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カニバリ恐怖症

ビジネス用語の中で「カニバリ」という言葉をご存じだろうか。もともとは共食いを意味する英語で、カニバリゼーションから派生しています。

もう少しわかりやすく言えば、「自社の新製品や新事業によって既存の製品や事業の売上が減少すること」です。

この言葉がもたらすビジネス上の悩みや誤解、そして新しい視点について考えてみましょう。

1. カニバリの本質


「カニバリ」とは、新たな製品や事業が既存のものと競合し、その結果として既存の売上が減少する現象を指します。

これは共食いの英語である"Cannibalization"から派生しています。ビジネスにおいては、同じターゲットに向けた商品開発が生み出す「共食い」を心配し、慎重になることが一般的です。

2. カニバリへの臆病なアプローチ


私が所属する企業の開発会議でもこのような話が多々あります。

例えば、「既存商品とカニばっているので、見直したほうが良い。注意したほうが良い。大丈夫か?」という意見が登場します。

しかし、同じターゲット向けに低価格商品を提供する、革新的な新商品が開発された際、既存の高価格商品の売上減少を心配する声が挙がります。共食いを気にしてそういう商品の開発は避けようという考え方です。既存製品の売上げを「食われる」不安からくる考えです。

しかし、このような悲観的なアプローチでは、真のビジョンを見失ってしまう可能性があります。

3. 革新的なアイデアに挑戦


そうした弱気な戦略はじわじわとボディーブローが効いてきて、売れていた商品までもが売れなくなってきます。だから、我々開発者はカニバリを気にせず、ユニークで革新的な商品企画・開発に取り組み、常に市場を活性化させるべきです。

新しい商品を導入する際には、既存商品との競合を覚悟しなければなりません。しかし、その競合こそが新しい市場を開拓する手段でもあります。

強気の姿勢でジャンルを開拓し、ユニークで革新的な商品開発に挑戦することが、持続的な成長への道を切り拓く鍵となります。

4. カニバリによる阻害


一方で、ビジネスの中でカニバリへの恐れが新しいプロジェクトを阻害し、大きな方針転換を引き起こすこともあります。高価格帯の商品が低価格帯に押しやられる可能性に対する懸念が、新しいアイデアの実現を難しくしているのです。しかし、あまりに防衛的になると、力強く売上を伸ばす戦略を抑制してしまう可能性があります。

5. イノベーションの敵、カニバリの乗り越え方


ビジネス環境が厳しさを増すなか、イノベーションこそが企業の持続的な成長に欠かせません。しかし、既存事業と新規事業が互いに売上を奪い合う「カニバリゼーション」はイノベーションの敵となります。

この問題に対処するには、商品の違いを顧客に認識させる工夫や、新商品を異なるチャネルやターゲットで展開するなどの対策が求められます。

6. カニバリを活かすシェア拡大戦略


私の経験から言えることは、競合企業よりも安くモノづくりができるノウハウがあることです。同様の商品で競合他社のカニバリゼーションを創出することで、自社の市場シェアを拡大させることも考えられます。しかしこのやり方は、行儀のいいやり方ではありません。

同様の商品を真似て低価格で提供するだけではなく、商品のコンセプトやストーリーなど本質的なところに注意を払うことが必要です。

7. カニバリに臆せず、本質にフォーカス


最後に、ビジネスの発展においてカニバリを気にしすぎず、本質的な商品開発に集中することが重要です。防衛的な姿勢ではなく、市場における差別化や価値提供に焦点を当て、新しいものづくりに取り組む姿勢が求められます。

商品開発というものは、コンセプトやルーツ、ストーリーが大切です。ただ単に同様の商品を低コストで提供できたからと言って、市場のシェアをとれるものではありません。

ビジネスの未来を切り拓くためには、リスクを恐れず、新しいアイデアに挑戦することが必要です。カニバリを乗り越え、革新的な発想と柔軟性を取り入れることで、ビジネスは新たなステージに進むことができるでしょう。

「カニバリ恐怖症」に振り回されず、新しいビジネスの地平を切り開いていくことが、持続的な成長への鍵となります。臆せずにカニバリを乗り越え、革新的なアイデアを追求することで、ビジネスは変革し、未来を切り拓くことができるでしょう。


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