見出し画像

【勝手にコラボ企画】 国産機初「焼きたてピザ」自販機 ピザリンクスの挑戦

《2019年9月9日訂正》当初「日本初」との記載をしておりましたが、日本で初めてピザ自販機を運用したのはPizzaSelfJapanさんが先でした。つまり、PizzaSelfJapanさんが国内初提供で、ピザリンクスさんは国産機初と言うことになります。

ミクシ井オモシ郎さん、ご指摘ありがとうございました。

----------

今回は「ピザリンクス@日本初ピザ国産自販機」さんから直接メッセージをいただきまして、勝手にコラボ企画としてnoteにまとめてみました。

初の国産機による提供となるピザ自販機が広島に初めて登場時は非常に気になって見に行きたかったのですが、場所が広島ということでなかなか時間がなく…と思っていたところにメッセージをいただけたので、まだ行けてないけど(^^;せっかくだからnoteにまとめてしまおう!と思い勝手にコラボ企画として書いてみました。

■日本初の「焼きたて」ピザ自販機

とりあえず、動画を見てもらう方が早いと思うのでこちらをどうぞ。

これがピザリンクスさんの国産初のピザ自動販売機「ACD」です。加温販売…と言えばその通りなのですが、これまでの加温商品のほとんどが「温めなおす」ことを前提としていたのに対して、ACDは「ピザを焼く工程を自動化する」ことに成功しています。一旦冷めてしまったものを焼き直した時のあのダメな感じをなくすため焼き前の食材を保管し都度焼いているそうです。

私は行ったことがないので食感などはわかりませんが、動画を見る限りはオーブンでしっかり焼き上げていくのでとてもおいしそうですね。ちなみに詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。

■日本ではニーズが高い加温商品

「お弁当温めますか?」というコンビニの定番台詞はもちろん、最近のオフィスでは弁当を温めるための電子レンジを用意しているところも多いぐらい人は温かい食べ物が好きですよね。でも、電子レンジは加温に時間がかかる上に1人しか使えない。レジ待ち行列で疲れた挙句、電子レンジ前でも待つのか…と思う人は多いはずです。なので、「最初から加温してよ」というニーズに対しては各社いろいろと取り組んでいます。しかしながら、無人販売ではほぼ見かけなくなりました(もちろんこれにはいろいろと事情があるのですが)。

こうした中登場したのがピザリンクスさんのACD。本来あつあつのものをあつあつのまま提供するという業態は消費者から見たら非常に魅力的なものになると思います。特にピザは一度冷めてしまうとシナシナでおいしくないですし、温めなおしてもあのカリカリトロトロ感がなく残念な感じになるので、これを嬉しいと思う人は少なくないのではないでしょうか。

■ピザデリバラーキラーとなるか?

ピザと言えばチェーン系ピザデリバラーが今までの日本ピザ業界(?)の主流でしたが、ピザリンクスさんの取り組みはこの常識に一石を投じることになりそうです。人手不足により宅配サービスの維持が難しくなったとはいえまだまだデリバリが主流のピザチェーンに対して、そもそも単価が高いピザを手軽なサイズで買えるというピザリンクスさんの取り組みは一定のニーズを得ると思います。

ただ、じゃあキラーになるかと言うとそうではなく、最終的には棲み分けになると思います。1人分を想定したサイズで4種類に限定したピザリンクスさんのモデルは、元々日本のピザチェーンが想定していた「いろいろなテイストをファミリーで食べる」には不向きなので、ケースバイケースで使われ方が変わるような気がします。

「ピザ食べたいけどワンホール大きいし高いしなあ…」という方でも、ちょっと外出するだけで気軽に手に入れられるとしたら…お互いが市場を奪い合うのではなく、今よりも消費ニーズが向上するかもしれません。

■死角はないのか?

とはいえこの自販機、死角がないのかと言えばそんなことはないと思います。議論は大きく4つ…特に最後の1つは大物なので、これをどうするかは結構大変かもしれません。

(1)「臭い」の問題
ピザの焼ける匂いって良いですよね。すごく食欲をそそる匂いでおなかが減ります…が!その匂いが臭いになってしまうこともあります。おなかがすいている時にはどんなに良い匂いでも、例えばおなかがいっぱいな時に嗅げば臭いになってしまう…需要がありそうな場所でも臭いの問題で制限されてしまう可能性があります。

一番やっかいなのは住宅地で、生活空間のため臭いの問題はこれに限らず常にクレームの上位に挙がってきますし、設置までは特に何もなくても設置後にクレームが上がることは容易に想定できるので、「帰りにちょっと買って帰ろう」みたいなニーズを狙うのであれば、臭いの問題はどこかで解決しなければならないかもしれません。

(2)「持ち歩き」の問題
買った以上少なくともそこから持って移動しなければならないのですが、動画を見る限りその場で食べることを前提にしたパッキングのように見えます。蓋や持ち運びのためのビニール袋がないので、「帰り際に買って持って帰る」というニーズには対応していないように見えます。

もちろん、これは持ち運びキットを備え付ければよいと思うのですが、この手のものは買わない人が持って行ってしまうことも少なくないので(カップヌードル自販機の割りばしがいつもない、みたいなやつです)、工夫が必要ですね。

(3)「補充」の問題
自販機でもこの問題はついて回りますが、ピザ自販機の場合はもっと問題になると思います。形状が平たく大きいため軽いとはいえ持ち運びが難しく、かつ生ものなので冷蔵搬送が必須となるため、自分たちで配送しようとすると配送範囲の問題が、委託しようとすると委託先の問題が生まれます。

飲料であれば大きな問題は起きない(工業製品なので規格が決まっており扱いが難しくない)のですが、食品は扱いが難しいので「どうやったら簡単に補充できるか」は今後解決しなければならない喫緊の問題だと思います。特にビジネスを拡大したいのであればアウトソーシングの話は必ず出てくるので、こちらを考えておく必要はあると思います。

食品の取り扱いがあり、自販機を運営していて、冷蔵車を持っている…となると私の知りうる限りブルボンさんですかね。ASDをやっていれば冷蔵車を持っているはずなので、ユカさん八洋さんあたりですかね…広島だとアシードさんでしょうか。

(4)「保健所」の問題
過去衛生的な問題で消えていった自販機は多々ありますが(ジュースを噴水させていた自販機なんかは典型例ですけど)、日本では食材を扱うもの、特に温熱を利用するものは無人ではなくても規制が厳しく、今の日本では温熱を使った無人販売については緩かった時代の免許を除き、事実上新規で許可をもらったケースがほぼありません。特に最大の需要地である東京は保健所の制限が非常に厳しく、地方ではOKなものも東京だとNGを食らうことも珍しくないことから、ここをどうクリアするかは綿密に計画した方がよいと思います。

今後ビジネスを手広く広げる場合は当然消費が大きいところを狙うことになると思うのですが、そうした地域の保健所は大変手強く、前例踏襲主義も相まってなかなか許可してもらえないことが想定されます。需要が多いということは問題が起きた時の感染率が非常に高いからどうしても慎重にならざるを得ないからですが、「これでもか!」という制限をいかにクリアするかは機材を開発する段階で気にしなければならないことだと思います。

と言いつつ、このあたりの問題のいくつかはシステム的にクリアできる問題です。そのあたりのノウハウはまた折を見てまとめてみようと思います。

■焼きたてピザ自販機は新たなムーブメントを生み出せるのか?

期待は大きいが問題も大きいピザ自販機。中国では加温弁当を無人で販売していたりするので技術的な問題は昔ほど大きくないと思うのですが、補充の問題や保健所の問題など、運用面での課題をどこまでクリアできるかが今後の普及にかかってくると思います。

オフィスグリコのように直接設置せずとも、例えば地方の工場などで社員食堂が撤退し簡易な販売所が設けられているようなところであれば、食品衛生管理者をお任せして販売にこぎつけることは容易かもしれませんし、そうしたところから話題が広がれば一大ムーブメントになるかもしれません。

また、無人の加温販売がある程度の条件下でも許可されれば、それをきっかけに加温販売事態の再ブームが来るかもしれませんね。オフィスなどの昼食需要や高速道路のサービスエリアの夜間需要など、実は加温販売は根深いニーズが残されており、こうした部分でも大きく飛躍できるかもしれません。

そうした日が来ることを楽しみにしています。

【追伸】ちなみにクラウドファンディングを募集中とのことです。ご興味がある方は是非どうぞ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?