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今後の障害者雇用率の設定について

先日、厚生労働省行われた第123回労働政策審議会障害者雇用分科会で、令和5年度からの障害者雇用率の設定等について決まったことが公表されました。

そもそも障害者法定雇用率がどのように決められているかというと、障害者雇用促進法に基づき、労働者(失業者を含む)に対する対象障害者である労働者(失業者を含む)の割合を基準とし、少なくとも5年毎に、その割合の推移を勘案して設定することとされています。2023年1月現在の雇用率は、2018年(平成30年)4月からの雇用率として設定されており、2023年度(令和5年度)から新たな雇用率を設定する必要があることは決定事項でした。

そして、今回公表された新たな雇用率は、「令和5年度からの障害者雇用率は、2.7%とする。ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3%で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする。」とのことです。 https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001039344.pdf

5年毎に障害者法定雇用率が見直しされることは決まっていたことであり、2018年4月から民間2.2%(ただし3年以内に2.3%とする)が決まった時に、次は2023年4月に最低でも2.5%になるだろうと予測していたのですが、実質的に1年先送りされた形となりました。

なぜ1年先送りにされたのか?理由は説明されていませんが、おそらく2020年以降のコロナ禍と昨年(2022年)からの急激な円安による輸入原材料の高騰などで企業側から採用を増やすことに抵抗があったと推測できます。

障害者雇用分科会で企業側の代表は、「使用者代表」として富士通、日立製作所、経団連、商工会議所と愛知県の中小企業団体からそれぞれ1名ずつ計5名が参加しています。これら企業側代表の顔ぶれを見る限り、中小企業よりも上場・大企業の声が大きいように見受けられますが、法定雇用率の達成企業数が多い上場・大企業でも今年・2023年の4月から法定雇用率が引き上げられることは困るということなのでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001039341.pd

法定雇用率の引き上げが1年先送りになりましたが、おそらく全国のハローワークで法定雇用率未達成企業への指導が、特に中小企業への指導と支援がこれから増えると思われます。とは言え、景気が回復していない上に、原材料の高騰などで如何にコストカットをするか?リストラをするか?と悩む中小企業が多い中では、そうそう障害者雇用が増えることは無いので、ハローワークの注意指導で仕方なく求人票は作って出すことはしても、今年は本気で採用・雇用する意思は無い=応募者が全て不採用になる、という事態が多くなることも予想されます。

そうは言っても どんなに景気が悪くても優良企業は存在しまうすし、来年の法定雇用率UPへの対応を他社が採用を控えている今年のうちに行い、優秀な人財を確保しようとする会社が非公開求人で内々に採用を進めることも今年は増えると思います。良い会社・良い求人は目立たないものでうが、少ないけど必ずあります。そんな会社・求人、一緒に探しましょう!

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