野球ノートに書いた甲子園6を読んで

夏休みの読書感想文を書きます。

皆さんは「野球ノート」をご存知でしょうか。球児が練習内容、学んだこと、感じたことを書き留めるノートのことです。小学生はほぼやってないでしょう。中学生でも近年増えていて、強制的に提出するようなチームもあります。高校生だと用途は様々ですが、チームで「書きなさい」と言われてなくても8割くらいはノートは持っているものと思われます。※野球君調べ

学校によりそのノートの活用方法は様々です。ノートですから自分で読み返すためはもちろん、ノートの提出を義務付けて、指導者と選手のコミュニケーションツールとしても利用している学校もあります。小山台高校のように班で輪番で書いて仲間とマインドの共有を図るために利用している学校もあります。

高校生独特の青臭さやメンタルの弱さが綴られている一方、そこまで考えてプレーしているんだ、仲間を思っているんだ、という熱いページもあります。誤字や脱字も妙に新鮮です。本書は、その野球ノートにフォーカスした非常にマニアックな内容の本になっております。

僕自身、野球ノートの提出がない学校でしたので、毎日ノートをつけませんでした。ただ、言われたことで大事なこと、気づいたこと、チェックポイント、などポイントだなと思う出来事は野球バッグに入れてある小さなノートに書き留めていました。

バッティングに悩んだ時など、好調だった時の感覚やチェックポイントを読み返すと「あー、やることやってればいつか結果出るんだな。」と不思議と気持ちが楽になることもありました。

余談ですが、チームメイトには常にお尻に小さいノートを入れている選手もいました。スライディングの際に一緒に入れている小さな鉛筆が折れてお尻に刺さらないか心配していた記憶があります。(刺さればおもしろかった)

僕自身の野球ノートは「メモ」感覚でした。改めてノートを整理したり、毎日ノートを書くということをしなかったのですが、本書の野球ノートはおそらくほぼ毎日書かれていて、その内容も甲子園に出る(勝つ)ために「熱き魂を書き込むスタイル」のノートとなっています。他人の野球ノートを読んだことがなかったため、大変新鮮でした。というのも僕の時代の高校野球は監督と選手のケンカ。お互いの「なにくそ」のケンカがチームの原動力になっていた時代でした。

近年、野球ノートを利用したグランド以外のコミュニケーションが普及してきました。グランドで監督の思いを「感じる」ことしかできなかった僕たちの頃とは違い、野球ノートが、監督が目指すべきチームを明確化させ、高校生にダイレクトで伝わっている気がしました。さらにその内容が想像以上に「心情をさらして」書いていることに驚きでした。そして悩む選手に、指導者は「自分で考えろ。期待する」的な、簡単に答えを教えてくれないスタイルでやりとりをしています。

そこには指導者を信頼しきっている選手の様子が見て取れます。指導者としたら責任重大ですよね。自分のプラン通りに動いて甲子園行けなかったら(笑) それは置いといて、甲子園が表舞台だとしたら、そこにたどり着くまでの苦悩の軌跡が詰まった一冊です。

字が大きく、行間も多いため、今日一日で読めるはずです。個人的には大阪桐蔭が期末試験のど真ん中に仙台育英と練習試合していることに衝撃を受けました。

しっかり読んで明日の準決勝に備えていただければと思います。





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