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夢日記作品まとめ

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【夢日記】シリーズをまとめています。
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#小説

【夢日記③】飛行

昼下がりの優しい光が差し込み、心地の良い風が吹く校舎は懐かしく、埃っぽい匂いがした。 誰もいない校舎の廊下を、私は思いっきり手足を伸ばし、飛んでいた。 顔に当たる風が心地よく、涼しい。白い廊下に差し込む光は眩しく、目が眩んだ。 どうやら当時の制服を着ているらしく、風に煽られたスカートがパタパタと足を打っている。 僅かに右肩を下げると、私の体は滑らかに右へ曲がった。懐かしい渡り廊下。この渡り廊下でたくさんおしゃべりをした、中学生の頃の友達の顔が思い浮かんだ。大人ぶってい

【夢日記②】暗い森

私は父と母、それから妹といつもの軽自動車に乗り道を走っていた。 しかし、窓の外は日常とはかけ離れた景色だった。空は薄暗く、濁った紫色をしていて、ひどく不気味だった。普段見えるはずの街並みも見えず、どんよりとした紫色のもやがかかっているだけだ。気のせいか肌寒くも感じる。 ハンドルを握る父は前かがみになり、酷く怯えた顔をしている。母と妹も不安げに辺りを見回している。 しばらくすると、車は薄暗い森に入った。私は、その様子を少し離れた車の真横から見ている。 木々はどれも紫色で

【夢日記】箱庭

薄暗く、固い地面に立っていた。 見上げると、四角く切り取られた空が見える。私は妹とふたり、どこか地下深くに立っているようだった。 周りを見渡すと、暗い灰色のコンクリートの壁に囲まれている。学校の教室くらいの広さがあるように思うが、圧迫されているようでかなり息苦しい。 どうやら私たちはここから出たいらしい。四角い空を見上げたま、目の前の壁に手をかけた。 苔むした壁一面には、手と足を掛けられるくらいの四角い穴が空いている。その穴に手を入れると、指先が濡れる感触がした。 上へ