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【オリックス優勝おめでとう!!】データと感性で振り返る山本由伸の凄み

こんにちは、シュバルベです( ´ ▽ ` )

オリックス・バファローズ、優勝おめでとうございます!!

優勝の要因は数多くありますが、チームに最も貢献したのがエースの山本由伸投手であることに異論はないでしょう。

12球団最多の18勝をマークし、最多勝・最高勝率・最優秀防御率・最多奪三振・最多完封の投手5冠は史上8人目の快挙。球団新記録となる15連勝でレギュラーシーズンを終え、23歳にして球界最強投手の名をほしいままにしています。東京オリンピックでも2試合に登板、投手部門のベストナインに選ばれました。

今回のnoteでは、今年の山本投手の凄みを数字/投球内容/マインドの3つの面から見ていきたいと思います。

1. 数字で見る山本由伸

入団後~現在に至るまでの山本投手の一軍でのパフォーマンスは次のようになります。

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高卒2年目の2018年はリリーフとして1年間過ごし、2019年から先発ローテーションに定着。2桁勝利は今年が初めてでしたが、19年・20年も成績的には申し分ない成績を残しています。

今年の凄みとして、イニング数/奪三振能力/WHIPの3つを挙げたいと思います。

年間193イニングはこれまでのキャリアハイかつリーグトップ、直近5年でこれを超えるのは2018年の菅野智之投手(202イニング)だけです。山本投手は2019年に左腹斜筋損傷、2020年に上半身のコンディション不良で2年続けて終盤に離脱していましたが、今年は一度も離脱することなくオリンピックも含めてシーズンを完走することに成功しました。

4月は中5日ローテを組まれるなど負荷のかかるシーズンでしたが、年間投げる体力と負荷の少ないフォーム改良をオフに取り組んだことが今に繋がっています。6度の完投、うち4度が完封。素晴らしいの一言です。

今年オリックスは中継ぎ投手の温存も取り上げられ、シーズン終わって3連投無し・50試合以上登板は富山投手のみ、という優勝チームとしては驚異的な投手の登板コントロールを行いました。それを可能にさせたのは、先発投手が長いイニングを消化できたからであり、その筆頭が山本投手でしょう。1試合平均で7.4イニング消化しているため、彼が投げる試合は基本的に1人か2人のリリーバーでゲームが終わるのですから、これほど計算できる投手は早々いないでしょう。

次に奪三振能力についてですが、206三振はイニング数より多く、28.0K%は規定投球回到達者の中で2年連続トップ。次点が則本投手の26.0K%なので2%もの差をつけています。193イニングを投げてなお高い奪三振能力をシーズン通して発揮していることが純粋に凄いですね。

最後にWHIP(walks plus hits per IP/ 1イニング当たりの与四球+被安打)ですが、なんと3年続けて1.00を切っており今年はキャリアハイの0.85。与四球率が5.4%で被打率は.182ゆえにランナーが少なく、1イニングに0.85人しかランナーを出していないのです。この5年間の規定投球回を投げた投手で最も少ない値で、山本投手の突出した能力が良く表れています。

昨年までも十分な成績を残しつつ勝ち星は二桁に達しなかったため「無援護(笑)」と言われることがありましたが、今年は打線の援護もあり18勝。結果で外野を黙らせた姿は素晴らしいですね。

このようにどの数字を見ても今年の山本投手は圧倒的で、シーズン終了後にはMVPと沢村賞のタイトルを手にすることになると思います。まだ23歳と若くMLBスカウトからの熱視線も浴びていますが、オリックスにいる限りはエースとして君臨し続けるでしょう。

2. 投球内容で見る山本由伸

成績の次に今年の山本投手の投球内容を見てみましょう。球種構成は次のようになります。

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軸となるのは平均152.1km/hのフォーシームで、全体の40%を占めています。「きれいな真っすぐも、ぐにゃぐにゃの真っすぐもある。捕る瞬間に(軌道が)ズレるわけですよ。ミットの芯で捕ろうと思っても、最後にズレるから痛い…」(2021年8月8日付日刊スポーツより)とキャッチャーの若月選手が語っていますが、この球速帯で制球よく動かすボールというのはそら打てんわと思ってしまいますよね笑。

次に多いのは28%を占める平均144.5km/hのスプリット。スプリットの割合は昨年より6%も増えており、失点増減についてはwSF+27.2(Splitter runs above averageフォークによる失点増減の合計)で、異次元の数値のマネーピッチとなっています。ストライクゾーンからボールゾーンへ落とし空振りを取るスプリット、カウント球としてゾーン内に少し落とすスプリット、この2つを自在に操り打者を手玉に取りました。

左打者に対しても右打者に対しても有効な変化量の大きい縦割れのカーブが16%で3番目に多く、カウント球としても決め球としても良く使っているボールです。

ピッチングニンジャことRob Friedman氏もtwitterで紹介している魔球ですね。スポナビが組んだこんなYouTubeを発見したのでぜひ⤵︎。宮城投手も取り上げられています。

山本投手の更なる進化への試みとして、今シーズンは0.1%ですがチェンジアップが記録されました。

取り組み始めたのは2019年で、同年開催されたプレミア12でチームメイトとなったDeNAの今永昇太投手から教わったようです。2020年の春季キャンプでは次のように語っています。

「もっと余裕をもって抑えられるように、チェンジアップもあったほうがいいかなと。遅いボールも投げられたら、ストレートで空振りも取れる。ピッチングの幅が広がると思います。」

当時はまだ完成度に納得していないのか2020年シーズンでは記録されていませんが、2021年のオリンピック後の投球練習で習得に取り組んでいる記事が出ました。

試投したチェンジアップについては「2年くらい前から練習している。フォークボールとは球速が全然違うので、投球の幅が広がる」と説明し、「(完成するのは)そのうちですね。何でも練習です」と、常に進化を目指す山本らしいコメント。

今の持ち球でも十分すぎるほど結果を出していますが、さらに高みを目指し新しい取り組みをする貪欲な姿勢こそ山本投手の凄みでしょう。

3. マインドで見る山本由伸

昨年末、山本投手は21年に向けて次のように語っています。

防御率だけでなくて、とにかくすべてのタイトルを獲りたいです。それがチームのためにもなる。個人成績が良ければ、チームの“勝つ”という目標に貢献できると思うので。
2020年12月19日付日刊スポーツより)

この言葉通り、すべてのタイトルを総なめしたのが2021年の山本由伸投手でした。まさに有言実行、東京オリンピックに出たいという目標も今年達成し、ここまで充実のシーズンを送っています。

自身により高い目標を定め、それを言葉にし、なおかつその目標に向けて直向きに努力し結果を出す。それが山本由伸の流儀です。

球界屈指のエースが周りに与える影響は大きく、例えば高卒2年目の宮城大弥投手が「やり投げやブリッジ。全部、自分で何が必要かを考えてやっている。それで、結果も出ていて、影響力もすごい」(2021年8月21日付日刊スポーツ)と話せば、今年のドラフトでオリックス1巡目指名の椋木蓮投手は「ずっと(参考に)見てきたのが山本由伸選手。早く1軍に上がって一緒にプレーしたり、色々教わったりしたい」と話しています。

チームメイトは勿論、プロアマ問わず野球界で山本投手は注目される存在であり、目標とされる選手になっています。残すはクライマックスシリーズfinal stageと日本シリーズのみ。日本一の奪取に向けて山本投手が腕を振るのが楽しみですね。

4. さいごに

たまには簡潔にと思い、数字/投球内容/マインド、の3つに絞って記事を書いてみました。山本投手ぐらい凄すぎる選手だと、逆に書くことがないということがよく分かりました笑。だって、つべこべ言わず投げている試合を1試合でもいいから見てみろ、で良い訳ですよ笑。

フォームにしても、投げているボールにしても、周囲に与えている影響、そこから見える人柄とエピソード。誰がどこから見ても凄い投手なので、かつての大谷翔平選手と同様、いま日本で山本投手を観られることはとても幸せなことだと思います。

本noteを書くに際して山本投手についての記事を一通り読みましたが、今年はいつのタームで区切っても野球が楽しいというコメントで溢れています。いずれ海を渡りMLBに挑戦するのではないかと思いますが、山本投手のマインドなら凄い成績を残すのではないかと楽しみです(もちろんオリックスで黄金期を作る中核になり続けてくれるのも良いのですが)。

ただ、今年の優勝、そして平野佳寿投手がMLB挑戦後に再びオリックスに戻ってきたことは、仮に山本投手が海を渡ったとしてその後の進路にプラスの影響を大きく与えてくれるのではないかと思います。今年このメンバーで優勝できて良かった、私の印象です。

今年、山本投手が投げるのは順調にいけばあと3試合~4試合でしょう。セパ共に私の贔屓が優勝してしまった(お祭り)ため、まだまだ忙しいシーズンになりますが、常に全力応援です!ポストシーズンも楽しませてください!

■出典


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