今年もまた、贅沢をさせてあげられなかった。

どら焼き、たい焼き、草もち、
今年の母の日の品だ。

小4の時に両親が離婚した。
数年前父親が再婚して新しい母ちゃんができた。
といってもその人のことを
母ちゃんと呼んだことはないし、
呼べる日はこないだろう、
別に嫌いでもないけど未だに敬語だし。

母ちゃんと過ごしてきた日々は
苗字が旧姓になってからのほうが長いけど、
どこまでいってもまぎれもなく
あの人は俺の母親である。

そんな母ちゃんに今年も
貧相な母の日をお見舞いしてしまった。
鰻くらい奢ってやれるようになりたい。
気づけば今年で26。
もう何年も会ってない高校時代の親友は、
今年結婚するらしい。


一方の俺はといえば、26の代にもなってまで、
いつまでも底辺アルバイター。
"音楽で人生を変えられたことをきっかけに、
自分自身アーティストではないので
人の人生を直接変えたりはできないけど、
裏方としてそういう場を提供する
きっかけをつくりたい"
(この業界に入ろうと思った志望動機)
をモットーに小さいライブハウスに通う日々。


有難いことにある程度恵まれた家庭に育ったし、おまけにひとりっ子且つ父親は自営業。
その気になればいつでも継げたし、
今でも継げるが、その道は選ばなかったし、
今後も選ぶつもりはない。

指定校で大学に進んだのにも関わらず、
"好きなことを見つけた、それを仕事にしたい"
というスーパー身勝手な理由で退学し、
掛け持ちで飲食のアルバイトを転々としながら、気づいたら20代も後半を迎えようとしている。
地元に帰れば、こんな親不孝者どこ探しても見つからないだろう。

みんなと同じように大学を卒業し
就職していれば、
家にお金いれられてただろうし、
高校の同期のほとんどはそうしてるだろうし、
お金いれられないどころか未だに迷惑かけっぱなしである。


素晴らしいライブ、生のライブ、
見るたびに思う、
あぁ、俺はこの瞬間のために生きているなと、
この瞬間に救われたんだったなと、
鮮明に思い出す。
同時にこの瞬間を何度でも作りたいと思う。

みんなにライブハウスに来てほしい、
心の底からそう思う。
でもそれと同時にハードル高いだろうな、
とも思う。

世間一般に抱かれるライブハウスへのイメージ、
払拭するのはそう簡単なことではない、
なんとなくの怖いイメージ、
きたことない人は
もっているんじゃないかと思う、


売れるために実力、運、タイミング、コネ、
いろんなものが必要だ。
今これを読んでる君が
ライブハウスというものに
行ったことがなかったとして、
それでも1組や2組くらい、
好きなアーティストがいるだろう。

そのほとんどのアーティストが
フロアに片手で収まるくらいしか
お客さんのいないライブハウスで
戦ってきた時代がある。


売れれば大スター、
売れなければ夢追い人という名の社会の最底辺、
そんな風潮は良くないなと思う。
きっかけさえあれば売れるだろうと
俺が本気で思ってるアーティストは
周りにごろごろいるし、
彼らが凌ぎを削ってステージに立っている姿、
見届ける度におもう、
心の底から売れてほしいと。

26の代になってまで、まだこの界隈にいる。
今まで諦めようかと思った瞬間なんて
いくらでもあったけど、それでもまだいる。

ここにはまだ書けないけど、
最近とても大きな案件がきまったり、
着実にいい方向に向かってはいる。

もう、いよいよ、本当に、
戻れないところまできてしまった。
こんなところで戻ったりなんかしてしまったら、多くの人の期待を裏切ってしまう、
まぁまだ何も成し遂げてないけどね。


ライブハウスに来たことがない君は、
ここまで読んでくれたりなんか
してないだろうとは思うけど、
もしそんな君がいたとしたら、
ライブハウスを気になってくれたりしたら、
俺に連絡してくれ。
どうか頼む。

金がないならなんとかするので、
とりあえず連絡くれ。
安心しろ、俺だって金ないから。


地元に帰っていた空白の1年を
少しずつ取り戻そうとしている。
こんな自分を必要としてくれる変わり者が
有難いことに沢山いるし、
そんな人達の期待に応えたいし、
そんな人達を愛していたい。

ライブハウスに来たことがないけど、
音楽はある程度聴く、ぐらいの人が
どうしたらライブハウスに来てくれるか、
この1年ずっと考えてきた、

これに関しては
誰よりも考えてきたつもりでいるし、
そのために目論んでいるイベントがあって、
そのイベントが少しずつ、
ゆっくりではあるけれど形になろうとしている。
四谷ロータス、抑えるなら
今のうちがオススメです。

俺のことを信じてくれてる人は
誰一人として裏切らないし、
母ちゃんが一番信じてくれている、
もう少し待ってくれ、
必ず目に見えるものとして生み出すその日まで。



2022.05.11
四谷LOTUS制作
海野良太

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