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NewJeans『Ditto』のボルチモアクラブ・ジャージークラブ感を解剖

本稿は、高橋芳朗氏が、2023年1月26日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でニュージーンズについてトークについてまとめたものと、音楽情報サイト「YGDB」からの情報をまとめたものです。

NewJeans『Ditto』のサウンド面の特徴、ボルチモアクラブ・ジャージークラブ感についての解説となります。


NewJeans(ニュージーンズ)の最新ヒット曲「Ditto」は、ボルチモアクラブとジャージークラブの魅力的な融合を堪能させる楽曲として注目されています。このエッセイでは、「Ditto」の音楽的な要素と、その背後に潜むボルチモアクラブとジャージークラブの影響に焦点を当てます。

まず初めに、ボルチモアクラブがどのようなジャンルであるかを理解することが重要です。1980年代後半にアメリカのメリーランド州ボルチモアで生まれたBass Musicの一ジャンルであり、ブレイクビートの要素を含んでいます。ボルチモアクラブは、30年以上にわたり複数のジャンルやリズムパターンを取り入れつつ、ビート感とフィールが近い楽曲をカバーしてきました。その中で、特定のビートが2000年代以降に流行したJersey Club(ジャージー・クラブ)のルーツとなりました。

「Ditto」の起源に触れる前に、ボルチモアクラブの代表的なビートを考察しましょう。1993年のヒット曲「Dikkontrol」の5つ打ちのキックパターンは、現在もジャージー・クラブのリズムトラックの基本として広く受け入れられています。このキックパターンが、NewJeansの「Ditto」にも影響を与えていることは興味深いポイントです。

キックパターン | Why Is Jersey Club Music Everywhere Right Now?

2022年8月、韓国のガールズグループNewJeansの「Ditto」が登場した際、ボルチモアクラブとジャージークラブのビートを組み込んだことで注目を集め、Billboard Hot 100に入りました。ただし、曲自体がボルチモアクラブなのか、それともジャージークラブなのかという問いに対しては一概に答えが出せません。実際には、どちらのフォーマットにも完全には合致しない独創的なアレンジが取り入れられており、キックパターンだけを見ればどちらも正解です。

NewJeans – Ditto (DJ Sliink Edit) [2022.12]韓/米 Jersey Club

本稿の参考文献である高橋芳朗氏による解説からも、曲のキックパターンがジャージークラブのスタイルであることが強調されています。高橋氏が示すように、「Ditto」のビートはジャージークラブスタイルの典型であり、他の曲と比較してもその特徴は明らかです。ジャージークラブの特徴的なキックが、曲を通して重要な役割を果たしています。この要素は、ジャージークラブの流行を意識したトレンディな制作手法の一環として注目されています。

さらに、エッセイでは「Ditto」が90年代から2000年前後のメロウでメロディアスなアメリカのR&Bをモチーフにしている可能性が示唆されています。この音楽的な基盤が、日本のR&BやジャパニーズR&Bとの類似性を引き起こし、聴衆に90年代R&Bのノスタルジックな雰囲気を感じさせます。

最後に、タイトル「Ditto」の独特な魅力にも触れられています。その付け方は驚きと興味を引き起こし、一度聴いたら頭から離れない印象的なリリックに結びついています。この巧妙な歌詞は、曲がトレンディでありながらも独自のアイデンティティを確立していることを示しています。

「Ditto」は、ジャージークラブとボルチモアクラブの異なる要素を取り入れ、独自のアプローチで混ぜ合わせた結果生まれた楽曲であり、その魅力は単なるジャンルの垣根を越えたものと言えるでしょう。NewJeansは、今後も彼ら独自の音楽スタイルで新たな可能性を切り開いていくことが期待されます。

参考文献

Baltimore club / Bmore(ボルチモア・クラブ/ビーモア)とは

高橋芳朗 NewJeans『Ditto』のボルチモアクラブ・ジャージークラブ感を語る

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