【OAK】クリスティアン・パチェを放出
桜が咲きヒノキ花粉症で鼻水が止まらない季節となりましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか。そんなこの季節は、MLBでは開幕に向けての最後の選手の絞り込みが行われる時期。そうした動きの中で、数日前まであまり想像されなかった選手がチームを去ることになりました。
We've acquired RHP Billy Sullivan from the Philadelphia Phillies in exchange for OF Cristian Pache. pic.twitter.com/ajinSitao1
— Oakland A's (@Athletics) March 29, 2023
クリスティアン・パチェを放出
一級品のセンター守備を持ちながら打撃成績が残らず苦しんでいた元トッププロスペクトのクリスティアン・パチェがついに放出されました。
CRISTIAN PACHE!! pic.twitter.com/Sz5M9aqvdy
— Oakland A's (@Athletics) May 7, 2022
オフにはコッツェイ監督から名指しで「パチェにとっては次のキャンプは重要な春になるだろう」、スプリングトレーニング直前には「この春はほかの29球団に対してのパチェのショーケースという意味もある」といった発言があり、厳しい立場に置かれていたというのは周知の事実。一方でプレミアムな外野守備の一芸だけでもロスターに置いて打撃改善を待つ時間は与えられるという期待もありました。
Cristian Pache catches everything 🤯 pic.twitter.com/Tyuw5glfio
— A's on NBCS (@NBCSAthletics) April 20, 2022
何がダメだったか?
元々パチェはプロスペクトとして様々な評価媒体で|Hit 50 Power 50《平均程度には打てる》あるいはそれに近い評価をされていた選手です。何が今回の判断、そして昨年の不振につながったのでしょうか。
一つ目は拙いアプローチ。二つ目の課題にもつながるのですが、早いカウントからなんでも手を出してしまう傾向にあり、いい打球を打てないままストライクカウントが増え三振したり凡退したりする傾向にあります。
わかりやすい打撃アプローチの指標である三振率と四球率で見てみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1680138209158-JflA0GH7b0.jpg?width=1200)
少ない打席数ではありますが、今春は明らかに改善しています。理想的とまではいかないまでも昨年から比べると十分良くなっているのは間違いありません。
二つ目はゴロ率の高さ。先述の通り球を選ぶ能力に欠け、その結果として飛ばせるボールではないものを振ってしまう傾向にありました。バットに当てるのは下手ではないため、合っていない球を振ってうっかりインプレーに飛ばしてしまい、凡打を量産することもしばしば。MLB平均を大きく上回る42.5%の引っ張り率と58%のゴロ率がシフトの網にかかってBABIP.220という衝撃的な数値につながり、打撃成績を押し下げていたのは言うまでもありません。
こちらについては集計が面倒なためわかりませんが、大きく改善したわけではないものの球を選ぶことでより強い、そして角度のついた打球を打つことができるようになったと推測されます。これとシフト規制によってインプレー打球がヒットにつながる可能性が上がります。
INSIDE THE PACHEEEEE HOME RUN pic.twitter.com/ZFIjvrv2zG
— Oakland A's (@Athletics) April 14, 2022
なぜ開幕ロスターに入れなかった?
成績を下げていた要因がそれぞれ改善したにもかかわらず、開幕ロスターには入ることはできませんでした。その原因を考察してみましょう。
・そもそもロスターに入れるつもりはなかった?
元々このキャンプでほかの外野のレギュラー候補の競争相手として使い、その上で少しでもトレードバリューを上げることが目的だった可能性は否定しきれません。先に挙げたコッツェイ監督の発言も、今から思えばパチェをレギュラーで使うつもりはなく、元から文字通り「他球団へのショーケースとして試合に出す」という意図だったのかもしれません。
・自分たちにはポテンシャルをフルに引き出せないと考えて諦めた?
この可能性もなくはないと思っています。あくまでこのトレードは温情であると。ただ、そんなことをアスレチックスがするとは思えないというのが正直なところ。
一つ目に挙げた理由の可能性が高そうですね。
🚨 𝗣𝗔𝗖𝗛𝗘 𝗙𝗢𝗥 𝗧𝗛𝗘 𝗟𝗘𝗔𝗗 🚨 pic.twitter.com/O74i4ojDKn
— Oakland A's (@Athletics) April 16, 2022
対価について
トレードの対価は23歳のリリーフプロスペクトであるビリー・サリバンでした。正直言って、同じようにパチェとの交換だとして、キャンプ前やキャンプ中盤でも取れた選手だと思います。アスレチックスは開幕日までにパチェを急いで売却しなければならず足元を見られたと言っていいのではないでしょうか。(散々disっておいてですが、下で書いたとおりいい選手ではあります。)
サリバンは2020年にドラフト外FAでフィリーズに入団した選手。2017年の高卒時にはドラフト28巡目でフィリーズに指名されています。ダイナミックなフォームから力強い速球を投げるリリーフで、昨季はAAでプレーしました。特徴はその高い奪三振能力。入団以降どのクラスでも30%以上の三振率を記録しており、空振りの取れるいいボールを投げていることが伺えます。一方で課題は制球力。デビュー以降四球率が12%を切ったことがありません。
今季セットアッパーを務める見込みのザック・ジャクソンなど何人もの力強い球を投げる制球の悪い投手をものにしてきたアスレチックスですから、サリバンもクローザークラスまで成長しても不思議はありません。獲得後早速AAAに配置されましたので、昇格もそう遠くないのではないでひょうか。期待して見ていきたいと思います。
最後に
![](https://assets.st-note.com/img/1680143301336-QBZQOuuHNp.jpg?width=1200)
トレード先のフィリーズは最近打撃改造の成功例を多く挙げている印象です。陽気な性格から、熱狂的なフィラデルフィアのファンの心をつかむこともそう難しくないでしょう。また、右投手相手の打撃を特に課題としているパチェにとって、センターでプラトーン相手としてブランドン・マーシュがいる環境はオークランド以上にいいものかもしれません。守備に難がある選手を多く抱えるチームであることもあって途中出場の機会も多いでしょうから、この移籍をきっかけに一気に飛躍して放出を後悔する成績を残してほしいと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?