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にんじんのたね
東京から母の姉が遊びにきた。
東京にいる時に色々とお世話になって、息子もとても懐いている。
わたしの母と、母の姉が名前も顔も背格好も、とにかく姿形がそっくりなため、息子が見分けがついているのか…?正直疑問だった。(ほんの少しだけ人見知りをする息子が、東京で母の姉と会った時だけばーば!ばーば!と2秒で打ち解けたから、ばーば(わたしの母)と間違えているのでは?と)
二人がいるところに会わせてみたい!とずっと言っていたので、念願かなって本当に嬉しい。
息子はちゃんと見分けはついていたようで、東京ばーばだ!!と言って大喜びし、叔母と一緒に遊んだ時に聴かせてもらった歌(ジョンレノンのPower to the people、息子はタワー(tower)to the peopleと覚えている)などを歌い始めたので、本当にきちんとわかっていて、覚えているのだなぁということに感心した。
お休みの日に曽祖母が暮らしていた家にみんなでお墓参りに行った。
今は誰も暮らしていないその家を父と母が毎週末帰って管理している。
それはそれは立派な大根畑で大根採りをさせてもらった。
息子はこの「田舎のお家」が大好きで、今回も行けることをずっと楽しみにしていて、さらに今回は東京ばーばもいるということで嬉しさが爆発したのか、前夜から風邪をひいていた。
すごい、子どもあるあるすぎる。(遠足の前の日に何故か熱出すよね…)
それでもなんとか行けて、久しぶりに綺麗な空気を吸って気持ちよかった。
母と母の姉は本当に仲良し姉妹で、2人でずーっと話をしていた。
叔母が家に着いた日の夜はわたしたちはもう寝ていたのだけど、2人は夜中2時まで話していたらしい。
田舎の家にも小さな頃から2人でよく来ていたからと思い出話がつきなかった。
「あの山とこの道の間に獣道が出来とるんよ!この間鹿の親子が歩きよるの見たんよ!」と母が言い出し、
「見たいみたい!」と叔母が言って散歩がてら見学に行った。
息子も着いて行っていたけれど、2人の会話と歩く速度には入っていけなかったようで、途中でくるっと向きを変えてわたしの方へ駆け寄ってきた。
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お墓参りの時、祖母のお墓の前で「ただいま」と心の中で言うと、「おかえり。よー頑張ったね」と言ってくれた気がした。
穏やかな、穏やかな秋の一日だった。
小さな種が、あんなに大きな葉を繁らせて、真っ白でつやつやの大根になる。
わたしも自分の中の可能性を信じて、何か新しい種をそっと植えて、大切に大切に育ててみたいと思った。
今は芽も見えないけれど、信じて進めばいつか何かの花が咲くかもしれない。
四週連続で絵本を借りる日に借りてきていた「ほんとはスイカ」をおさえて、今日息子が借りてきたのは「にんじんのたね」。
みんなからそんな種植えても無駄だよと言われた男の子が、土に種を植えて、種を信じて育て続けたら本当ににんじんになるお話だ。
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