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・結びの地意外と都会水まんじゅう 姫


2か月に1度の酒呑み句会。
今回も4名で。
岐阜の句友が大垣吟行を設定してくれた。

父方の祖父がこの地出身なのに、数えるほどしか訪れていない。

大垣駅に着くと、その足で夏の名物水まんじゅう屋へ。
夕方には売り切れてしまうので、粋な計らいだ。
さすが岐阜の連衆。

老舗のつちやさんの店内コーナーで、こしあんを透明な皮で包んだ、冷たい水まんじゅうを頂く。
甘味が苦手でも、スルッと喉を通る。
井戸水で冷やすのは、水都ならではの楽しい趣向だ。


英気を養った後は、大垣城へ。
ビル群を従えた、明るい平城だ。
天守の最上階に登っても、見えるのはビルばかり。
一角からようやく、伊吹の山並みが臨めた。

天守の1階に、立派な御殿箪笥があった。
これほど豪華ではないが、義母の形見の箪笥を愛用している。
義母の先祖は仙台藩に仕えていて、お下がりを頂いたらしい。

猛暑日。
水が恋しい。
水都だけに、城内の井戸水を汲むことができる。
市内各所に湧水スポットがあり、市民の日常に役立っているそうだ。
200年の歴史を含んだ味わい。


隣接の郷土館へ。
大垣藩家老の旧邸の正門と外塀を活用。
どっしりとした門を潜ると、眼前に枯山水の庭が広がる。
この意外感!

大垣祭りや合戦の歴史、城郭のジオラマなどを楽しみ、蕉翁結びの地へと向かう。


水門川沿い。
川を利用して、子供たちがサップ遊びをしている。
美濃街道の風情ある街並み、涼しげな運河。
風の間に間に揺れる柳。
絵になる風景だ。


芭蕉と曾良との2人旅の像の前に、奥の細道結びの地記念館がある。
旅の小道具、直筆の手帳などが感慨深い。

圧巻は奥の細道の再現ビデオ。
蕉翁と一緒に旅した気分になる。
東北の好きな私は、ことに嬉しかった。

蕉翁は大垣をこよなく愛した。
風光明媚で人情厚く、友人も多くいたようだ。
結びの地とは、終焉ではなく、縁を結ぶ地のこととか。
この地を訪れて、初めて実感した。

さて、ランチの場所がなかなか見つからない。
タクシーで駅に戻る直前に、隣り合う鮨屋を見つけた。


すし半へ。
昼休みに入るところだった。
普通の寿司ランチに中トロが。
握り6巻に細巻1本、たっぷりの天ぷら、茶碗蒸し、アイス…。

上質な逸品ばかりなのに、1200円とは!
名古屋の半値かも?
大将のおもてなしもいい感じで、再訪したいほど。

句作と句会は、駅構内のファミレスで。
短時間での作句、選句、披講にも慣れてきた。
吟行はいいな。

次回9月は、名港水族館へ。
楽しみ過ぎます。


御殿箪笥義母の形見や夏の城

ビル街の天守の一角遠青嶺

門入れば江戸の石庭青芭蕉

廃船に水都の影や夏柳

噴井戸や値千金炎天下

冷んやりと甘き湧水水都かな

蕉翁の矢立鈍色半夏生 

蛤はソールドアウト結びの地

結びの地に並ぶ江戸前鮨のれん

結びの地へ一万二千歩炎天下



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