見出し画像

【どこよりも詳しい】バファローズ新外国人ブレイビック・バレラ徹底分析

こんにちは、シュバルベです( ✌︎'ω')✌︎

12月17日、オリックス・バファローズは一気に3名の新外国人獲得を発表しました。ジェシー・ビドル投手、ジェイコブ・ワゲスパック投手、ブレイビック・バレラ選手です。

第1弾として、三振の少ないユーティリティープレイヤーという触れ込みの内野手ブレイビック・バレラ選手について書いていきます。

1.ブレイビック・バレラ選手の成績

ブレイビック・バレラ(Breyvic Valera)選手は現在29歳、180cm86kgのベネズエラ人で今年はトロント・ブルージェイズに所属していました。スイッチヒッターで、内外野多くのポジションで出場経験のある選手です。チームでは7~9番の下位打線に座っていました。

まずは今年のMLBでの成績を見てみましょう。

画像1

39試合に出場し打率.253。出塁率は.313と低く、ホームラン1本で長打率もそこそこの.356。97打席で12三振と三振は少なく、BB/K=0.67はまずまずです。7月18日に昇格し、9月30日までの約2か月間をメジャーで過ごしました。来日する外国人選手の多くが、その年の序盤にメジャー→怪我や不調でマイナー行き→リリースという流れを踏む中で、バレラ選手は逆にマイナー→メジャーと上がってきたパターンになります。

両打なので、右打席/左打席で差があるのかというところが気になるかと思うので、バレラ選手の左右別のMLB打撃成績はこちら。

画像5

両打席で打率は7分も違いますが、右打席の方が長打を多くはなっていることでOPSはほぼ同じになっています。打席数が全体で100に達していないので1打席の結果が大きく反映されてしまう不完全なデータではありますが、ちゃんと”スイッチヒッターとして”MLBの舞台を踏んでいることは分かりますね。

MLBでの成績は奮いませんでしたが、3Aではこのように好結果を残しています。

画像2

打率3割越え、出塁率4割越えでOPSは.800を大きく上回りました。BB/Kは1点台で、180打席19三振とやはり三振の少なさに目が行きます。本塁打3本を放ち、盗塁も7個決めるなどメジャー昇格も頷ける内容です。

バレラ選手のここ5年間の試合数/打率/出塁率/長打率/OPSはステージ別に次のようになります。

画像3

2020年にメジャー昇格が無く、マイナーは開催されなかったため出場試合0というのが悲しいですが、毎年3Aではしっかり成績を残すもMLBの壁に阻まれるというのを繰り返しています。MLBでは今年が出場試合数も成績も最も良いシーズンとなっており、バレラ選手は現在もフレッシュな状態であると言えるでしょう。

3Aでは安定して長打率.450前後を記録し、出塁率は年々上げてきているように、ボールへのアプローチが気になる内容ですよね?

以下でバレラ選手の打撃内容をみていきましょう。

2.ブレイビック・バレラ選手の打撃内容

2-1.ゾーン管理

バレラ選手の特徴の一つが三振の少なさであることは先の章の成績で見てきました。こちらはゾーン別のスイング率とコンタクト率です。

画像4

特筆すべきはコンタクト率です。今季、ストライクゾーンは92.3%と高いコンタクト率を記録しています。

NPBでゾーン内のコンタクト率トップはオリックス福田周平選手の96.2%で、それには及ばないまでも今のMLBで90%を超えるコンタクト率を19年も21年もマークしている点は期待が持てます。さらにボールゾーンでもコンタクト率80%以上を記録するなどとにかくバットに当てるのが巧く、三振の少なさの由縁となっています。

スイング率に着目すると、ストライクゾーン内では55%、ボールゾーンでは18%。NPBに当てはめると西川遥輝選手や福田周平選手に近しいスイング率で、待球型のバッターという位置づけになります。特に初球スイング率はなんと7.2%です。

カウントの浅い段階で来る甘いボールを見逃し、カウントが悪くなってから決め球を打つしかなくなってしまう、というのがMLBにおけるバレラ選手の凡退パターンになっています。例えばこちら。

逆に打てる時のパターンは、際どいボールをカットし、甘いボールを引き出してライナー性の低い当たりを打っていく形です。この2つの動画のようなケースです。

待球型という打者のタイプは変わらないでしょうから、どれだけ良いパターンに持っていけるかが活躍の鍵です。

続いて、ゾーン別の打撃内容を見てみましょう。

こちらは右打席と左打席での図表となります。左上から右下へ、そのボールを投じられた割合、スイングをかけた割合、打率、空振り率となっています。

画像8

<右打席>
ストライク/ボールに関わらず内角に多くのボールを集められましたが、ストライクゾーンのインコースおよび真ん中低めのゾーンは得意としています。外のボールは苦手としていて、スイングもあまりかけません。アウトハイのボールには無力なので、インコースに入ってくるボールを確実に狙うアプローチとなっています。
<左打席>
右打席とは異なり、投球ゾーンに偏りは見られません。やはり低めのゾーンを得意としており、左打席では外のボールに対しても踏み込んで逆方向にライナー性の当たりを打つことが出来ます。インハイのボール球は見極めが出来ておらず、スイングをかけても凡打に打ち取られてしまうウィークポイントです。

簡単に言うとローボールヒッターですね。

横のゾーン、高さによって得意・不得意は出ますが、ストライクゾーンでのアプローチはかなりよさそうです。この手の選手はランナーがいて投手の成約が多い時こそゾーンが絞れて結果が出やすいのですが、実際にバレラ選手はランナー無しでは打率.125な一方、得点圏では打率.296と乖離があります。

得点圏では平時より大きく打率を伸ばしていることで期待が持ててきました。

2-2.打球方向と打球の質

続いて打球に関する項目を見ていきましょう。

打球方向は次のようになります。

画像6

大きな偏りが無く、広角に打ち分けるスプレーヒッターと見て良いでしょう。実際に今年のMLBでヒットになった打球の落下点をプロットした図はこちら。

画像7

外野の頭を越す打球は極めて少なく、長打はライン際で3本。ヒットのほとんどは内野の間を抜けるか、外野手の前に落ちるかです。

それもそのはず、バレラ選手はバレル率が極めて低い選手です。今年のフェアゾーンに飛んだ77個の打球の内、バレルゾーンで捉えた打球は0。バレル率0.0%です。

※バレルゾーンとは、「打球速度が98マイル(約158キロ)以上なら26~30度、116マイル(約187キロ)以上なら8~50度で飛び出した打球」のこと

バレラ選手のデータを見てみると打球角度は15.3度で、打球速度は平均86マイル、最高速度105マイルとなっています。打球角度や平均速度は決して悪くないものの、内訳を見ると98マイル以上を計測したのは7回しかなく、そのうち打球角度が10度以上ついたのは1回しかありません。

95マイル以上の打球速度を計測した打球の割合をHardhit%という指標で見ているのですが、今シーズンのバレラ選手のHardhit%は19%。昨年来日したオリックスのラベロ選手が20年に30%、ロッテのエチェバリア選手が24%であることを考えると、それぞれタイプは違うとはいえ20%を切ってしまうのはやはり打球速度が出せていないと言っていいでしょう。

MLBで成功できなかったのは打球速度が上がらず、特に速いボールに対しての対応に難があったゆえでしょう(150km/h=93マイル以上のボールに対しては打率.100でした)。

3.ブレイビック・バレラ選手の守備・走塁

次にバレラ選手の守備・走塁について見ていきましょう。

守備に関しては各社報道でも内外野守れるユーティリティープレイヤーと言われていますが、実際どうなのかというところは気になるでしょう。

こちらがMLBでの各年のポジション別イニング数とUZRです。

画像9

MLBで外野を守ったのは2018年が最後で、2B・3Bが主戦場となっています。イニングが少ないので大きな話は出来ませんが、経験が増えるほどUZR上は数字が良くなっています。三塁に関しては今年140イニングでUZR+1.9という数値なので、比較的信頼は置けそうです。

マイナーリーグでの実績に目を移すと、三塁での出場が最多の76イニングですが今年も右翼での出場が34イニングあるほか、遊撃でも49イニング守備についています。ただ、マイナーリーグはUZRが計測されていないため、どれぐらい「守れているのか」については不明です。

実績としてはNPBでも三塁を中心にしてあげて、その他ポジションはオプションとして考えるぐらいの方がよさそうですが、宗選手がいるので悩ましいですね。

次に走塁面です。

盗塁に関してはMLBで今年1個決め、3Aでは7個決めています。しかし、マイナーで4つ盗塁死を喫しており、成功率に換算すると63%。19年は17企図し10回成功で58%。残念ながら決して盗塁は上手い方では無いと考えるべきでしょう。

4.ブレイビック・バレラ選手に期待すること

ここまでつらつらと書いてきましたが、大事なのはバレラ選手が来年どうオリックス・バファローズにフィットするかです。

MLBではスピードボールに苦しめられ、特に高めのコースを苦手としてきましたが、NPBの攻め方とはやはり異なります。高めのボールは未だに組立の主軸ではなく、球速面では開きがあります。三振が少ないという特徴はNPBでより発揮される可能性が高く、低め主体の攻めになる得点圏では一層期待が持てるでしょう。

長打をガンガン打つタイプではないので上位・中軸に置くのは厳しいですが、6番~9番に入れられれば相手投手にとって嫌らしい打順が組めそうです。

守備面では、天然芝×屋外球場のMLB・3Aから人工芝×屋内球場になるのでどうなるか読めません。ただ、オリックスは今季優勝したとは言え内野の層は薄くチャンスは多いと考えます。ショート紅林選手、サード宗選手の2ポジションは固めていくでしょうが、セカンド安達選手には定期的に休養が必要で、ファーストはレギュラー不在です。

一塁手としての打力は欠けている分、まずは二塁で安達選手と併用して使われるのかなと予想しています。高卒4年目の太田選手とキャンプから競争ですかね。

バレラ選手が一軍の内野ポジション争いに参戦することで、二軍の内野手には大きなプレッシャーを与えます。このオフに岡崎選手・廣澤選手が戦力外(廣澤選手は育成契約妥結」となり、大卒遊撃手候補の新人の野口智哉選手が加入したことで、二軍の内野争いは緊張感が増すでしょう。

今年優勝したとはいえまだ一軍と二軍の野手の力量差が大きく、常勝というには底上げが必要な中で、バレラ選手の補強はチーム活性化という点で良い材料になりそうです。

個人的なバレラ選手のKPIとしてはこんな感じです。

・一軍90試合出場
・二塁を中心にUZR±0
・打率.270、45打点
・BB/K=0.7

ちなみに安達選手は今季100試合出場し打率.259、18打点、BB/K=0.71。UZRはセカンドで-1.0でした。

推定年俸1億ということで、どうにか活躍して欲しいですね。頑張ってください!!

※第二弾、ジェシー・ビドル選手を書きました!

※第三弾、ジェイコブ・ワゲスパック投手も書きました!

こちらもぜひ!🙇‍♂️

■出典



この記事が参加している募集

#野球が好き

11,195件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?