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ICT(情報通信技術)の活用で障害者の職域は拡大しているのか?

8月12日の日本経済新聞に「ICTで障害者の職域拡大 デロイトはデジタル人材育成」という記事があります。

薬局で分身ロボットが接客を行う写真を掲載して「ICTとリモートワークで障害者の働くエリアが拡大している」と、誰に訴求している記事なのか…ちょっと気になり取り上げてみました。

なお、この記事に反論したい訳ではありませんし、分身ロボットを障害者が操作して接客業務を行うという事例そのものは素晴らしいことであり、ロボットが稼働する場所が工場の中から街中に拡大する時代が来るのか?と良い意味で興味を持ったことを予め伝えておきます。

さて日本経済新聞は、企業人(ビジネスパーソン)向けの新聞だと思うので、この記事は「ICTを活用して障害者雇用をしている会社があるから、この記事を読んでいる貴方の会社もやってみたら」という意図や、珍しい・面白い・流行の先端などの事例を知らせることだと思います。

そしてこの記事は、障害者が操作する分身ロボットで接客の仕事を在宅勤務で、かつ、障害者雇用としても可能であると企業人に伝えていますが、分身ロボットを導入できそうな会社は大企業であり中小企業では困難なことが簡単に推測できます。では大企業がロボットやICTを導入する目的は何か?と考えると、省力化・効率化の為であり機械・設備に投資をして人手が減っても事業が継続できる施策なのであり、障害者雇用の拡大(人員と人件費を増やすこと)が目的では無いです。

またコロナ禍でリモートワーク・在宅勤務が一気に普及したことは間違いないのですが、アフターコロナの現在は再び出社して働く方向に戻る会社が増えており、障害者に限らず在宅勤務を希望する人々にとって「基本的には出社して働いてもらいます」という会社は応募できません。「月あるいは週に何回か出社すること(何回か在宅OK)」というルールの会社でも、安心して働ける会社としては選択できない訳で、「ICTとリモートワークで障害者の働くエリアが拡大」というこの記事は、極わずかの珍しい例だけど、それで障害者雇用が増えた事実はあるから「職域拡大」としたのかな?と思うのは間違った解釈でしょうか。

そもそも障害者雇用は大企業ほど進んでおり、中小企業ではできて無いことが多い現状があります。日本経済新聞さんが企業人向けに情報発信されるのであれば、人・モノ・金が十分にある大企業の珍しい事例を取り上げるのではなく、中小企業でありながら障害者雇用を推進している好事例を全国から探し出して発信すれば、その記事の問い合わせが増えて新聞の売上もUPする気がします。

大企業の数が多くは無いと思われる島根・佐賀・宮崎などの法定雇用率達成企業が多い地域であれば、障害者雇用を推進している好事例となる中小企業を探すことは…きっと全国紙である日本経済新聞さんの調査力であれば可能ですよね、ぜひ実行して下さい期待してます!

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