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日本の仲間と歌いたい。夢を叶えるまで歩んだ”回り道”

こんにちは!KAMIKITA HOUSE住民のきどみです。

KAMIKITA HOUSEに暮らす個性豊かなメンバーの魅力を伝える住人インタビューシリーズ。第3回は、日本の専門学校に通うジュホン(28)にお話を伺いました。ぜひ最後までお楽しみください!

ジュホン(28)
韓国のソウル出身。昨年11月に来日し、現在は日本の音楽系の専門学校2年生。歌うことやお芝居が好き。

なんとなく、で始めたミュージカル

ーーミュージカルが好きなんですね。いつから興味を持ち始めたんですか?

中学の時アメリカに留学していて、その時からです。留学生をまとめているスタッフから部活に入るよう勧められ、お芝居ならやってみたいかも、と入部しました。

ーーその後、ミュージカルにハマるように?

最初は裏方だったんですけど、参加するうちに舞台に立ちたいと思うようになりました。その後一文だけソロパートをもらい、舞台で歌えたんです。公演後、その少ないソロを聞いたお客さんから「素晴らしい歌声を持ってますね」と声をかけてもらいました。嬉しくて今でもよく覚えていて、そこから本格的に歌を勉強しようと思いました。

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ーー中学生でアメリカ留学って珍しいですよね。なぜアメリカに?

実は、あまり前向きな理由ではないんです。当時友達と家族との関係が上手く行ってなくて、逃げるように留学しました。アメリカを選んだのは、留学経験のあるお母さんの友人の影響です。自分は幼少期、アニメや漫画が好きだったので、アメリカだったら「ピクサー」があるし色々学べるんじゃないか、という理由で。

「ミュージカルがやりたい」その一心で挑み続けた大学受験

ーーその後、アメリカでミュージカルに出会ったのですね。高校、大学もアメリカでしたか?

高校もアメリカの学校です。3年生の大学受験の時は、演技が学べるアメリカの大学を受験しました。しかし、結果は全滅。結局、心理学の大学に進むことになりましたが、すぐに辞めてしまいました。

ーーやっぱり、ミュージカルがやりたいと思って?

はい。毎日酒を飲んだり、カラオケに行ったりして堕落した生活を送っていました。これはダメだと思って、1学期終了後に韓国に帰国したんです。その後、韓国でもう一度演技の大学を受け直そうと決めて、塾に通って対策を始めました。

ーー結果は?

二度目の全滅です。韓国の芸術系の大学は200人受験して1人だけ合格できるような高い倍率です。狭き道ですよね。その後精神的に参ってしまって、うつ病状態になりました。2ヶ月間くらい部屋に引きこもって大好きなアニメばかり観てましたね。

ーーその後、立ち直るきっかけはあったんですか?

自分を心配したお母さんから、メンタルクリニックに通うよう言われました。そこの先生と出会ったことで、自分は再び人生と向き合うようになったんです。先生とのカウンセリングで、「演技の大学には行けなかったけど、幼い頃から好きだった美術をやるのはどうか」と提案されました。確かに、美術は勉強してみたいと思えたので希望を持ちました。ただ、韓国の美術大学は気が進まなかったので、またアメリカに行くことを決意しました。今考えると、贅沢な選択ですね(笑)

ーー2度目のアメリカ留学を決意したんですね!美術の勉強は続きましたか?

アメリカの美術大学は合格し、通うことはできました。しかし、やっぱり歌が歌いたかったのでまた大学に行かなくなってしまいました。大好きなカラオケに入り浸り、毎日取り憑かれたように酒を飲んでました。病院で処方された薬を一気に飲んだりもしてましたね。この生活が続くといつか死ぬんじゃないかと思って、兵役を言い訳に大学を休学して、また韓国に戻りました。

絶望の先に出会えた大切な日本人の仲間たち

ーー韓国に帰国後は何か新しいことを始めましたか?

いえ。韓国に戻っても希望はなく、しばらく将来が真っ暗でした。大好きだったミュージカルはできていないし、両親には留学や大学で多額の費用を払わせてしまった。これから自分はどうやって生きていけばいいんだろう、と。
ですが、そんな時に出会ったのが「コモンビート」です。

ーー「コモンビート」とは?

「コモンビート」は、日韓市民ミュージカル団体のことです。友人から誘われたのをきっかけに知りました。参加する意思があればオーディション無しで舞台に立てるのが魅力だと感じてます。サラ(住人)と出会ったのもここです。これまで、韓国や日本で公演を行ってきました。練習のため、韓国から群馬まで毎週末通っていた時期もあります(笑)

ーー群馬まで!遠かったですね(笑)コモンビートがきっかけで日本に興味を持つように?

そうです。素敵な日本人の仲間と出会えたおかげで今自分がここにいると言っても過言ではありません。「ジュホンの歌が好き」と言ってくれるみんなから勇気や希望をもらいました。コモンビートを続けていくうちに、この人たちが住む日本に訪れて、一緒に歌いたいと思うようになったんです。

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自分の人生、これからも真剣に生き続けたい

ーージュホンは、ミュージカルに対して並々ならぬ強い思いがあると感じます。どんなところに魅力を感じてますか?

お芝居を通して、自分じゃない人物になれることですかね。医者とか化け物とかロミオとか。色んな人の立場に立って、物事を考えたり、感情を理解できるようになる。また、チームで作り上げていくところも魅力の一つだと感じています。自分一人じゃできないし、自分がいなくても成り立たない。どんなに小さな役割でも自分を必要としてくれる場所があることがとても嬉しいです。

ーー7/6にライブ配信をしていた、「Jesus Christ Superstar」の「ゲッセマネの園」も圧巻でした。出来としては?

宗教を題材にした曲で、とても難しかったです。ただ、高校生の時からやりたいと思っていたので、自分の夢が一つ叶いました。演奏してくれたベースやドラムなどのみんなも大変そうに練習していましたが、最終的には素敵に仕上げてくれたので、感謝でいっぱいです。

ーーこれからも、ミュージカルは続けますか?

そのつもりです。現在通っている専門学校を卒業したら、日本の音楽大学に通い、本格的に音楽の理論や楽典を学ぼうかと思っています。実は、歌うことは好きだけど、こうした勉強は避けてきたので、真剣に向き合わなきゃなって。

ーー最後になりますが、KAMIKITA HOUSEには、夢を追いかけている人がたくさんいます。そんなみんなに、メッセージをください。

これだけは伝えたいなって思っているのは、「人はいつ死ぬかわからない」ということ。自分は、3年前に韓国で過呼吸になって救急車で運ばれたことがあります。診断結果は人間関係がきっかけで起きた”パニック障害”で、この時人生で初めて”死”を意識しました。同時に、絶対死にたくないと願った瞬間でもあります。何が起きるかわからないからこそ、自分の人生を大切に生きてください。やりたい、と思っていることがあるなら失敗を恐れず真剣に向き合ってあげてください。これからも自分の夢や目標を大事に生きていきたいですね!

【取材後記】
入居初日からテルマ(住人)とQueenの『Don't Stop Me Now』を力強い歌声で見事に歌い上げていたジュホン。歌に対する本気度を感じ、なぜあんなに生き生きと歌っているのか、気になったため今回取材をお願いした。

インタビューを通して分かったのは、一言で「好き」と表せないくらい歌と真剣に向き合ってきたということ。「歌いたい」ために葛藤し続けたジュホンの過去は、一見すると遠回りだったかもしれない。でも、確実に必要だった時間で、その過去があったから今キラキラした表情で心から楽しそうに歌えているんだと思う。だからこそ、「夢に対して真剣に生きた方がいい」というジュホンの言葉に重みを感じた。これからもきっと歌い続けるだろうし、その過程で様々な困難にぶつかるかもしれない。でも、その度自分の気持ちを大事にして夢に向かって歩み続けるだろう。

取材:きどみ、コージー
執筆、編集:きどみ

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