日本シリーズ2019 第1.2戦を振り返る

先発投手は1.2戦とも予想通りです。これを外しちゃうと解説者としては絶望的でしたが、なんとか当てることができました。3戦目以降もなんか当たる気がします。

まずは巨人。千賀、高橋礼がまったく打てずにチーム打率.164。打線の状態は巨人が上と予想していました。亀井、坂本、丸、岡本4人のうち、2人が機能したら得点が上がるはずでしたが、亀井.000、坂本.143、丸.000、岡本.250。これだとどうしようもない。6.7戦はまた千賀、高橋礼が出てくるのでかなり意識すると思います。巨人としてはもう4人が打ってくれることを祈るしかない。本拠地ですし、ソフトバンクは一人欠ける(不調のデスパイネを外すだけかもしれないけど)ので地の利を生かして戦いたいです。三戦目は故障明けの菅野の先発で流れを呼び込みたいところです。

一方のソフトバンクは、中村晃.500、松田.429、グラシアル.429と下位打線が爆発。チーム平均打率も.283と山口、メルセデスをしっかり打ち崩した印象です。3戦目以降、巨人の先発は落ちるはずですから、調子が維持できれば4連勝もあり得る状態だと言えます。気になるのはデスパイネだけど、一人くらいいい気がします。


【明暗を分けた走塁の差】

 初戦はソフトバンク川島が7回、1死1.3塁から、初球で二盗に成功。牧原のタイムリーで二点目のホームを踏みました。

 また、二戦目はソフトバンク周東が同点の7回無死一塁で代走。「いくぞいくぞ」と見せかけて全然いきませんでしたが、この時、グラシアルへの投球は140キロ前後のシュート系がほとんど。コースはインコースにコントロールされていましたが、高さは真ん中付近でした。やはり走者を意識して、前打者のデスパイネの時よりボールが高くなっていた印象。アクセントで、4球目にスライダーを入れましたが、ワンバウンドのボール。カウントが3-1になりました。

 ここで一番避けたいのは四球です。そして3ボールになると周東は自動スタートの可能性が高まります。そうなるとバッテリーの優先順位としては四球を出さないことに絞られます。ここまでシュート系が7割の大竹でしたから、当然速いボール系に的を絞れるわけです。そして周東の自動スタートがありますから遅い球を続けられ空振り三振しても一死二塁、フライ以外であればチャンスが作れるわけです。ですので打者心理として「空振りOK。ポイントを前に置き差し込まれないように振る。」と余裕ができます。結果、真ん中のシュート系を見事三遊間に運べたわけです。

 ソフトバンクの代走・周東の采配が的中したワンシーンでした。

 一方の巨人。6回に打者、重信、二走・若林の場面で重信のハーフライナーで若林が飛び出してしまいました。「ライナーはバックだろ!こら!」というファンの声もわかりますが、ハーフライナーはバットの芯を外した打球なので、打った瞬間ライナーで外野を抜けそうな当たりでも急に失速するのです。この判断は非常に難しいです。特に二塁ベース付近でした。自分の正面への打球判断はとても難しい。

 しかも同点の場面で、走力のある若林が一本のヒットでホームに還りたい場面でしたし、打者重信、センター柳田で前進守備という状況も若林が焦ってしまった要因でした。

 最終回もおもしろ走塁が飛び出しました。一番悪いの亀井です。亀井は6点差ですから柳田が捕るか捕らないか微妙な場面で、タッチアップする必要はない。

 だから、亀井の正解としては、「2.3塁間の真ん中やや過ぎた付近で止まってて、①捕ったら戻る、②捕れなかったらホームに還る」という簡単な二択でよかった。しかし、センター柳田がグラブに当てて落としたので、グラブに当たった瞬間、反射的に二塁に戻ったのでしょう。少し判断が早かったのだと思います。2m戻ったとしたら、加速も含めて5mくらいホームまでの距離が遠くなります。落球後、ライト福田の返球が来た時にまだ三塁コーチボックス付近にいましたから。通常なら楽々ホームインしている打球でした。しかも丸も、亀井が戻ったのを見ていなかったから三塁手前まで進んでしまった。これで詰まっちゃったんですね。

 不幸中の幸いでソフトバンク高谷がなぜか2塁に送球して1点こそ入りました。ここの高谷の正解は、3塁近くにいる丸か亀井をアウトにするべく、三塁に投げることでした。しかしなぜか二塁に投げました。ショートの今宮はカットプレーで外野に追いかけていますので、この時点で二塁に野手がセカンドの牧原一人しかいませんでした。しかも牧原は二塁ベース手前でボールを受け、三塁へ投げた後に三塁へ走って行った。これもミスと言えばミス。今宮がベースカバーに戻ってこれていれば三塁に走っていくのはセオリーですが、二塁に人がいなくなったんです。だから松田は一塁に投げるしかなかったのです。

 一塁走者の岡本は捕手・高谷が二塁に投げた瞬間に立ち止まってしまった。自分より前のランナーが挟まれていたら先の塁に行くのがセオリーですが、二塁に人がいない場面ですので、一塁へ戻ればオールセーフでした。このあたりの年に一回あるかないかの走塁が少しもったいなかった。ヒットなのにアウト一つを献上してしまったまずい走塁でした。まあ岡本を責めてはかわいそうですが、亀井と丸は慎重になるべきでした。


【3戦目以降の戦いについて】

 巨人は菅野が投げる気がします。ソフトバンクは和田かバンテンハーグか。いずれにせよ、巨人は落とせない一戦ですので先発や抑えを前倒しの継投もありえます。打線好調のソフトバンクと総力戦が予想される巨人の投手陣との勝負が注目です。DHがなくなりますので、ソフトバンクは思い切ってデスパイネを外してもいいかもしれません。

いよいよ日本シリーズも中盤戦。皆様、よい日本シリーズを!






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