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ChatGPTは配信の視聴者になれるか? No

結論。
まだChatGPTは視聴者の代わりはできない。

以下本文。

先日ChatGPTに視聴者をやらせる配信をしました。

この配信は以下の2つのお話の影響を受けています。

1.配信者は喋り続けているべき論。
→それなら喋り続けられる「補助具」が要る。

2.ChatGPTは会話が得意なんだし、視聴者の役を務められるのでは?
→発信元を忘れました。思い出したら追記します。たしかVtuberさんのツイート。

では実際にやってみてChatGPTが視聴者の役が無理な理由
翻って人間の視聴者が普段気を遣ってコメントしてくれているかわかる事例を書いていきます。

1.説明したがる

ChatGPTは物事を説明したがる傾向があります。
具体例。

わたし「将棋は終盤で相手は片美濃囲いです」

GPT「片美濃囲いは非常に堅牢な囲いの1つですが、攻め手としては角を活用することが重要です。具体的には、相手の金銀が居玉に向かって並んでいる場合には、角を挟んで飛車を当てたり、飛車を降ろして相手の銀を狙ったりすることができます。また、相手の銀が端に寄っている場合には、飛車を端に回して銀を狙うこともできます。ただし、攻めすぎて自分の玉に危険が及ばないように注意しましょう。」

長い。

配信中にこれを読み上げられたときは何かと思いました。
また私は

必ず10字以内で返事をしてください。 私は将棋を指しています。

と指示していましたが、その指示を無視して182字で返してきました。
キレそう。

2.過度に質問してくる

私「以降、将棋のアドバイスをしてください。」
GPT「了解しました。将棋の局面を教えていただけますか?」

私「対三間飛車の対抗型です 以降必ず10字以内で返事をしてください」
GPT「了解しました。
角換わりや居飛車など、先手後手それぞれの駒組みによって異なる対策があります。局面をお教えいただけるとより具体的なアドバイスができます」

私「これは取りますか(独り言)」
GPT「局面がわからないため、どの駒をどこに取るのか具体的に教えていただけますか?」

以上のように大変鬱陶しいやり取りが発生しました。
これはChatGPT目線で見れば理解はできます。
ChatGPTはゲーム画面(将棋の画面)が見えていません。
となると私の発言から状況を想像し、返事をする必要があります。

しかし当然のように字数制限を無視している点、また配信の補助になるかという点で考えるとむしろ妨害していると言えるでしょう。

この辺、逆に人間の視聴者は過度に質問しないという事実が浮かび上がってきます。

3.反応に対し説明を求める

私「これから(駒を)もう切っちゃっていいよな」
GPT「申し訳ありませんが、ご投稿いただいた文面から何についてお尋ねいただいているのか理解できません。何かお力になることがあれば、お手伝いいたしますので、詳細を教えていただけますか?」

私「あーなるほど それで」
GPT「申し訳ありませんが、ご投稿いただいた文面から何についてお尋ねいただいているのか理解できません。具体的に何についてお尋ねいただいているのか、詳細を教えていただけますか?」

以上は私の独り言に逐一設定を求めるChatGPTの図。
ChatGPTとしては文章が流し込まれている以上反応せざるをえないので上記のような対応になっています。
理屈はわかりますが、やはりストレスの貯まる反応です。

逆に人間の視聴者はあまり意味のない配信者の反応に対してその説明を求めません。音声そのものは入ってきているのに「流す」ことが自然とできます。

番外.不正確な情報の連投

私「ライザーを召喚しました」
GPT「「ライザー」は、通常召喚できるレベル6のモンスターですね。攻撃力が高く、相手のモンスターを破壊することができるので、相手に圧力をかけることができます。また、「ライザー」の効果を使うことで、相手が罠カードを発動したときに罠カードを破壊することができます。自分の戦略に合わせて、「ライザー」を使い分けましょう!」

私「転回操車を発(動)」
GPT「「転回操車」の効果は、自分の手札をデッキに戻して、同じ枚数のカードをドローすることができますね。手札をリフレッシュすることができるので、デッキの強みを活かした展開をすることができます。相手の行動に合わせて、タイミングを見極めて「転回操車」の効果を使いましょう!」

私「ジャガーノート リーベ の効果発動しダイレクトアタック」
GPT「「ジャガーノート・リーベ」の効果は、通常モンスターを含む自分のモンスター1体をリリースして発動し、相手にダメージを与えることができますね。効果ダメージは相手のライフポイントを直接削ることができるので、相手の防御力や効果に左右されずに攻撃することができます。ただし、リリースしたモンスターを失うことになるため、リスクとリターンを考えて使い分けましょう。」

さて、これは遊戯王での実況の風景です。
一見噛み合っているように見えますが、問題があります。
ChatGPTが語っている情報はすべて間違っています。

これは良し悪しありそうです。人間の視聴者も間違いをするとChatGPTを擁護できなくはないです。しかし人間の視聴者なら間違いを指摘されたらコメント頻度が下がるとか、”人間らしい”反応が期待できますが、ChatGPTにそれは期待できません。
一応間違いを指摘すればChatGPTはある程度修正してきます。しかし逐一視聴者のコメントの間違いを指摘する配信者もそういないでしょう。配信の空気が悪くなります。この部分は「1.説明したがる」が根本的な原因で、説明が誤っているのは二次的なものでしょう。ですので番外として扱っておきます。

結論

以上の経験から、ChatGPTは視聴者の代わりになりません。
視聴者が少ない配信者や配信者初心者に勧められるものではありません。
絶対勧めません。

この配信の経験をまず私はこう振り返っています。

また、視聴者のコメントを雑に抜粋してみても

「将棋知識で饒舌になって命令無視するの笑っちゃう」
「このAIのクソリプ力が強すぎて勝てない」
「めっちゃ語るじゃん」
「クソリプ六冠くらいのリプ力を感じた」

等、視聴者の間ではChatGPTのコメントはTwitterでいう「クソリプ」であり、「場」から外れたコメントだと認識されていました。

技術情報

配信の読み上げには音読さん及びそのプラグインを使用しました。
音読さん

こちらの拡張機能を入れ、配信側に音声を流すようにすれば私の環境は再現できます。

以上のChatGPTの「欠点」を補う方法として、全部の言葉を拾わず1分に1回程度返事する等の、反応頻度を調整すればある使い物になるかもしれません。しかし現状、ChatGPTは人間の視聴者を代替できるとは到底思えません。

追記。

配信に使用したのはChatGPT3.5(ターボ)です。
理由は上記の通り大量にやり取りをするためです。

GPT4は使用可能ですが、執筆時点で3時間につき25メッセージの制限がかかっているので、配信の応答役としての使用は現実的ではありません。

プロンプト(命令文)を凝ればある程度解消しそうですが、難しい問題です。GPT3.5時点だとけっこうプロンプトを無視してきます。
もし「こういうプロンプトなら期待通りに動くのでは」と思いついた方はコメントしていただけると助かります。