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2023.3.3 MEET YOUR ART FAIR 2023 RE:FACTORY所感「乾いた心を潤す作品のパワー」

最近どっっっっぷりとNovel Core強火な私ですが、性懲りも無く(しかも翌週もビビソニとD.U.N.K.で遠征するのに)、現代アートとコラボしたこちらのイベントにお邪魔していました。

朝から16時まで仕事で、久しぶりに精神的になかなかハードな辛い場面があって、ずっと「太朗(Novel Coreの本名)に会いたい、後少しで太朗だ」と自分を励ましながら、文字通り夜明けを待つ哀れな民草のように、心がカラッカラに乾いた状態で息も絶え絶えで会場へ足を運びました。

ライブ開演前にアート展示を鑑賞。
広いスペースに所狭しと現代アート作品が並び、
QRコードを読み取るとその作家さんの作品や略歴を見ることができます。もともと現代アートやイラストレーションは自由で正解がない感じが好きで、詳しくは無いけれども直島、犬島、豊島をはじめ、各地の現代美術館や特設のバンクシー展などにも足を運ぶライトなアート好きである私。若手アーティストの様々な作品に触れることができていい刺激になりました。
でも先述したとおり、心がカラッカラの状態なので、うまく言えないんですがあんまり自分の中に作品に込められた想いを入れ込むことができず、ふらふらと会場を彷徨っていました。

今回Novel Coreとコラボした大山エンリコイサムさんの大型作品。

音楽でもアートでも、自分の心が痩せている時、弱っている時に、作品が持つパワーを健全に受け止められない、受け止めるのが辛いことってありませんか?この日の私はまさにそんな状態で、これできちんと今日のライブを楽しめるのかなと少し不安もありました。しかし、そんな不安はすぐに打ち消されることになります。

友人と合流しておしゃべりして、会場入りのために整理券順に並んで、囚人を運ぶような(実際は作品や荷物を運ぶためtだと思いますがw)大きなエレベーターに乗り込んで、会場に入って並んだ時に、これはヤバいことになりそうだと直感で感じました。

当選後の注意事項で「観客もアートの一部なので、応援グッズなどは持ち込まないでください」と記載があり、「タオルはダメそうだけどバンダナはいいのかな?一応持って行こうかな」などと呑気に構えていたのと同時に、「観客もアートの一部」ということはもしかして客席にもプロジェクションマッピングしたりするのかな、ハンズアップの手に何か投影されたりしたら面白いな と、いわゆるアートとコラボするイベントならではの演出の面白さに期待していました。

しかし会場には、DJブースもNovel Coreのロゴも何もない。モノトーンの、極限まで削ぎ落とされたステージがそこにはありました。サイドには大山エンリコイサムさんのアートデザインがあしらわれてますがそれだけ。プロジェクションマッピング用に必要な大型プロジェクターやステージに映像を映すすだれのような移動式の立体スクリーンなどが見当たりません。この方向性はやばい、わかりやすいエンタメではなくて本当に音楽とアートを一つにしようとしてるんだなと思いました。

ちなみに外から直接オールスタンディングの会場に連れて来られて、ロッカーなどが何もないため私を含む全員が厚手のコート(この日は気温が冬くらい低めでした)と荷物を持った状態。私はコートを腰に巻いて荷物を斜めがけすることでなんとか対応できたのですが、お隣の女性はトートバッグに大きな荷物を抱えていて、飛んだり跳ねたりするときに邪魔になるからどうしようと途方に暮れていました。荷物を持ったままライブに臨むと言う点で、すでに私たちのフェスへの訓練は始まっていたのです。いやー恐ろしい。
オールスタンディング初めてっぽい近くのOUTERさんが「フェスとかもこんな感じで何十分も待つんだよね?私自信ない」とおしゃべりしてましたが、「いや、タイテによっては何時間にもなるんだけどな…」と思いながら開演を待ちました。

整理券順に入場して、ステージど真ん中のカメラの真後ろ、前から三列目に陣取り、先ほどのヤバいことになりそうな激近のステージを見ながら、少しは乾いた気持ちにも潤いが戻ってきてワクワクが勝ってきました。でも全回復ではありません。ふと2022年の1月、コロナ禍真っ最中で移動もライブも制限されて、会社的にも責任ある行動を取れと言われている中、それでもどうしてもどうしても見届けたくて決死の覚悟で家族以外の誰にも言わずにTHE FIRST FINALに参加したときも、仕事が辛くてつらくてふらふらしていたことを思い出しました。いつも万全の自分ではなかったな、それでも楽しんできたじゃないかと。

予定時刻から少し遅れて照明が落ち、ステージのバック全面をスクリーンにして大山エンリコイサムさんの一筆からスタート。下手から登場したNovel Coreは、いつものNo Stylistでバチバチに決めたスタイルではなく、モードなメイクと髪型、モノトーンのシンプルな衣装。あまりの変貌ぶりに会場からは拍手と同時にヤバい!!!ギャー!という歓声というより悲鳴に似た声が飛び交います。私はといえば顔を覆ってぐふふふぅと、獣のような雄叫びを抑えるのに必死でした。配信を見られていた方はどうだったでしょうか?直視するにはあまりの存在感に頭をやられてしまいました。アーティストとしてだけでなくアートの一部として、そしてアートのパワーに負けないように、自分をセルフプロデュースするとはこういうことなのかと改めて感動です。

ミニマムなセットを見た時点でここでDAWNから始められてしまったらヤバいなと思っていたのですが、私の真正面に立ったNovel CoreはDAWNを歌い始め、まっすぐなその視線と声が乾いていた心を内側からじんわりと潤してくれました。私はNovel Coreのライブは必ずと言っていいほど感極まって泣いてしまうのですが、この日は泣くこともできない。そんな自分の気持ちに注意を向ける余裕もなく、私はまさに彼が掌握したこの空間の一部になっていました。

FREAK PARADE、JUST NOISE、iCoN、バベルといった攻め系のアップテンポな曲を畳み掛けた後で突然のUntitledにはしびれましたね。前も書いたかもしれませんが(いつもレポの字数が多すぎてどこに何を書いたか忘れてしまう。鳥だから。)、Novel Coreの曲は、明るい曲もそうでない曲も、人の孤独と痛みを否定しない、そこからほのかな光を手探りで探すような世界が作られていて、それがたまらなく好きなところなんですが、Untitledはまさにそれを濃縮して煮詰めて大切な一滴の水にしたような、乾いている人、寂しい人の隣にそっと寄り添ってくれる曲だなと改めて感じました。大好きなクマさんの生ギターでないのは少し残念でしたが、今回の趣旨は「俺の歌を聴け」ではないのですから当然でもありますね。

全体を通してバックのエンリコイサムさんのアートワークが曲に合わせて変化していって、それも含めて一つの作品になっていたわけですが、結構それって難しいことだと思うんです。普段音声として受け止めている曲を、アートデザインの形で視覚化されてしまうと、曲の解釈に自由度がなくなってしまったり、自分がその曲と大切にしてきた世界と違和感があったりすると残念ですよね。そういう意味ではMVも意外と難しいと思ってます。
今回のコラボレーションは全く違和感がなかっただけでなく、相乗効果で曲に広がりを持たせてくれたなと感じました。perfumeを追いかけていた時もMIKIKO先生の演出、ライゾマティクスの映像デザインが一体となったライブを見ると、CD音源だけでは響いていなかった曲を大好きになったりすることがあったのですが、Novel Coreとアートもまだまだ無限の可能性があるなと楽しみになりました。彼自身が描く、作る作品やデザインも素敵なのですが、こうやって自分以外の人とセッション、フューチャリングして行く中でさらにその感性を広げていって欲しいなと思いました。

ちなみに余談ですが、今回はフル声出しOKということで、先日SOUND CONNECTIONでもトライしていた「歌って!」とマイクを向けられることがたくさんあったのですが、さすがにカンナハシモトを言わせるチャレンジはなかったものの(あれはごめんね!俺のエスコートが悪かったって後日言ってましたねwww)、No Pressureはややキーが低くて女性OUTERには声量を出すのは難しいですし、他の曲でもコールアンドレスポンスの観客パートが歌詞を完全に覚えてないと分かりにくい部分だったりと、まだまだ試行錯誤は続きそうな予感です。早くSKY-HIみたいにコールアンドレスポンス用の曲ができてくるといいですね。きっと武道館に向けて準備はしてくるような気はしてます。でも私たちの声を嬉しそうに浴びているNovel Coreの顔を見ていたらそんな細かいことはどうでも良くなるんですけどね。

あっという間に30分ほどで終演し、往復8時間以上、一泊2日の遠征に対してどうだったかというとめちゃくちゃ価値がありました。あの乾いた心のまま、仕事に取り組んでも良い結果を生まないことは明白ですし、なにより自分が辛すぎました。あのアート作品の一部になれた、とても大切な時間をNovel Coreとエンリコイサムさんと会場のOUTERさんたちと、一緒に共有できただけでもすごく潤いをもらうことができました。
最後にNovel Coreが言ったんです、「音楽は、アートは、いつだってあなたの味方です」と。本当にその通り、今までもこれからも、衣食住のように必要最低限のものではないけれど、私たちが生きていくために音楽とアートは必ず必要なんだと、それを大切に守って育てていきたいと、強く思いました。

配信のアーカイブを残さないのはなぜだろう、せっかくならたくさんの人に見て貰えば良いのにと開演前まで思っていました。もしかしたら契約や著作権の都合かもしれませんが、そうであってもなくても、配信と一回限りのイベントで合わせて3,000人ほどの人たちと、まさに「今しかない一瞬の出会い」を共有したかった ということもあるかもしれませんね。

さて、明日は休日出勤で仕事に向き合います。この日のセトリをヘビロテして頑張ろうかな。

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