琴葉エビフライ

「お姉ちゃん、手を出して」
 葵がそんなことを言って握りこぶしを差し出してくる。
 ウチはそれを受け取るような形で手を出した。
 葵の手には何かが握られていて、拳を開けばそれが落ちてくるのだろう。古典的な遊びだ。
 しかし葵の考えていることなど姉にはお見通し……いや見えていた。握られている拳からエビの尻尾のような物が見えていた。
 茜は落ちてきたそれを優しく手のひらで受け止めて、大袈裟にならないように控えめに喜びの言葉を返した。

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