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フランチャイズに気をつけて

フランチャイズビジネス(FC)にはいろいろな業種がありますが、有名なものでいえばコンビニや飲食店、便利屋などでしょうか。業種は違えど、仕組みは同じです。

FCの概要についてくわしく知りたい方はググってください。この記事では、FC加盟店として経営してきた11年間の経験から、FCに加盟する前に知っておけばよかったと思う注意点をお伝えできればと思います。

本当にノウハウ持ってるの?

FCに加盟して継続的に運営していくためには、どのようなノウハウがあれば良いと思いますか? 飲食店であれば、食材仕入れやレシピ、現場作業マニュアルとその教育、損益試算や経費コントロールのノウハウなどです。その他、店内外に掲出するメニュー表や商品アピールのPOP等、看板などもありますね。これらのものは、運営するにあたって必要最低限なものです。

しかし、上記の運営に必要なノウハウは、最低限のものでしかありません。本当に必要なノウハウというか、FC本部が持っていなければならないものとは、売上を継続的にUPさせていくための施策です。

FCにとって最も重要なこととは?

売上をUPさせていくための施策というのは、一つだけではありません。FC本部が提供するサービスは、どのような立地が最適なのか。顧客層へ向けた新商品開発が継続的にできるのか。顧客へのアプローチが常にできているか。その他、販売促進の種類や、ブランドイメージ向上のための施作など、FC本部は常に売上UPに対する施策を実行して、売上UPを実現させないといけません(昨今の、コロナのような感染症の影響や、戦争その他の要因による物価高など、社会情勢の外的要因まで対処することは無理でしょう)。

では、FC本部はどのようにして、この売上をUPさせていくための施策を手に入れることができるでしょうか。それは、本部自体がトライ&エラーを繰り返して、自社サービスに関するビッグデータを蓄積するしかないでしょう。

FCは搾取型ビジネス

ということは、まずFC本部が直営店を運営して、データ収集をしていることが必要です。FC本部が本部機能しか持たず、実店舗がFC加盟店ばかりというのは、非常に危険であると思います。なぜなら、マイナスが発生した場合、ダメージを受けるのは実店舗を運営しているFC加盟店だけだからです。

本部機能しかないFC本部というのは、店舗運営にかかる経費を支払っているわけではありません。家賃や光熱費、仕入れや人件費など、その経費はすべてFC加盟店が負担します。さらに、加盟店が本部に支払うロイヤリティは売上に対して3%〜5%程度課されますから、店舗の収益状態に関係なく徴収されます

つまり極端な話をすると、直営店を持たないFC本部は全店赤字でも自社にダメージがないのです。一度FC契約を結んでしまうと、その契約期間が終了するまで搾取し続けられるという側面が、FC契約にはあります。

自由が効かないという落とし穴

FCにもよりますが、商品の開発権は加盟店にはありません。そもそも商品開発が自分でできるなら、FCに加盟することはないでしょう。飲食業で、商品開発ができる人は、絶対にFCをしないほうが良いと私は思います。

売上UPのために、自分のお店をPRしたいと思っても、メディアは取り上げてくれません。理由はいくつかありますが、まずFCであるというだけでその情報に独自性や目新しさがないことが挙げられます。

さらに、FC加盟店のオーナーに情報提供してもらっても、開発秘話やストーリーを得ることができないと判断されてしまうでしょう。

例えば、消費者としてテレビや雑誌にFCのお店が掲載された場合、その情報に興味が湧くでしょうか。すでにあなたが知っているFCだった場合は、いまさら感が湧いてしまい、その情報を発信したメディアへの好感度が下がる可能性すらあります。

FC本部が、メディアへ露出してPRすることはできますが、FC加盟店がメディアなどへアプローチすることは、無理なのです。せいぜいできることとしては、ブログやSNSで情報を発信することぐらいです。

提供するサービスやメニューは、本部から指示されたものだけ。自分でPRもできない。FC契約をすると、毎日決まったサービスを提供することしか、やれることがないのです。

それでも、コンスタントに利益がでているならまだマシです。FCで赤字店を抱えてしまうと、自分でやれることはありませんから、ただひたすらFC本部を信じて日々の営業をするしかありません。赤字になっても、指をくわえて営業するしかないのです。

FCにかかわる裁判沙汰は非常に多く、FC本部は裁判に備えた契約内容にしていきますので、一度FC契約をしてしまうと救済手段が残されていないと考えるべきでしょう。

多店舗展開は必須条件

店舗経営は、1店だけではオーナー店長として自分が現場に立って運営するしかないので、事業としては限界があると思います。やはり、事業として捉えるなら、多店舗展開をして現場を抜けた社長業をすることが必要になるでしょう。

多店舗展開を考えると、FC経営は非常に合理的です。なぜなら同じお店を数多く作り運営することに特化したビジネスだからです。

多店舗展開が、唯一FC加盟する利点だといっても過言ではありません。

ですから、1店目で失敗しないように、かつ多店舗展開できるポテンシャルをもっているのかどうかを、契約前に見極める必要があります。

FC本部の理念が利益構造の要

もう一つ注意すべきなのは、これは飲食FCに特に言えるのですが、飲食業しか経歴のないFC本部はマジでヤバい! ということです。

会社として店舗ビジネスを展開する場合は、各店舗に店長が雇われています。しかし、FC加盟店では店長というのは、独立した事業者であるオーナー、もしくはそのオーナーが雇った人が店長になります。

ということは、FC本部からみると、加盟店の店長は雇用契約しておらず、労働基準法の枠外になります。ですから、合法的にブラック企業のような働き方を、自己責任論のもと強要することができる構造になるのです。

特に、自分で飲食店を成功させた経験のある社長は、がむしゃらに働いて他店舗展開をしたことを、成功要因だと思っています。そのような社長がワンマン経営しているFC本部だと、上記の合法ブラックがいかにヤバいか想像できるでしょう。

売上が上がらないことで困っていても、本部からのアドバイスはさらに過酷に働くことしか提案されません。自己責任を押し付けられ、"毎日フルスイング"とか訳のわからない精神論で煙に巻かれます。

最後に

ここまで、FCについて否定的な私見を書いてきたのは、残念ながら私が失敗した側の人間だからです。

けれども、FCすべてを否定するわけではなく、ましてや、私が契約していたFC本部を批判したいわけでもありません。

ただ、FC契約前に本部から提供される資料は、成功事例しかありません。もしFC経営を検討しておられる方がこの記事に辿り着いたのなら、失敗した側の見解も知った上で、もう一度落ち着いて考えてみてください。

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