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身体障害者の雇用数は増えず、短時間・障害者雇用が増加する未

厚生労働省より12月22日に発表された「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業の障害者雇用数&実雇用率ともに過去最高とのことです。
・雇用障害者数は 64万2,178.0人(対前年差2万8,220.0人増加、対前年比 4.6%増加)
・実雇用率 2.33%(対前年比 0.08ポイント上昇)
・法定雇用率達成企業の割合は 50.1%(対前年比 1.8ポイント上昇)

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001180701.pdf

国や都道府県など行政機関に雇用されている約8.6万人の障害者と合わせると約73万人弱の障害者が雇用されているという集計結果です。そして、初めて民間企業の実雇用率(2.33%)が法定雇用率(2.3%)を上回ったことも過去に無いことです。

しかし身体障害者の雇用数は、2021年35.9万人から2022年は35.8万人に初めて減少し、2023年は36.0万人とほぼ横ばいの状態が続いています。代わりに実雇用率と雇用数を伸ばしているのが精神と知的の障害者です。特に精神の方々の増加率が著しいのですが、全体を見ると精神の方々の合計数は未だ知的の方々の総数より少ない上に、2018年以降は精神障害で短時間勤務の方々を0.5ではなく1.0と計算しているので、雇用カウントではなく実際に雇用されている人の実数でみると未だ精神の方々の雇用数は少ないです。

そして、2018年に始まった精神障害で短時間勤務の方々を0.5ではなく1.0と計算する特別ルールは、当初は5年間の予定でしたがルールの期限である2023年4月に、「当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして計算する」と特別ルールの延長が決まりました。さらに、2024年4月以降は週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになります。

雇用保険に入れない人=週20時間未満でないと働けない人は、障害雇用にカウントされなかった時代は終わり、週に10時間の短い勤務でも障害者雇用(0.5)にカウントされることで、長い時間働くことが困難な障害者に雇用の機会が増えることは良いことですが、最低賃金で週10時間(月間40時間)の雇用でも障害者雇用カウントになるのはラッキーと思う企業も多いことと思います。東京の現在の最低賃金1,113円で計算すると、1,113円×40時間/月=月給44,520円×12か月=年収534,240円です。

精神3級の方を2名ほど最低賃金で週10時間の雇用契約を締結すれば、年間106万円と少しの給与支払い(一人あたり年収53万円と少し)で障害者雇用は1.0カウントできる訳です。フルタイムで働く障害者を年収200万、300万、400万と支払って雇用しても、軽度の身体や知的の障害者や、フルタイムで働きたいけどダブルカウントのルールが無い精神障害者は、1.0しかカウントされないから、障害者雇用を安く、多く実施しないといけない企業の中には障害者雇用はフルタイムでは実施しない、とする会社も出てくるでしょう。

身体障害者の雇用数が増えない理由はハッキリと言えませんが、この2,3年は統計上の事実として明確です。一方、短時間の障害者雇用が増えるのは厚生労働省が、そうなるようにルールを作っていることから明確です。でも、フルタイム勤務を希望する障害者が多数いることは未来でも同じです。だからこそ、企業の多くが短時間=パート求人を顕在化するならば、アンプティパは潜在的なフルタイム採用ニーズを持つ隠れた優良企業を探します。2024年・今年も宜しくお願い申し上げます。

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