「分け合えば足りる」どんぐりと子供たち
滋賀県守山市にある、ひなぎくこども園さんにて、僧院長が招かれ子供たちにお話をしてきました。
この日僧院長を待っていたのは、五才のクラスの子供たち。
お会いするやいなや「お坊さんだー!!」とキラキラした目で元気いっぱいご挨拶をしてくれました。
園長先生からこどもたちに仏教のお話をとのご依頼をいただいたこの日。
小さな子たちにどんなお話をしようかと考えていた僧院長でしたが、おもむろに取り出したのはどんぐり。
こども園さんのすぐ近くで拾ってきたどんぐりたち。
「ここにどんぐりがあります」
「どんぐりで遊んだ後、他にどんぐりで遊びたい人がいたらどうしますか?」
「欲しい人がいたら、あげたらいいんだよ」
「自分がまた遊びたくなったら、また貰ったらいいんだよ」
「みんながどんぐりを必要な時に遊んで、遊び終わったら必要な人にあげたら、いつでも遊ぶことができるよね」
「このどんぐりが自分のものだから、誰にもあげない!って、皆がしたら、どんぐりがいくつあっても足りないよね」
「必要な人がいたら、あげたらいいんだよ。みんながそうしたら、必要な時に必要なものをわけわけ出来て、誰も困らないんだよ」
「これは2500年前のインドで、お釈迦様が教えてくれたことなんだよ」
お釈迦様が生涯説き続けた、人が幸せに生きるための方法。
その方法を、その時代、その場の人に分かる言葉で、表現で伝え続ける存在、それがお坊さんなんだよ。と、どんぐりを交えながら子供たちにお話しをしてまいりました。
お話の時間は15分間だったのですが、子供たちはとてもお行儀良く座って耳を傾けてくれていました。
実は小さな子供たちにお話をするのが初めてだった僧院長。
お話伝わったかな・・・と少し心配していたのですが、
退室した後に、「おはなし楽しかったー!!」
と元気に話していた子供たちもいたとか。
スタッフもホッとひと安心でした。
帰り際には、「お坊さんさようならー!!」と、沢山の園児たちが手を振って見送ってくれました。
後日談ですが、
僧院長のお話しがあった後、こども園内でどんぐりがとっても沢山出てきたそうです。
なんでも、子供たちがそれぞれに持っていたどんぐりをしまい込まずに取り出してみんなで遊ぶようになったからだとか。
ひとりひとりがしまい込めばいくつあっても足りないどんぐりですが、分け合うととっても沢山、きっと遊び尽くせないほど実は持っていたのかもしれませんね。
優しくて素直な子供たち、仏教のお話しに触れての早速の実践とはさすがです。
どんぐり経済(笑)が一挙に活性している・・・!なんて思ったのは私だけでしょうか。
独り占めせず、足りていればあげればいい。
自分に出来ることを考えて、相手のことを大切にして行動する。
そんな当たり前のことが実は一番大切で、仏教はずっとそれを説き続け、伝え続けています。
当たり前に、誰もを大切に出来る世界へと。
僧院長が言う、「仏教が仏教と言わなくてよくなる世界」を垣間見せていただいたこども園さんでの機会でした。
ひなぎくこども園のみなさま、この度は誠にありがとうございました。
文章:松波さゆり(日本仏教徒協会 事務局/ごはん担当)
事務局スタッフかつ、お寺のキッチン担当。ものすごく和食を作ってそうな見た目に反して、作る料理は基本インド料理。
お寺でのおふるまい経験値が増えるとともに、何十人前でもどんと来い。な台所番になりつつある今日この頃。
一級和裁技能士という着物の仕立て職人でもあります。