PCゲームは、ゲーム機よりややこしい。(ゲーム依存症について考えるシリーズ ⑦)
PCゲームが今、たぶん流行ってきていると思う。
「ややこしい」とタイトルに書いたが、ゲーム内容のことではない。
ゲーム依存(addiction)について考えるときに、ややこしいということだ。
そもそも、ビデオゲームを考えるときは、わりとプラットフォームの違いが重要になるように思う。
意外と、どのプラットフォームでプレイするかというのは、体験として、仕組みとして違ってくるようであり、ひとくくりにビデオゲームとして扱うより、問題が解決しやすくなるだろう。
◆昔ながらのゲーム機
それで、昔から子供がやってるファミコン、スーファミ、プレステ、などのTVに繋げるゲーム機は、一番わかりやすい。
何がどうわかりやすいかというと、リビングのTVにつないでやるために、
・ゲームをしているということ
・ソフトやゲーム機などの関係性
・管理する時の管理のしやすさ
などがわかりやすい。
つまり、やっている人も、見ている人も、何が起こっているのかがわかりやすいという状況だということだ。
物理的なソフトを店で買ってきて、それを機械に差し込むと動作するという仕組みだ。
この場合、これを停止させるには、ソフトをなくす、ゲームをなくす、TVをなくす、電源ケーブルなどをなくす。
など構成要素をつぶせば、ゲームシステムが成立しないため、その停止が用意であり、わかりやすい。
◆PC
これが、じゃあPCになるとどうなるのかというと、まず、そもそもPCを買うのは、最初は、ゲームをするためではないように思う。
最近では、ゲーム用にPCを買う大人もいるが、大抵の人は、ゲームするために15万円も払わないだろう。
そんなことする人間は、すでにaddiction化してしまっているのだと思う。ゲーム機でaddiction化した後に、PCに移行するタイプだ。
たいていは、PCを買って、気が付いたら、ビデオゲームをやっていたという流れだと思う。
で、これがどういうことかというと、たいてい、普通PCは部屋のデスクの上にある。
勉強したり、考え事をしたり、作業したり、書類をかいたりするようなところだ。
ところが、こういった場所に置かれているPCにインターネットが繋がれ、Steamなどがインストールされてしまうと、そのデスクの機能が死ぬのだと思う。
これがわりと厄介なことだと思う。
つまり、単にPCでゲームができるだけではなく、それまで思考や作業に使われていた部屋のコーナーが、ゲームコーナーに変化してしまうということだ。
そして、ゲームをするつもりがなくても、別のことをしようとしても、そのデスクの前に座ると、ゲームを気が付いたら起動しているなんてことが、起こってしまうようになってしまうのではないだろうか。
PCを購入したのは、CG作成だったり、動画編集だったり3DCADだったり、AIの勉強のためだったかもしれない。しかし、いつのまにかSteamStoreとYoutubeを見るような使い方に変化してしまうことが起きるのだ。
◆ゲームをやっているのかどうかが曖昧
周りの人も、PCに向かってカチカチやっている人が、実際には、何をやっているのかわからない。インターネットをやっているのか、ゲームをやっているのか、それとも、インターネットでゲームストアをみているのか、ゲーム情報をみているのか。
何をやっているのかわからない。
やっている本人も、何をしようとしているのかよくわからず、そういったことをクリックして時間を無駄にしてしまう。
むかしは、ゲーム機にはインターネット機能がなかったし、ソフトが一つしかなかったので、わかりやすかった。
自分が何をしているのかわかりやすかったし、周りの人もわかりやすかった。
今PCを使ってビデオゲームに関連する操作はたくさんあり、もはや何をやっているかよくわからん状況が起きる。
ストアが24時間365日開いており、セールも頻繁だ。
ライブラリには、プレイすらしてないけど、購入して登録さえれているソフトがたくさんある人も結構いるようだ。
◆こんな機械がデスクの上に置かれていると、大事なことに集中できないという当たり前の話。
たとえば、子供の勉強机の上に、24インチの高精細のテレビと、PS5とニンテンドースイッチを置くような馬鹿な親はいないだろうし、子供ですらしないだろう。
そんなのは、おかしいことだと直感的にわかる。
集中して取り組むためのデスクと、娯楽を楽しむ道具は別の種類のものだからだ。
ところが、PCでビデオゲームするということは、それらがごっちゃになり、実質、上に書いたように、ゲーム機とテレビを勉強机に置いているのと同じようなこと、いやそれ以上にひどい話なのだ。
集中して勉強に取り組んでいたところ、わからない箇所があって、PCで調べることにしたとしよう、そうすると、いつのまにかYoutubeに飛んで、ゲーム配信動画を見て、ゲームの体験版をDLし、やりだす、みたいなことが生じるのだ。
こんなことが、すみやかに生じてしまう。
◆ゲーム機を隠せばいいという従来の方法が使えない
大きな問題点もある。
昔だったら、ゲーム機を隠せばよかった。
例えば、テスト勉強の期間は押し入れにいれておく。など自分でも対処ができた。
やりすぎてしまうゲームソフトは、売ってしまうとか、物理的に持たないこともできた。
ところが、PCのDLゲームになると、
PCという汎用機を、始末するのは、現実的ではないし、ソフトはDLだから24時間いつでもダウンロードしてインストールすれば動く。
そういった特性から、一定期間ビデオゲームはやらないようにしたいから、機械やソフトを目の届かない遠いところに、片づけて置くという、そういった行為が、なんかやりにくいものになってしまっていることだ。
ゲーム専用コンピューターとして使っているならできるが、いろんなことに使っている場合、やりにくい。
なので、ある意味、ゲーム専用コンピューターを用意して、ゲームをするコーナーみたいなところでしかPCゲームをしないようにして、集中する用のデスクには、PCを置かないか、もしくは作業用PCは別に用意するのが、妥当。
◆ビデオゲームとは、ソフトウェアだが、実態は仮想的な体験
ゲームするという場合、昔は、ゲーム機を連想したが、最近は、ゲームというと主が機械ではなく、ソフトウェアという風に変わってきた。
そういう物理的実体の無いものを扱うことも、ややこしさの一つだと思う。PCゲームになると、それが、顕著になる。
セーブデータもクラウド化し、どのPCでも同じ環境でプレイできる。
昔の様に、カセットやメモリカードに保存しておくという考え方ではなくなった。
そして、じゃあ、ゲームをする側、プレイヤーが感じてる体験は、機械でもなく、ソフトウェアでもなく、また仮想的な体験であり、話がめちゃくちゃややこしい。
こういったことを話として扱うのは、ひじょうにややこしい。
◆まとめ
①PCでゲームをするようになると、従来の集中するデスクの機能がジャマされる。
②PCは色々な使い方をするために、一定期間ゲームだけしないようにしたいと考えたときに、ゲーム機のように、移動するなどの処置がとりにくい。
③PCは多機能なので、周りの人も、自分も、PCでビデオゲームをしている時に、ビデオゲームしようとしていたのか、他のことをしているのかよくわからないということになる。
僕としては、集中する用のデスクのPCでは、ビデオゲームを入れるのはよくないことになりそうという感想。
もしPCでやりたいというなら、PC、デスクを分けるのが妥当。
(PCは、マウス操作になるために、コントローラーのゲーム機と違って、必然的にデスクが必要になる。)
そもそも、家庭において、デスクの上にインターネットにつながったPCを置く必要があるのかという疑問。オフィスと違うのだから。
デスクの上にインターネットにつながったPCを置かなければYoutubeなどのジャマも入らない。業務ソフトは大抵オフラインで動作する。
必要な時だけオンラインにするように、常時接続状態をやめるというのも、集中するにはありかもしれない。