若者ケアラー

ヤングケアラーへの支援が叫ばれる中、子どもではないけれどもまだまだ若い20代くらいのケアラーである「若者ケアラー」への支援はあまり充実していないように思う。

私、22歳、大学院生、若者ケアラー。
祖母が認知症になってからの数年間、祖母の子どもたちが誰も介護をしようとしないので、仕方なくその役回りを引き受けることとなった。

世間一般の22歳を見ると、本当に華やかでキラキラしていて、もちろんその中に秘めた悩みや闇があるのはわかっているものの、きっと私が抱える介護の悩みなんかとは毛色があまりにも違うものなんだろうということもわかっている。

若者ケアラーへの支援は本当に乏しい。確かにヤングケアラーに比べりゃ多少は自立ができるかもしれないけれども、だとしてもやっぱりヤングからちょっと背伸びしたくらいのところにいるのも事実だ。

ケアマネに相談しろ、デイサービスを利用しろ、ショートを利用しろ、どれもこれも認知症のせいで疑り深くなった祖母には通用しない。

本当なら施設に入れたい。でも介護もしないのにそれを拒む馬鹿がいる。

人権ってなんだ?介護を受けている祖母には人権はありそうだけど、私には人権はなさそうだ。

大学院にいくことがずっと夢だった。だけど介護のせいでまともに研究すらできていない。日々の授業への参加と課題提出で精一杯だ。

大学生の楽しい時期を奪われた。そして大学院生として新たにスタートを切った今も、祖母の存在が私の目標をどんどん遠ざけていく。

祖母が早く死んだらいいのに、と思う。でもそんなことを思って本当に早く死んだら悲しく思ってしまうんだろうな、と思う。無感情の冷徹な人間になりたかった。悲しくなければ誰の反対も押し切って祖母なんかさっさと老人ホームに入れてやる。そんなお金もないけどさ。特養だって満員で予約何年待ちだとかって聞いたけどさ。それでもやっぱり心の中だけでは早く死んでほしいと思うし、早くどこか違うところに行ってほしいと思う。

若者ケアラーもヤングケアラーもみんな自分しか見る人がいないからケアラーの役回りを引き受けている。

別にやりたくて始めたわけではない。仕方なくやり始めたことを「率先してやっている」と周りから捉えられることや、自分自身でそう思い込もうとすることはあれど、やはり自分からやりたくてやっているというわけではない。

同年代の誰にいったって介護の大変さなんて理解してもらえないよ。
みんな恋愛の悩み、仕事の悩み、勉強の悩み、人間関係の悩みばっかり。
私はそういうことの悩みを抱えるまでもなく介護に全部捧げてしまっている。

若さだけが消える。80後半のいつ死んでもおかしくない老婆のために、私の若さだけが消えていく。

祖母に「死ね」と言われたこともある。「はいはい」と受け流したけど、どれだけ辛かったか。

認知症だからそういうことも忘れてしまう。責めても何も覚えていないらしく、「私はそんなことは言わない」と逆ギレされる。

ちょっと前までは病んでいたのか祖母にそういうことを言われると本気で死ぬことを考えていたが、今は「あーもう早く死んでくれ」としか思わない。

さっさと死んでくれ。私のことを解放してくれ。

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