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僕が勝手に始めた「社内ノマド」という働き方

僕が働いているのは港区のイケイケなIT企業。社員に1人1台、Macが支給されている。窓の外には東京タワー。近くの席からは外国籍の社員が英語で話している声が聞こえる。

現在、社員数は400名ほど。全社でSlackを使っているし、リモートワークも利用できる。職場環境はこれ以上ない程に快適だ。ただ、オフィスは固定席。今回はそれについて思うことを書いてみる。


今の会社に転職して1年半が経つが、3ヶ月ほど前から僕の働き方は少し変わった。

10時に出社する僕は午前中は集中して時間を過ごす。このとき周りの音や人の動きは特に気にならない。自分の作業だけに集中できている。とても理想的な状態だ。

ランチを終えた午後2時。集中力は半分に落ちてしまい、なかなか集中できない時間帯に突入する。午前中は全く気にならなかった周囲の音や様子がノイズとなって体に入ってくる。午前中までの集中力が嘘のようだった。

ある日から思い立って、実験的にいろいろな働き方を試してみた。ひとまず作業場所を変えることから始めた。まず上司に相談して許可を得ることに成功。午後もしくは夕方の集中力が落ち始める時間から休憩室に移動することに。

周りを見ても休憩室で働いている社員はほとんどいない。最初はビクビクしながらの試みだった。他の社員から後ろ指をさされないように、Slackで何か連絡があればすぐに反応してサボる為に自席を離れている訳ではないことをアピールする。直接話す必要がある時には、チームメンバーがいる固定席まで戻って話をした。

上述した休憩室だが、テーブルと椅子が置いてあり最大15人が座れる。ただ名前の通り、そこは休憩場所。ランチ時は満席になって混雑するし、ウォーターサーバーやコーヒーメーカーを使いに来る人で行き来が多い。ちょっとした打合せや一時的に作業する場所には良いが、ガッツリと仕事するにはあまり適していない。

できれば、フリーアドレス制を導入するとか、1フロアを丸々社員が自由に使っていいスペースを作るとか大企業みたいな大胆なことをやってもらえると非常に助かるというのが本音。

だが、今のところ僕みたいな働き方をしている人は社内に少ない。自分の席にドッシリ座って、基地みたいに使っている人が多い印象を持っている。弊社はエンジニアが多いので、一般的な企業とは比べられないが。ともあれうちの職場の現状は、同じ場所で仕事するのが当たり前のオフィス環境が設計されている。

勝手に始めた社内ノマド生活から3ヶ月。僕にはこの働き方が合っていたようだった。その日の気分で働く場所を変えて、集中できる時間を意図的に作る。このように場所を変える方法を実践してからは、会社にいる8時間をずっと同じ場所で過ごすのことが信じられないようになっていた。


僕以外にも作業場所を変える働き方が広がればいいなとも思うが、残念ながら日本には喋りながらゆるゆる仕事したい人が会社員には多いように感じる。なので、社員の意識が変わらない限りは会社も変わっていかないだろう。

会社にはそこまで期待していない。とりあえず個人ができる範囲で、自分の居心地がいい働き方を試していきたいと思っている。

その一貫で最近はノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを耳に付けている。最初は周りの目もあり社内で装着することに抵抗があったが、次第に気にならなくなった。ほんとに別世界。これで周囲の音は遮断できる。が、視界までは遮断できないので、場所を移動して一人の空間を用意している訳である。

集中できる職場環境は十人十色なのに、今はみな同じ場所で仕事することを強制されている。フリーアドレス制は僕のような社内ノマドを好む人にとってはいいが、いつも同じ席の方が落ち着く人にとっては抵抗感を示すものだろう。人によって、心地いい働き方は異なる。

コワーキングスペースの広がりや社員が快適に集中できる職場作りに関するニュースを見聞きすることが増えた近年。企業も様々な試みを模索している段階にある。欧米ではABW(Activity Based Working)という、仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶという働き方が広がっているようだ。

2020年代では、もっと多様な働き方が一般化するといいなと思う。


「働き方」について書いた過去の記事。


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