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22/7 四条月 魂を継ぎし蒼き炎

声を上げて泣いた。

いきなり筆者の超個人的な話で申し訳ない。何に泣いたのかというと、アップトゥボーイ2024年1月号、22/7(ナナブンノニジュウニ)全員(活動休止中のメンバーを除く9人)登場によるグラビア、それに伴う約2万字インタビュー、その中の四条月(しじょうるな)のパートである。これがいかにエモーショナルであるかというのを、まずは語らせてほしい。

2023年の様々な出来事を受け入れ、そこからまた力強く進み続けようとする彼女たちのインタビューは、どれも目頭を熱くさせるものであった。その中の四条、彼女がいちばんお世話になっていたという宮瀬玲奈の卒業を経ての心境の変化について、以下のように語られている(文脈の細かいところはぜひ本誌で確認してください)。

自分の中で"もう進むしかない"と覚悟が決まりました。
(中略)
自分の覚悟に確信を持つことができました。しかも最近は私の気持ちがファンの方にも伝わっているみたいで、"頼もしくなったね"と言ってもらえるようになったんですよ。"これからのナナニジを引っ張って欲しい"ってたくさん言って頂けるようになったのも、去年と今年の大きな違いです。嬉しいですね。

彼女は、活動当初は自分自身の気持ちの深い部分をあまり見せない人だった。インドネシア・バリ島生まれというインパクトのある情報が先行して目立っていて、その向こうにあるバックボーンが見えづらかった。後輩メンバーいちの謎多き存在と言えたのでは。そして、だからこそもっと知りたいという欲求を掻き立てられる存在でもあった。

そんな彼女も、活動を重ねていくにつれて徐々に外へと見せるものを増やしていき、いつしか記事で語られているような強い思いを発信するようになった。そして、それがファンの間でもしっかり認識されるようになっている。活動当初のスタンス、そこからの変化と成長、そして辿り着いた現在地。今回の記事はその流れを急激に思い返させ、猛烈なまでに感極まらせてくれたのだった。アイドルの成長物語として、この上ないほどの美しさを感じた。

投稿スタイルの確立、パフォーマンスの覚醒

彼女がどのタイミングでどのように変わっていったのかを簡単に振り返ってみたい。
以下の記事は、参考資料として非常に有用な単独インタビュー記事である。

22/7(ナナブンノニジュウニ)×entax単独インタビュー 四条月「画面の向こうにいた先輩方の隣に立っているのがいまだに信じられない」

今年(2023年)1月13日の記事であるが、ここで語られている通り、Twitter(現X)での活動が活発化し始めてから少し経ったぐらいの時期であった。前年(2022年)11〜12月頃に、彼女の現在の投稿スタイルは確立されたと言っていいだろう。

秋元康オタクである彼女はナナニジを知るのもかなり早かったようで、一緒に活動していない先輩メンバーやその担当キャラクターへの愛とリスペクトも非常に深い。このような、古くからのファンを泣かせにいくような、ある意味あざとい投稿が出来るのも大きな強みである。

entaxのインタビューにもあるように、「ナナニジ年末大感謝祭’22」(2022年12月23日)は彼女にとってターニングポイントと言えるパフォーマンスだったと思う。初披露となった「神様だって決められない」での、長い手足を大きく使ったダンスと豊かな笑顔のコラボレーションが、表現者としての彼女の覚醒を強く印象付けた。

努力が生んだ結果をスタッフに、ファンにたくさん褒められたのは大きな自信に繋がったことであろう。この後は定期公演「ナナニジライブ2023」ソロコーナー"朗読グラス割り"で度肝を抜き、「ナナニジ夏祭り 2023」のラップバトルではリハ段階から本気モードを見せ他のメンバーを鼓舞するなど、ステージパフォーマーとしての着実なパワーアップと幅の広さを見せている。

見え始めた人間味

自分自身のことを当初はあまり話してこなかった。その件について自ら触れたツイートがここにある。彼女のバックボーンが垣間見えた瞬間である。

「TopYellNEO2022〜2023」(2022年12月28日発売)のインタビューは彼女のベーシックな部分を知るのに適した内容で、"自分語り"のスタート地点と言えるのかもしれない。

その後、2度のSHOWROOM配信を行った後の2023年2月1日、「ツイッター1万人いくまで帰れま7」と称したSHOWROOM配信で、彼女の自分語りは早くも一つのピークを迎えた。

約4時間にも及ぶ配信で語られた、彼女の過去、現在、そしてこれからの事。
細かい内容については諸々の事情に配慮して差し控えさせてもらうが、謎深きアイドルの謎が一気に解け、ファンとして心の距離を縮められた気がした、そんな記念すべき内容の配信であった。

れいにゃん先輩

ここから後の話は、彼女ら後輩メンバーが初めて経験した"先輩メンバーの卒業"と絡めずにはできないだろう。宮瀬玲奈と白沢かなえ。四条にとって、特に宮瀬はとても大きな存在であった。

後輩メンバーにとって初めて経験する先輩の卒業が、私がいちばんお世話になっていたにゃん(宮瀬玲奈)先輩だったので、寂しい気持ちが大きくて。にゃん先輩には本当にたくさんのことを教えて頂きました。ライブのカメラ映りやビジュアル的なこと、1つ1つの表現方法など細かいところまで面倒を見て下さり、相談にもたくさん乗ってもらって。一緒にあんなことやこんなこともやりたいねってお話をしていたから、ご卒業が決まってからは"これからはちゃんと自分ひとりで戦っていかなきゃいけないんだ"という緊張感もあって、頭の中がずっとぐるぐるしていました。

アップトゥボーイ 2024年1月号

ユニット・蛍光灯再生計画はもちろん、紅白ユニットの全楽曲においても一緒だった二人。その関係性は今でこそ周知されていると思われるが、卒業前にはあまり表に出ていなかったように思う。

四条は宮瀬のことを"れいにゃん先輩"という"愛称+先輩"の独特な呼び方をしていて、ラジオ番組やインタビュー記事ではそのれいにゃん先輩の話題を出すことが比較的多かった。そういった点に気付いた宮瀬推しの筆者は、二人の関係性に注目し始めた。

印象的だった話を一つ。
「22/7 割り切れないラジオ+」第120回(2022年9月17日)にて。「この先輩のここが好き」というトークテーマで四条は宮瀬の「ライブ前に観客席に座ってステージを見ている姿」が好きだと答えていた。ストイックな"宮瀬プロ"の独特の振る舞いに、何か共感のようなものを抱いたのであろうか。

この二人を見ていて、よく似ているなと思ったポイントがある。それは、よく考えて考えて、その末に行動したりしなかったり、というところ。同じように慎重派であり、仕事への向き合い方も近いものがあるのだと思う。

師弟関係

二人の関係性について初めて具体的に語られたのは、月刊ニュータイプ2023年5月号、連載「あの日の彼女たち -SEASON 2-」での四条のインタビューだった。

私は玲奈さんにすごくあこがれていて、師弟関係を築けたとも思っているくらい特別な先輩なんです。

卒業まで2ヶ月足らずというタイミング。遅いって!
この師弟コンビをもっと堪能したかったというのが筆者の本音である。

他人に言えないくらい好きだった

「22/7 宮瀬玲奈 卒業コンサート」FC限定アフター配信「思い出循環バス」。二人のきちんとした会話が映像付きで公開されるのはこれが最初で最後?
これがもう、眩いほどに尊い瞬間だった。
以下、四条が宮瀬に語った内容を、誤解の生じないよう慎重に要約させてもらった。

「玲奈さんとはお仕事に対しての真剣な話ができた。それができるのが玲奈さん以外いなかったので、そこが心配というか、悲しいというか。これからどうしようって、ちょっと思う部分がある。」

宮瀬:これからも話聞くよ。

「悩んだり、どうしたらいいか分からないときに、玲奈さんがいてくれたから、玲奈さんがお話を聞いてくれたから救われた。」

「今さら遅い事かもしれないけど、もっと早くナナニジに入って玲奈さんの隣にいたかった。私が玲奈さんに話を聞いてもらえるように、私も玲奈さんのことをもっともっと支えたかった。」

「玲奈さんが私の先輩でいてくれて本当に嬉しかったです。」

「これからも先輩でいてください。」

「これからも、ナナニジの先輩でもあるし、宮瀬玲奈というこの一人の方が大好きで尊敬しているので人生の先輩でも。」

宮瀬:人生の先輩になります。

いつの間にか大きくなっていた背中

宮瀬と同じ蛍光灯再生計画の頼れる先輩・白沢かなえもグループから旅立っていった。河瀬詩は長期の休業を余儀なくされている。それでも前に進み続けるナナニジの中で、彼女の存在感は確実に大きくなっている。TikTokにXにSHOWROOMに、そしてステージ上での活躍にと、グループを背中で引っ張れるまでになったのではないだろうか。

頼もしいと言ってもらえるようになったので、次は"欲張っていきたい"って気持ちですね。今までは"与えられたものを完璧にこなすぞ"と思って頑張っていたけれど、来年はそれだけじゃなく、期待値を超えるようなものをファンの皆さんにお見せできたらいいな、って。"22/7に入ってくれて良かった"とたくさんの人に思ってもらえるよう、成果を出していきたいです。

アップトゥボーイ 2024年1月号

「気負いすぎないでね。」と声をかけたいところではある。

息衝く魂

かつて「22/7 割り切れないラジオ+」第146回(2023年3月18日)にて、「印象が変わった先輩メンバーは?」という質問に対する答えとして、宮瀬のことを以下のように評していた。

「"ぽわぽわ"したイメージ」→「芯の熱い青い炎

今となってみれば、これはまさに現在の四条を表す例えではないか!
背中で引っ張るスタイルもすっかり似てきた。
彼女がかつて憧れたその姿に、ごく自然に重なっていっている。

四条月

宮瀬推しだった人にも改めて注目してもらいたい存在である。

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