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作品「愛のカメリア」「裏切りのカメリア」について。赤でも白でもなく...
椿には「罪を犯す女」という裏花言葉があります。
椿をモチーフにした作品を作りたいと思い、コレクション一つ目のメインに選びました。
花言葉の由来となったフランス小説が存在します。
1848年、アレクサンドル・デュマ・フィスによって著された「椿姫」はオペラでも有名ですが、原作は実話を元に執筆されています。
ざっくり言ってしまえば、
高級娼婦のマルグリットが
由緒ある家系のアルマンと恋に落ち
贅沢な暮らしを捨てて
真の愛に目覚めていくのですが
娼婦を軽蔑するアルマンの父に猛反対されてしまいます。
そして大事な息子を手放したくないという猛烈な懇願を受け
家族の関係を壊すのは辛いと
ついに心を決めアルマンの元を離れますが
事実を知らないアルマンは裏切られたと思い
ひどい屈辱を与え続けるという選択をします。
(ここのシーンが本当に辛い)
愛する人からの復讐に耐えながらも
本当は貴方だけを想い信じて待っていた
そんな僅かな希望は叶わず、病を悪化させたマルグリットは孤独の中死んでしまいます。
その知らせを受けたあとアルマンは真実を知ることになり後悔の念に苛まれるのです。
そうです。これ、
かなり切ない愛の物語です。
アルマンと出逢う前のマルグリットは
元々病を患っていたのですが
夜になると演劇や舞踏会に繰り出していました。
一月の内、25日間は白い椿、5日間は赤い椿を身につけていたため「椿姫」と呼ばれていたそうです。
マルグリットは自らをこう説いています。
"神経質で、病気で、惨めな女、あるいは明るく振る舞ってみせても、じつはその明るさのほうが逆に悲しみよりも惨めな女、血を吐きながら一年に十万フランも使ってしまう女"
あたしを愛するのはおやめになって?
それでもアルマンは、痛ましい生活の現実を忘れようと放蕩、酔態、不眠を繰り返すマルグリットに対し、哀れみを抱くと同時に恋心を止められませんでした。
商品として求めるのではなく
気の毒に寄り添ってくれる唯一の青年
いつしか二人の間に深い愛が芽生えていました。
悲惨な結末を迎えるなんて、知る由もありません。
今回の作品について
まず、忠実に白と赤の椿を作ってもよかったのですが、敬意を込めて背きました。
わたしも多少、堕落に憧れるから。
二色のどちらでもないピンク色の乙女椿をモチーフに選びました。
25日間と5日間のそれぞれの期間を表した作品(二つのカラー)には「愛のカメリア」そして「裏切りのカメリア」とタイトルをつけました。
相反するようなタイトルですが、密接に絡み合っていて美しいです。
初めは一つのカラーで展開する予定でしたが、
「天真爛漫さや純潔さ」
そして愛する人を思うが故の慎み
「惨めさや娼婦的な魔性」
そして裏切り女と恨まれ 死に際まで苦しんだ屈辱
そんな二つの顔、結末を合わせ持つ女性に心惹かれ、二パターン出すことに決めました。
ここまで残酷な話ではなくとも
人は言動で相手の気持ちを推し測ることが多いじゃないですか。
たちまち感情に支配されると
今開いているそのページ(場面)のみにのめり込んでしまう。
ナレーションやセリフが全てではないのを
忘れるものです。
その人の怒りや悲しみ裏腹な態度...
そのベールの中にどんな本心が隠れているのか、知らずに別れるのは切ないですね。
人を深く愛するということは
どう言うことなのでしょうね。
また、縄の先端を椿の中心で留めているのは、マルグリットの切ない口封じを表したかった為です。
(椿から涙が溢れそうな気がしてきました…)
磔にされるほどの重罪を犯した訳ではないのに置かれている十字架や、縄の張り方、ナイフフォーク、全て細部までこだわっていますので、
自由に妄想を膨らませ楽しんでもらえたらなと思います。
又、ここまで長くなりましたが、真実をお話出来たのか分かりません。ただのナレーションですもの。
もし意味を持たない作品であれば、誰かに存在理由を与えてもらうのを待っているかもしれません。
最後まで読んで下さり心から感謝いたします。
うねり
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