見出し画像

いつか開くお店の話をしよう

高校の友人とリモート飲み会をした。

お酒の味も知らなかったあの頃からしたら、
缶チューハイを片手に、画面に映る自分たちは
なんだか少し見慣れない。

社会人になって数年経った。
地元から離れた私は、彼女の方言に
少し違和感を覚えるくらい、今の町に馴染んだ。

今の仕事あってない気がするんだよね、
じゃあ何って言われたら、自分に合う仕事なんて
思いつかないけどさあ

曖昧な違和感がずっと付き纏う。
それは曖昧すぎて形や意味を成さない。
けど、そこに確かに存在する。

うちもそう思うんよね。

じゃあ、いっそのこと会社でもするか。

うちのこと雇ってよ

いいよ。私、数字苦手だから数字は任せた。

分かった簿記勉強するわ。

はは。私が社長でいいの?
あと、こっち来るとこになるけど。

全然いいよ。うちはサメちゃんがやりたいこと
そばで見てるだけで楽しいと思うし。
お菓子とか作れたらそれでいいな。

ちょっと、本気?
こっち来るってさあ、お金とかどうするの?

うーん、貯金はそれなりにある方だし
大丈夫だと思う。

まじ?

うん、まじ。

ただの高校時代のリモート飲み会が
いつの間にか私が社長になって
友人の人生を預かることになってしまった。
なんだこれは。

今すぐには、ね。働いてるし、さすがに無理だけど。
30歳になって、気持ち変わらなかったら、やってみようか。

そういってリーモト飲み会は終了した。
それがGW頃の話。
勢いの話だし、冗談でしょ。
そう思っていたら、最近彼女から連絡が来た。

まじで簿記の勉強してるからよろしく。

笑っちゃった。
そんな私も、なぜか今、転職活動をしていて
明後日は最終面接。
ちょっと人生って何が起こるかわからないね。

ただ、もしやるとしたら、
彼女とお店を開こうかな。
お菓子つくりたいって言ってたし。

その店には暖簾をかけて、
我が家の4匹の猫をモチーフにしたものにしよう。
その店の名前は我が家の猫からとって
「ちょすこ」にしよう。