【小説】弥勒奇譚 第十八話
弥勒はその夜久しぶりにあの夢を見た。
場所は龍穴社のようだが見慣れない建物から普賢が出てきてやさしく微笑みながら手招きをする。何であろうとその建物に入るといま作っている薬師如来が奉られている。
普賢が灯明を上げるとパッと明るくなり浮かび出た薬師如来を見るとなんと彩色が施されていてしかも息を飲むほどの美しさであった。
弥勒は夜も明けやらぬ内から起きだして夢で見た薬師如来の彩色を写し取った。写し取ったと言っても高価な顔料を持っている訳も無く、色の名称を細かく書いていくのが精一杯で