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障害者雇用代行ビジネスの将来


障害者総合支援法改正案の付帯決議
(令和4年1 2月8日参議院厚生労働委員会)

この12番目に「障害者雇用率制度における除外率制度の廃止に向けた取組を行うほか、事業主が、単に雇用率の達成のみを目的として雇用主に代わって障害者に職場や業務を提供するいわゆる障害者雇用代行ビジネスを利用することがないよう、事業主への周知、指導等の措置を検討すること。」という記載があります。

障害者雇用代行ビジネスとは、主に法定雇用率が未達成の企業へ障害者が働く場所を提供するビジネスモデル。例えば、代行ビジネス運営会社が農園(農地)やサテライトオフィスを企業に貸し、企業がそこで障害者を雇い、代行ビジネス運営会社が労務管理を担う仕組みです。

この仕組みを利用する企業は、これらの農園やサテライトオフィスで障害者雇用を行い、障害者には賃金が支払われて、農園やサテライトオフィスの運営会社には企業から利用料が入りますが、障害者は雇用主である企業の経済活動の外に置かれ、その企業の社員と共に働く機会はほぼ無く、障害者基本法や障害者総合支援法の理念である「共生社会の実現」と離反することを危惧されています。

障害者雇用代行ビジネスが、明確に法律違反となった訳では無いのですが「障害者雇用代行ビジネスを利用することがないよう、事業主への周知、指導等の措置を検討する」と参議院で決まったことに応じて厚生労働省が、これから何らかの施策を打ち出してくることは間違いないと思います。

障害者法定雇用率の未達成が多い中小企業だけでなく上場大企業も利用していることがある障害者雇用代行ビジネスですが、民間の法定雇用率が現在の2.3%から2.5%(2024/4/1~)、2.7%(2026/4/1~)と上がることが決まった時とほぼ同じ時期に農園やサテライトオフィスの利用にクギを刺すということは、やはり同じ時期に決まった週10時間~20時間の短時間就業も法定雇用にカウントOKとする2026/4/1以降は農園やサテライトオフィスの利用を禁止=法律違反とするのかもしれませんね。

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