見出し画像

Society 5.0って、本当に経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会な の?

今日(2022/04/24)は大畑が理事をしている一般社団法人・人財育成ファームの勉強会に、みらい廃棄物研究所・所長の齋藤様をお招きして「Society5.0」について学び、これから伸びる職種=AIやシステムに置き換えられない、人から頼りにされる仕事とは何だろう?というテーマで、参加者全員でワイワイ、ガヤガヤと自由に議論をしました。 

内閣府のHPには「Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と見出しがあり、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱され
たとPR?されてます。

画像1

そしてSociety 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります…と明記されています。

画像2

本当に貧富の格差が克服され、年齢や障害による労働や行動範囲の制約を解き放つ技術が普及するのか・・・疑えばキリは無いのですが、少なくても内閣府(日本政府)がそんな明るい未来に向かって日本を進めるつもりであるなら、そこに異論反論はありません。

一方、経団連のHP(Society 5.0  -ともに創造する未来- | Policy(提言・報告書) | 一般社団法人 日本経済団体連合会 / Keidanren)には、これまで「超スマート社会」とされてきたSociety 5.0を「創造社会」と呼称することを提唱。Society 5.0で目指すべき人間中心の社会では、利便性や効率性の実現を主目的とするのではなく、デジタル技術・データを使いながら、人間が人ならではの多様な想像力や創造力を発揮して、社会を共に創造していくことが重要であると考えています。Society 5.0とは、創造社会であり、「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」との提言があります。

画像3

過去の産業革命では、新たに勃興する新産業に対して衰退する産業があり、衰退する産業で働く人々は新たな産業に乗り移らないと時代に取り残される・・・ということが繰り返されており、新たな産業に乗り移れない人や敢えて乗り移らない人のことを振り返るより、発展・進化してきた表舞台の移り変わりを注目する傾向があります。

しかし工業化が進む中で農林水産業(第1次産業)に携わってきた人、情報・IT化(第3次産業)が進む中で製造ラインの品質向上や効率化(第2次産業)に努めてきた人、そしてSociety 5.0の時代に農林水産業(第1次産業)に新規就業する人が少しずつ増えている・・・元々、第1次産業で就業していた人の全体数は時の流れと共にずっと減少中ですが、それでも今この時代に農業を新たな仕事とする人が増えていることを、今日の講師・齋藤さんは「第4次産業、第5次産業と時代が進むけれど、今でも元の第1次産業がゼロになっている訳では無い。つまり、産業の進化は掛け算であり、第1次産業がゼロになってしまうと、ゼロに何を掛けてもゼロにしかならない以上、どんなに産業が進化しても第1次産業がゼロにはならない」という説明もされていました。

人財業界でも、大手企業にはAIによる適性診断とか最適なマッチングをAIが提案するサービスをPRしているところがあります。でも、どんなにAI(人工知能)が賢くなっても、そのAIにインプットする個人データ(学歴、職歴、経験、スキル、資格など)を提供できない人=自分の履歴書・職務経歴書をWEBに登録したり、PCで作成することが出来ない人の適性診断やマッチングが上手くできるとは思えません。個人情報をWEBやPCで入力・操作できる人には最新のサービスが提供されるけど、そういうデジタル対応が出来ない人はサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステム=Society 5.0のシステムを利用することができるのでしょうか?

その答えがYESであれば良いのですが、2022年の今はデジタル化に対応できない人に優しい社会とは思えません。だからアンプティパは、人と会って話すことを大事にしたいと常に思っています。煩雑で、手間が掛かり、大変な仕事が機械化、IT化で便利になる面もありますが、便利で効率の良いことを追求するだけでなく、手間が掛かっても、時間を多く使っても、コツコツと一歩ずつ前進することに喜びを感じることも、こんな時代だからこそ大事にしたいと改めて感じた勉強会でした。

問い合わせ

無料登録


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?