【小説】弥勒奇譚 第二十七話
「ご覧くだされ見事な虹じゃ。唐の国では虹と龍は同躯であるとか化身であると言われておる。
間違いなく龍神様は開眼供養を喜ばれておるのじゃ」
「これで龍穴社も末永く安泰じゃて」
不動は嬉しそうに笑い声をあげるのだった。
その夜、弥勒は夢を見た。
それは今までと違い短いものだった。
龍穴社の薬師如来が収められた厨子の前で普賢が
一心不乱に祈りを捧げている。こちらに気が付いたのか振り向くと一言「ありがとう」と言い微笑みながら天を指して昇って行く。
そしていつの間にかその姿は龍となり