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くっしゅ くしぇ

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お題をもとになんか書くマガジン 毎月第2、4週目の木曜日と金曜日の境目に更新。 参加者募集中。お気軽にご参加を♪
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#散文詩

得業察知  #4 エゴサーチ

さがしてもみつからないのに そういって目を伏せたのはきみだった けれど、僕は知っていた ただ、さがしていないだけなのだと きみは、僕を探すその一言を知らない 僕は、僕のことを世界の誰よりも知っているから 僕が僕を探すのは、世界中の誰よりも、簡単だよ だけどきみは、いつだって その小さな枠の中にきみの知っている何かをチマチマとぶち込んでいるだけなんだ ねえしってる? 僕が誰なのか その言葉が、なんなのか きみは僕のことがわかるのかい? きみは、ぼく、なのかい? どうな

挙げる手 格差 #3 ウザ絡み

何かを崇めるとき、人は「手を挙げる」 そのものを自分より高い/貴いものと認めていることをその身で示すかのように 手を、挙げる ロックミュージシャンに拳を挙げて見せ 神に祈るためには組んだ手を額に近づけるたり合掌しつつ首を垂れることで相対的に手を挙げて見せるし 賛美するために行われるのは万歳だし、お互いに手を挙げるならハイファイブだ それは、さながら犬の見せる「降参のポーズ」のよう 強きものに腹を見せ、前足をたたみ、顔の横に収めてしまう ステージ上から見える無数の掲げられ

居 酒 屋   #2「居酒屋」

考えてみたら変な言葉だ 居+酒+屋 居れる酒屋なのか 居る前提で売る酒屋なのか 「居」っていうのもなかなかな見てくれである 庇の下で椅子に座って手を広げてご高説を垂れているおっさんがいる。 「やあやあみなさん、今日は存分に飲んでくれたまえ!無礼講だ☆」 「部長!おごりっすか!」 「んなわけないだろこの安月給でバーカ!」 「安くて悪かったな!」 「「「しゃ、社長―!!!」」」 みたいな三文芝居的オヤクソクが瞬時に脳内を駆け巡る 学生からおっさんまでがわいわい騒ぐためだけにあ

あタリはズレとおいてけぼりの小石 #1「あたりはずれ」

コツン、コツン 久しぶりにはいた革靴の踵が町の石畳をたたく、音 似つかわしくないその音をまとうことを避けるのは美意識が作用した当然の道理 そぐわないのは私? あの町? コツン、コツンと靴の音は私をもノックする コツン、コツン ここはドアですか? あの町を歩く私 コツン、コツン ここはドコですか? この街を歩む私 コツン、コツンと進んでいけば コツン、コツンと刻まれる ときが過ぎればすこしづつ、おぼろげになる目的地 そうか、それはちがったんだな もっともっとの確からしさを探