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【クレーンオペレーター失敗談】ストロークエンドまで起こしちゃった話


おつかれさまです。

親スラ〜、はい、子ゴ〜、はい、右旋回〜
よりも
親スラ子ゴー右旋回〜
と言われたほうが嬉しいわたしです。
そんなわたしが


親ゴーしすぎちゃった…

結果。
ラフタークレーンってブームを限界まで起こしちゃったらどうなっちゃうの?
バックドロップ?
今回の記事では
“ストロークエンド”までブームを起こしちゃった失敗談
を、お話しさせて頂きたいと思います。
みなさまの参考にすこしでも役立てられれば幸いです。
“人の振り見て我が振り直せ”ということで、わたしの失敗談を”反面教師”としてみてください。
それではいきます。

まずストロークエンドとは…


ブーム角度でいうと82°以上、目一杯起こしきった状態のことを言います。
機種によりますが、普通は「起伏緩停止」というスイッチがオンになっていればストロークエンドまでブームが起きることはありません。
ストロークエンドまで起きるのを防ぐためのスイッチといっても良いでしょう。
しかし、他の人のクレーンや担当者がいないクレーンに乗ると「起伏緩停止」のスイッチが、解除されている場合があります。
この「起伏緩停止」オンオフの切り替えがとても簡単で、うっかり足などで押してしまっていたなんて可能性も考えられます。
(※足グセが悪いわたしのような人なら…笑)
ですのでそういったクレーンに乗る際は、このスイッチがオンになっているか確認が必要です。
わたしが失敗したときは、そのスイッチを確認することを忘れていました。
理由の一つは


シンプルに遅刻した


です。
その日は、現場へ留め置きのクレーンに乗るため、普通車で現場へ向かいました。
間に合わなさそうだと感じつつ、ブッ飛ばしていきましたが、間に合いませんでした。
猛ダッシュで現場へ行き


「スミマセン!」


と、大急ぎでクレーンのエンジンをかけ作業開始でした。
クレーンは25トンラフターで、孫を出した状態で現場に置いてありました。
慌ただしく進む作業…
遅刻の遅れを取り戻すため、フルアクセル全力運転のわたし…


始業前点検なんて正直、皆無でした。


スイッチが解除側に入っていることも知らず、フル運転です。
その日は、作業半径7m以内くらいまでブームを起こすとなぜか、普段はつくことのない”鐘”を何度かつきました。
「親フックが揺れブームに当たること」
通称:鐘をつく
そこで気がつくべきでした…
「起伏緩停止」が入っていないことを。
起伏緩停止が作動していると、ブームを起こしている際、作業半径が7mあたりから近づくにつれて、動きがゆっくりになります。
これは先ほども言ったように、ストロークエンドまでブームが起きてしまうことを防ぐためです。

通常ラフタークレーンは、コンピューターによって・制御・管理・作動をしています。

そのコンピューターがエラーを起こし、クレーン自体が動かなくなる場合があります。
ストロークエンドまでブームを起こしてしまった場合のエラーは…
・過負荷状態
(空荷、なにも吊っていない状態で10トンなどと表示される)
・赤ランプが回った状態、普段の過負荷状態と同じなので”解除キー”通称0番キーがないと動かない、旋回とフックの下げ、ブームを縮めることだけは可能
このような状態になりますので作業はストップせざるを得ません。
通常、クレーンの”解除キー”は会社などで保管しており、オペレーターの手元にはありません。
ですので解除キーが必要な場合は、会社の人に連絡をし、持ってきてもらう必要があります。
その日は会社から現場までの距離が40kmほどあり、車で1時間かかる場所でした。
10時の休憩に入ったときに、ウィンチドラムに油を塗ったり、状態を確認したかったのでブームを起こしフックを下げました。
すると…
ズンッというような感覚?
コンピューター(AML)には"エラー"の表示が


やっちまった


一瞬で理解しました。
ストロークエンドまでブーム起こしちゃったと…
わたしの経験上、旋回体が向いている方向と逆の方向(後ろ足)のアウトリガージャッキを上げてあげれば、ブーム角度がすこし下がるので”なおる”と思っていました。
これまではその方法でなおしてきました。
そのときは、左前を向いていたので右後ろのアウトリガージャッキをあげました。
コンピューターを見てみるとブーム角度82°から81.3°まで下がっていました。
ですが荷重の表示はいぜん10トンのまま
え…?
正直、ストロークエンドまで起こしてもあまり焦っていなかったのですが、アウトリガージャッキを上げたにもかかわらず、荷重が0の表示に戻らないことに気がつき、とたんに焦りはじめました。
まじか、まじか、まじか、、、!
やべぇやべぇ…
どうしよう…
何度かしつこくアウトリガージャッキをあげたのですが、マゴが出ている状態でフルブームでしたのでさすがに怖くなり、どうしようもできなくなりました。
アウトリガージャッキを上げるたびに親フックは揺れ、ブームに当たり、鐘をついていたのでなおさら怖かったです。
「ゴーン、ゴーン」
と鳴り響く音。


なぜかクレーンを傾けつづけるオペさん。


住宅街のなかの現場でしたので、客観的にみても危なかったと思います。
とりあえずベテランオペさんに電話だ。
いまの自分の状況を説明して、返答をあおぐことに。
返事としては
「いま、電話を繋げた状態でもうちょっとアウトリガージャッキをあげてみよう。タイヤがつくくらいまでなら大丈夫だから。」
ということでした。
「わかりました。」
そう答えてさらにアウトリガージャッキを上げ続けました。
ときおり、クレーンからおりてタイヤがついているか確認をしながら。
あの日はそのせいで15回以上鐘をつきました。
「どうだ?荷重は変わっているか?ブーム角度は?」
と、ベテランオペサン
「変わりません…10トンのままです。ブーム角度は81.3°から80.5°まで下げました…」
と、わたし…
迫りくる休憩の終わり…
「もう、こうなったら会社に電話して解除キーを持ってきてもらうしかない」
そう、2人で判断をして正直に鳶さんに話をすることに。
ちなみに、その日の作業内容は鉄骨建て方でした。
幸いにも、仲の良い鳶さんで、わたしが乗りたての頃から知っている人たちです。
ここは正直に
「スミマセン(ちなみに朝遅刻してる)、ちょっといま、ウィンチドラムの状態を確認したくてブームを起こしてたんですけど、起こし過ぎを防止するスイッチが解除されていたみたいで、ブームが起こし過ぎな状態になっちゃって、なにも吊っていないのに10トンの表示のエラーが出ちゃってるんです。会社に電話をして解除キーを持ってきてもらうまで作業ができません。」
そう言いました。
すると、
「まじかー!笑 え、いまから作業ができないってこと?うわぁーまじかぁ…」
と。
休憩中に、赤ランプが回った状態で、アウトリガージャッキを操作して鐘をツキまくっていたので、おそらく何か異変は察していたと思います。
その後、会社に電話をして解除キーを持ってきてもらうことに。
クレーン作業ができないので、鳶さんは全員で地組みをしていました。
その間、わたしは一生懸命にクレーンの取扱説明書を見る…
フリ。笑
だってすることないんだもん。
待つこと1時間…
時刻は11時15分。
ようやく解除キーが手元にやってきました。
初めての解除キーです。

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解除キーに画質の無駄使い。


先輩オペさんや整備士さんに話を聞いていたので、なんとなく使い方はわかりました。
わたしの乗っている機種は
GR250N-1
なのですが、コンピューターを解除しても全くわからないほど自然に解除することができました。
ジワーっとブームを倒していきブーム角度が78°あたりになったところでズンッという音?感覚?とともに荷重の表示がようやく”0″に。
なおった、、、!
ダッシュで鳶さんのもとへ行き


「なおりましたぁぁぁぁあ!」


すぐさま作業再開です。
幸い、わたしは”腕が良い”ので(朝遅刻からのストロークエンドでそれ言うか?)マゴ出しフルブームでフル運転のすえ、その日に予定していた作業よりさらに進めることができました。
1時間の遅れを取り戻すべく
・アクセルベタ踏み
・フックは揺らさずにピタッと目の前で止める
・急ぐところは急いで、慎重なところは慎重に
とにかく”最高の運転”をしました。
わたしのクレーン人生でベスト5に入るかと思います。
うまいこと”名誉挽回”をして、その日の作業は無事終了です。
作業終了後、鳶さんにネチネチ文句を言われることもなく、いつも通り


「ありがとう〜^ ^」


で終わりました。笑
もう二度とストロークエンドまでブームを起こす失敗はしたくありません。
これからは、普段乗っていないクレーンや、助っ人としてその日だけ乗るクレーンを運転する際は、「起伏緩停止」装置がしっかり働いているか確認してから作業に入ります。

大変長くなりましたが、ストロークエンドまでブームを起こしちゃった失敗談はこのあたりで終了させて頂きたいと思います。
当初はブログにて掲載しようと思っていた記事だったのですが、さすがにこの文字数。笑
執筆にも2週間かかり(1日で書くのが面倒だっただけなのはナイショ)noteにて、¥100なら販売させて頂いてもバチはあたらないかな〜と。
ここまで記事を見てくださり、この記事をご購入して頂き、本当にありがとうございました。
また“失敗談”や役に立つ情報を発信していきますので、これからもよろしくお願いいたします。
“人の振り見て我が振り直せ”
みなさまもわたしのようにならないよう、日々安全作業につとめてください。
それではみなさまご安全に。
また次の記事で

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