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「Do you have “three blind mice” ?」-Dig up the memory- vol.2


”中村照夫グループ /ユニコーン” (LP) Year 1973

今回はユニサウンドレコードでも一際、高額盤として後光を放つレア盤、中村照夫グループのユニコーンをチョイス。three blind miceというレーベルからリリースされているのだが、そもそもこのレーベル自体が世界のレコード好きから絶大な人気がある。 1970年代を中心に制作されており日本のジャズを専門としたレーベル。当時の新鋭アーティスト達のバチバチなセッションが数多くレコーディングされている。これまでの和ジャズ史において日本最大のインディペンデント・ジャズ・レーベルといっても過言ではない。


海外でも人気があり、自分が働いていたレコード屋でも、外国人の観光客が入店一言目に「Do you have “three blind mice” ?」とは良く聞かれた。また復刻版なんかもよく発売されている。 自分もそういった復刻の音源なので、このtree blind miceのタイトルをよく聴いたりしていたのだが、どの盤のサウンドもこれまた”不良”の音でかっこいいのだ。抽象的な表現になるのが、決して良い子のJAZZではないんだろうな。というのがサウンドを通してヒシヒシと伝わる。
オーセンティックなサウンドも取り入れつつ、フリーキーで実験的なサウンドが多い、そこに荒々しさもありつつ、パワーに溢れた音は自分が今まで想像していた日本のJAZZとは違い、とても魅力があった。また詳しくはわからないが、当時の日本の高度経済の間にある時代の変革的かつ、混沌としたエネルギッシュさも音を通して感じとれた気がした。

そして今回が私がチョイスした中村照夫氏だが、彼もまた私と同じベーシストである。

別のレコードだが彼の作品はThe RootsやMF DOOMといった著名なHIP HOPアーティストからもサンプリングされており、またクラブジャズ系のDJからもよくPLAYされているタイトルが多い。それは彼のサウンドの特徴でもある”Funky”さが理由だと思う。 彼はブラックカルチャーを愛し、当時からいち早くNew Yorkに長期滞在していたという。本場のサウンドを体感していたのだろう。それはこのユニコーンを聴いても良くわかる。 まだ情報の伝達が遅い時代の中、1973年にこのサウンドをやっているのはUSのジャズシーンと比べてもリアルタイムすぎる。はるか海を渡って向こうのコミュニティーに入り込み、サウンドとしても、向こうのカルチャーとしても自分の作品に取り入れ、これだけの作品を作ったのは中村照夫氏にはリスペクトしかない。

Jazz Funkからフリー、スピリチュアルなJazzまで楽しめる、この作品は必聴盤。

ちなみに私は中村照夫氏に過去に一度だけお会いした事がある。
共通の知人がおり、その人とライブをした時に、なんとお客として現れたのだ!
ライブ後「音が太くて良かったよ。それが何より。」と言われ、とても嬉しかったのを覚えている。ユニコーンを聴き、そして、このコラムを書きながらをそんな事を思いだした。 励みに、また明日から頑張ろう。

funk!!


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大林 亮三(おおばやし りょうぞう)

1990年9月7日生まれ。 2015年5月に自身がリーダーを務めるRyozo Bandにて DJ MURO(King Of Diggin')プロデュースによる7inch作品をリリース。 2017年にはJAZZ/HIPHOPバンドのSANABAGUN. に加入。バンド活動以外にも様々な分野でのスタジオセッション ワーク、Jazz Funk プロジェクトにてロンドン・パリなど海外演奏も経てベーシストとしても国内外ともに活躍の幅を 広げている。他にもアパレル・ブランド「ISSEY MIYAKE」のタイアップ映像の音楽制作や、ジャニーズ・ エンタテイ メント / mix / ヒプノシスマイクなどといった大手企業コンテンツにも楽曲提供を行う。 2022 年には音楽劇『スラムドッグ $ ミリオネア』で劇伴演奏のバンドマスターを務める。

●INSTAGRAM : https://www.instagram.com/ryozo_obayashi/
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海外での人気も高い「Get Lost」「CITY」に続く Ryozo Band の 3rd アルバム「Utopia」がリリース! AFRO BEAT のエッセンスを取り 込んだ FUNK の曲が多く、聴き応え抜群。 表題曲の「Utopia」は Ryozo Band が得意 とするパーカッションが効いた生バンド Groove、 ハウスチューンとなっている。
7/10には青山 月見ル君思フにてリリースパーティーを開催!!

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