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【ゲーム攻略&創作日記】もののあはれは彩の頃。_感想_非実在女子大生の美少女ゲーム攻略&創作日記Vol.0012

青年・東雲暁は、目覚めると紅葉の舞う河原に立っていた。
なぜここにいるのか、どう進めべきなのか、なにも覚えていないままで。
ただわかるのは、目の前にサイコロが浮いているという状況だけ。
「さあ、賽を振りなよ」
まず、そうしないことには始まらない――
謎の女・クナドにそう促され、彼は与えられた賽を振る。
「――ここは」
すると、彼が目にしていた景色はガラリと変わった。
風流な自然もどこへやら、彼が立っていたのは京の歓楽街・秋の祇園――
「四条通……」
思わず口をついてしまうほど、どこか郷愁を覚えるその景観。
ただし普段は賑わい豊かなこの繁華街も、今は嘘のように静まり返っている。
「五マス目――残念ながら、一回休み」
天より響くクナドの声。
彼は、ようやくこの世界の理を知る。
「双六だ」
賽を振ると、マス目を進むことができる。
賽を振ると、あがりを目指すことができる。
そして、同様に覇を競う相手もいるということに。
「あんたは敵だ。あまり馴れ馴れしくするな」
制服に身を包んだ少女、野々宮京楓は冷酷に暁を敵とみなした。
彼女だけではない。双六ならば、勝者となるのは一人だけ。
「勝ってみせる。俺よりラッキーな奴はいない」
己こそが天に祝福されし運命の持ち主であると、信じて疑わないのが彼の誇り。
青年は持ち前の幸運を武器に、あがりを目指して賽を振る。

もののあはれは彩の頃。
http://quincesoft.jp/product/sainokoro/story/index.html

冬茜トムさんがシナリオを務めた「もののあはれは彩の頃。」。
面白いと噂のライターさんで、担当作品をプレイするのは初めてだったが本当に面白かった。
以下、ネタバレありで感想を書いていく。

双六、オセロ、陣取りゲームといったボードゲームを軸としたシナリオ。
人狼もあったかな。
双六などをテーマにした美少女ゲームは今までプレイしたことがなかったので新鮮だった。
こんな複雑に進行するシナリオを、よく整合性を保って書けるなあ。
サイコロで出る目は基本固定なので、好きなマス目に飛んでアレコレするというよりは、元から決まったルートを進行していく。
双六本来のランダム性はないけど、十分に楽しめた。
そもそも私はボードゲームが苦手なので、それぞれの駒が最適解で動いているのかは全く分からなかった。
その分、「こうは動かないだろ」というストレスを感じずに楽しめたので、ボードゲームに詳しい方は、そこら辺を深く考えない方が良いかも。
なお、たまにプレイヤー自身がサイコロの目を操作できるが、そこが他のゲームで言う選択肢に該当する。(私はその仕組みが分かっておらず、ネットで調べて初めて理解できた)

騙されてたポイントも多かったなあ。
チャットのハンドルネーム、ラッキー7さんが主人公だと思って読んでたし、猫だから特定の色に囚われないっていう仕掛けも意外性があって良かった。

あと、敵役のカラスがかっこよかった。
関西弁のイントネーションが胡散臭くて最高。
最後まで芯のある悪役は「もう出てこないでくれ!」と思うと同時に、「もう一度戦いたい!」という気持ちを掻き立ててもくれる。
もっと彼の内面を掘り下げてくれても面白くなったように思う。
それぐらい魅力的だった。

もう一人の敵役、縁もカラスとは別方向で強くて怖かった。
出会ったら最後、こちらが死ぬまで攻撃を仕掛けてくるという役回りがとても似合っていた。
みさきでも止めることができなかった縁を、大誠が受け止めてあげるという展開もロマンチックで強く印象に残る。
大誠にべた惚れになる展開もむべなるかな。

私のお気に入りはクレアルート。
この世界の秘密に近付けたし、ゲームのルールに則ってカラスを倒したのもアツかった。
あのハメ技のような展開にまで持ち込んだの、本当に凄い。
カラスを除く全員が盤面を上がるトゥルールートのハッピーエンドも私の好み。
ご都合主義だと言われても、やっぱり全員が救われるラストはプレイしてて気持ち良い。

そして、このゲームのテーマは「縁」。
家に引き籠もってばかりの私にも、たまには外に出てみるかと思わせてくれたゲームでもある……。
縁、作っていかないとね……。


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