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独りじゃない-3”うろうろしちゃうよ”

”落ち着け、落ち着け、大丈夫、大丈夫、落ち着け”
言い聞かせてはみるものの、大丈夫ではないし落ち着けるはずもなく。
思考はストップ、体は震え出し、パニック状態に。

どれくらいの時間が経ったのかは分かりませんが、バックパックを盗まれたことを伝えなければ、とようやく頭が動き出し、フロントに向かい、片言の英語でスタッフの方に伝えました。
ラッキーにも、たまたま日本人のスタッフの方がいらっしゃり、その方が対応して下さいました。
そうこうしていると、空港まで送ってくれる人がやって来ましたが、パニック真っ只中の私はフロントをうろうろうろうろ...
いや~とにかくね、じっとしていられないんです(^^;)
落ち着くようにと、水を差し出してくれたのですが、飲めないんですよ(^^;)
座るように促されて、椅子に座ってはみたのですが、じっと座っていられず、立ち上がっては座りを何度も繰り返し(^^;)

空港まで送ってくれる人は、旅先で何かあれば頼るようにと言われていた現地の旅行会社の方でした。
落ち着きのない私を心配しながら、あちこちに電話をし、何かの連絡をされていました。(この電話の内容は、後に分かることとなります)
一通りの連絡を終えて、「何を盗られたか思い出せる?」と尋ねられました。

”何を盗られたか?”
答えは簡単。”全て”

帰国する為に、貴重品全てバックパックに。
海外ではバックパックを手放さない、ということを心がけ、今までトラブルに巻き込まれたことも無かったので、普通なら貴重品と手荷物とを分けるところを、分けずに全てバックパック1つにまとめて入れていました。
だから、全て盗られたのです。
パスポート、帰りのチケット、腕時計、財布(クレジットカード、カナダドル、日本円)、携帯、デジカメ、飛行機内で使用するグッズ、今まで訪れた国でお土産に買ったピンバッチが付いたポーチ。

これを答えてる間、感情は”無”。涙なんて出てきません。

”独りじゃない-4”へ続く

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