含むグラップリングイベントとして開催するに至った。
アグレッシブでスリリングな試合展開が続き、
閉鎖的、内向的、消極的、非格闘技的とも言える日本の組技競技界に風穴を穿つべく、UNRIVALEDはスタートしたのだった。