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ウォーズ初段が3級まで落ちた件について


経緯

内容はタイトルの通りである。
将棋ウォーズという将棋アプリで段級位を落としていったお話だ。

軽く来歴を確認する。
2013年 将棋ウォーズ登録
2017年ごろ 初段

2020年ごろ 1級に降級

2023年5月ごろ 諸事情によりアカウントを再度作成
(詳細は末尾に)
2023年7月現在 3級から上がれない

理由

さて、なぜ3級から上がれないのか考えてみよう。
その前にみなさんに確認しておきたい。
将棋ウォーズで1勝で級が上がるのは何級までだっただろうか?

私もアカウント作成をやるまで忘れていたのだが、
それが5級までである。5級までは1勝すれば良い。
だが4級からは何度か勝たないと昇級できなくなる
これが私が昇級できない理由なのは簡単なお話。

ではなぜ私が過去、初段に上がれたかと言われれば対戦相手がそんなに強くなかったからである。ひどい言いように思えるが、仕方ない。たとえばこれは5年前の盤面だが、「ウォーズ初段」はこのぐらいの将棋で十分だった。

配信より。右四間で勝ち点を稼ぐ

しかし現在の将棋ウォーズ3級は右四間なんて通用しない
角道をあければ角交換四間、筋違い角、角換わりなど多様な定跡が必要になる。
つまり私が言いたいのは「最近のウォーズの級位(3-1級)強いね」なわけだが、なぜそうなるのか。
それは3級やその近辺で昇級が止まってしまった「猛者」がいるという読みである。

ここで同じ将棋サイトである将棋倶楽部24に目を向けてみよう。似たような問題が提起されている。

3点目(14級~初心者は全然初心者じゃない)は、24のレートがデフレにより年々厳しくなっているせいだと思う。本来、棋力が安定していればRも一定しているはずなんだけど、24のレーティング制度はおかしくて、(少なくとも初級タブでは)棋力一定ならRは下がる。そのため、現状R0に近い人は下りエスカレータを逆送しているように、頑張ってもなかなか上にいけないし、下手をすると下がってしまう。

R0が下限なので、いったんR0に達してしまうと、対局しても手合い違いばかりになり、ほとんど勝てない状態になる。連敗して面白い人はいないので、そういう人は辞めてしまう。すると、いままでR50ぐらいだった人が勝てる相手がいなくなって…… という悪循環が発生する。

将棋倶楽部24:レーティングデフレの原因について考える

将棋ウォーズのデフレは同時接続者の多さのおかげで将棋倶楽部24よりは「ゆるやか」と言えるかもしれない。24が本格派志向なのに対し、将棋ウォーズは時間は切れ負け、マッチングは自動、挨拶無し、反則手は指せないと一貫してカジュアルに将棋を指せる場として機能してきた。

しかしその前提をもってしても、時間が経てば「底」に「そこそこ強い人」が溜まることになる。将棋ウォーズの場合は3級が底であり、将棋倶楽部24は15級が底である。

私が弱いのでは?

さて、こういう話をすると真っ先に思いつく推測がある。
著者が弱くなった説である。だがこれに関してはいささか信憑性に欠ける反論だ。ざっと調べてみると私の棋力は2年間変化がない。これはこれでどうかと思うが、ウォーズ以外の場所、81dojoなどではそうなのだ。

81dojoのレーティングのグラフ

起点が2021年6月ということからわかる通り、だいたい2年のレート変動がこんなものである。現在私は1300のレートで、2年前よりは一応下がっている。ただしこのレートは直近の山の通り、指せば変動するレベルである。
何よりレート1388と1300の81dojoと、初段から3級に落ちる将棋ウォーズではあまりに差が大きいといえるだろう。

なお、この差に関しては答えがある。
81dojoで私は3級だが、これはすでに触れたウォーズ3級や将棋倶楽部24の 15級のような底ではなく、変動の中の一つだからである。

また81dojoの姿勢は興味深い。

一般に、オンライン対局場の利用者層がこのように同一棋力帯に集中することがありますが、そこに通常のレーティング計算式を適用しますと、同一棋力のユーザが幅広いレーティング範囲に分散し、両端でインフレーションとデフレーションが発生してしまいます。 当サイトでは通常のレーティング計算式に対して人為的な介入計算を加えることで、このようなレーティングの分散を防止し、同一棋力のユーザ層が出来るだけ同じレーティング帯に集中して留まることが出来るよう設計されております。これにより、初段~三段のユーザ層が極端に集中する状況下においても、レーティングのばらつきは小さく抑えられておりました。 しかしながら、同一棋力層の集中がさらに強まるにつれ、徐々に、狭いレーティング範囲内には抑え込めない状況となってきました。
(略)
この状況をふまえ、上の表のとおり、有段者のレーティング閾値をやや上方にシフトし、初段~四段までの幅を広げます。また、併せて、デフレーション防止設計がやや強く効き過ぎたことを考慮し、この効果を弱める方向にパラメータ修正を行いインフレーションの改善も図ります

81dojo 段位のレーティング閾値変更のお知らせ

このように「放置すればレーティングの両端はインフレとデフレが起きる」ことを前提に運営がなされている。

また主観的な話だが、私自身はじわじわ棋力を身につけてもいる。
ウォーズ初段当時と現在対応可能な戦型を羅列すると以下のようになる。

初段(2013年):原始棒銀、右四間飛車
囲い:矢倉、右四間用の即席囲い

3級(2023年):棒銀、右四間飛車、四間飛車、ゴキゲン中飛車、向かい飛車、三間飛車、雁木、角換わり
囲い:美濃囲い、エルモ囲い、舟囲い、雁木、銀冠、天守閣美濃、右矢倉、居飛車穴熊

さて、これも反論は簡単だろう。つまり序盤の手が広くなっただけで私は弱くなったのでは?という反論だ。しかし角交換に無力でも初段だったと書けば2013年のウォーズ初段がどれだけゆるかったかわかるだろう。当時の私は右四間、つまり「相手が角道を閉じて初めてできる戦法」以外ろくな戦法を覚えていなかった。ここに一定の強さを認めるのは無理がある。

何がいいたいか

いや、別にない……というのが本音ではある。私からすると「10年で”強さ”が変わってる! 面白い!」以外の感想はない。

ただこれ、古株将棋指しには思い出話として共有された方が良いと考えている。これは私の失敗だが「ウォーズで3級は大したことがない」と勘違いしていた。2013年ならいくらか説得力があったかもしれない。上記の通り、角交換されるとほぼ負けで初段になれたぐらいである。

だが、現在の3級は一通り序盤を知っていても簡単に連勝できない。となると「3級から上がれなくて困っている」と語る人の棋力が10年前はもちろん、数年前からも変わっていることは想定しなければいけない。

たとえば現在3級の私の将棋周りはこのようにまとめられる。
序盤:30冊ぐらい定跡書を読み、いくつかの定跡書は本を読まなくてもその手を指せる
中盤:『ひと目の手筋』などの有名手筋本は読んだし、実戦でも指せる
終盤:『3手詰めハンドブック』は読んだし、実戦でも指せる

なので私はかつて「ウォーズ3級なら原始棒銀の定跡を覚えればすぐ昇級できる」などとツイートした記憶があるのだが、もはやそういう時代ではないということである。
この辺は初心者や級位者を弟子とする有段者や大会運営をする人にはそこそこ価値がある情報ではないだろうか。

おわり。

アカウント再登録の理由は以下のNoteで。