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回転卓を回すな!

私は四人姉妹の長女で、妹二人はすでに結婚し、関東に住んでいる。姪がひとり。
だから、わたし方の家族が集うと、大人九人子ども三人の大所帯になる。
その大所帯で、年に一度は集まって、みんなで飲み食いしたり旅行したりしているのだが、今年は二泊三日で軽井沢に行ってきた。
もちろん、関東組は車で、東北組は新幹線で、現地集合、現地解散。
決めていたのはホテルと、一日目の夕食にみんなで集まることだけ。あとはそれぞれの家族がそれぞれ遊び、それぞれ帰るスタイル。

もっと言うと、夫もその二日前から東京出張だったので、現地集合。
荷造りと出発日の朝までワンオペをこなし、朝七時十一分の新幹線になんとか飛び乗った。

軽井沢…
とても素敵な響きだが、正直東北人には馴染みがない
というか、本当に個人の感想なんだけど、岩手県人が軽井沢にわざわざ行って涼を取ったり、森を散策しなくても少し行けば山はたくさんある。

避暑地と言っても、ちょっと高級な安比高原だろうと、たかを括っていた。
実際に去年、末の妹の結婚式で訪れるまで一度も行きたいと思わなかった。

が、行ってみたら、安比高原なんてとんでもない。
本当に素敵な避暑地だった。(安比もいいところだけど。)
整備された綺麗な森、流れる小川。
食べ物もビールも美味しく、人々には余裕があって、おしゃれで親切だった。
人間の民度と同様に、犬の民度もとても高かった。

似つかわしくないのは百も承知で、来年もまた来たい!と、母が言い、私もそう思った。
(母はその後すぐに家族分のホテルの部屋と夕食の中華レストランの個室を予約していた。)

で、今回の旅行である。
おかげさまでとても快適に過ごして帰ってきた。
気温は高かったが、それでも三十二度ぐらいで(「ぐらいで」というのもおかしな話だが)、本当に日本列島が鉄板のように暑かった滞在期間中でも、かなりマシにやり過ごせた。
長女は一年生になったので、キッズネイチャースクールなるものに一人で参加し、ハイソな友達を作っていた。
その間、大人はアウトレットを楽しんだ。

一日目の中華レストランで十二人全員が座り、「事前に」ネットのメニュー表からメモしてきた料理を注文した。(母は、事前に電話で注文しようとして断られている。)

私を筆頭に、うちの家族はとにかく食べる。
両親もこの歳にしてこんなに食うか!?と思うぐらい食べる。
妹の旦那は現役のラガーマンで、トレーニングとしてもしっかり食べる。
そして、食べるのが早い。母は食べられない人がいないか目を光らせ、隙あらば追加注文を試みた。
その量たるや…お店の人が引くぐらいの量だった。
そんなに頼んだのに、食べるのが早いから大きな円卓は常に空の皿が並んでいた。

「軍隊アリ」
父はこの光景をいつもこう呼んでいる。

うちの家族と中華料理はとても相性が良く、料理が出て来るのがちゃんと家族のペースに合っている。
私が中学生の頃、中華料理屋に行き、六人で十三品頼んで三十分で店を出たことがある。今でも語り継がれている。
「軍隊アリ中華」は、うちではお馴染みの見慣れた光景だ。
それぞれの婿たちがどう思っているかは、わからないが、それに楽しそうに付き合って笑い合ってくれる人をそれぞれが選べて、良かったと思う。

この日がちょうど三十六歳の誕生日だったので、みんなにサプライズでお祝いされ、ろうそくまで吹き消し、写真を撮った。
とても恥ずかしかったし、すっぴんだった。

旅行から帰って来ると、娘の朝顔が枯れていて、大泣きされた。
この時が一番しんどかった。
結局、水をたっぷりあげてみたら翌朝には息を吹き返した。
娘はそのことを夏休みの絵日記に描いていた。

夏休みの宿題
もちろんギリギリまで残していていた。
最初はやる気満々で、工作や読書感想文の構想を練るが、結局は「夏休みの友」が押しに押して、終わらず、泣きながら最後に読書感想文を書いた。
工作はほぼ毎年紙粘土の制作だったが、割とクラス代表の作品に選ばれたりもした。
母は、選択制の絵画や習字も全部やりなさい!と尻を叩いた。気持ちはわかるが、それが何になるのか、と思ってしまう。
夏休みの工作として、「夏やすみ」と書いた習字一枚を提出する強者もいた。大して上手くもなかった。
でも、社会に出たら、それぐらいのメンタルの人の方がうまく生きられるんじゃないか、と思う。

小学生の私も、誰がなんと言おうと、習字一枚を提出する勇気を学ぶべきだったのかも、と思う。

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