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ミニマル・ミュージックとは

ミニマル・ミュージックとは、20世紀の音楽において新たなアイデアとアプローチを提供し、音楽の限界を広げた音楽のジャンルです。ミニマル・ミュージックは、最小限の音の動きの中で繰り返しが起き、その曲調が洗練された音楽で、聞き手をじっくり心地の良い世界へと連れていき、「音楽に酔いしれる感覚」を刺激することが特徴です。

ミニマル・ミュージックの誕生

ミニマル・ミュージックは、1960年代にアメリカで生まれました。その時期には、テリー・ライリーの「In C」(1964年)やスティーヴ・ライヒの「It’s Gonna Rain」(1965年)「Come Out」(1966年)などの作品が作られています。これらの作品は、テープループやディレイなどの電子機器を使って反復する音楽を作りました。また、インド古典音楽やジャズなどの影響も受けており、即興性や多様性を持った作品を発表しました。


ラ・モンテ・ヤングの「弦楽三重奏」(1958年)をミニマル・ミュージックの始まりとする説もあります。この作品は、反復やドローン(長く持続する低い音)を用いた作品で、時間感覚や聴覚の変化に関心がありました。彼はまた、長時間にわたる作品を発表しました。例えば、彼の代表作である「The Well-Tuned Piano」は約5時間かかるピアノ曲であり、彼の別の作品である「The Dream House」は1962年から現在まで続いているインスタレーション作品です。

1968年には、当時音楽評論家として活躍していたマイケル・ナイマンがコーネリアス・カーデューの「The Great Digest」を評す際、当時は抽象絵画などを表現する時に用いられていた単語「ミニマリズム」を文中で用い、音楽評論で初めて「ミニマル」の概念を持ち込みました。ナイマンは、「実験音楽 ― ケージとその後」という著書で、ラ・モンテ・ヤングやジョン・ケージなどの作曲家について詳しく分析しました。

ミニマル・ミュージックの発展と影響

その後、ポストミニマルへと姿を変え、ミニマル・ミュージックの要素を部分的に取り入れるような作品が多く作られるようになりました。ジョン・アダムズやアルヴォ・ペルトなどがその代表例です。彼らは、ミニマル・ミュージックの反復や静寂といった技法と、旋律や和声といった伝統的な要素とを組み合わせて、新しい表現を生み出しました。

また、同じように反復を主とするテクノ方面にも、思想や音楽面で大きな影響を与えました。リッチー・ホウティンやニコ・ミューリーなどがその例です。彼らは、ミニマル・ミュージックのリズムやテクスチャと、エレクトロニック・ミュージックのサウンドやビートとを融合させて、ダンスミュージックやポップスに新たな息吹を吹き込みました。

ミニマル・ミュージックは、20世紀の音楽において革新的なムーブメントであり、その影響は現在も様々な分野に及んでいます。ミニマル・ミュージックは、音楽の本質や意味について考えさせるとともに、音楽を新しい視点で聴く機会を与えてくれます。

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