小説 マイ・スィート・コールド・ハニー
マイ・スィート・コールド・ハニー
1、
教室に四人の女の子が座ってる。
彼女たちこそは、何を隠そう“クッキーの会”のメンバーなのである。
いかに美味しいクッキーを作るか?
いかに形の美しいクッキーを作るか?
…なんてことは一切考えてる訳ではなく、ただのクッキー好きの女の子たちだった。
皆で放課後に集まって、クッキーを山盛りに作って、紅茶でも飲みながらおしゃべりして、もしゃもしゃクッキーを頬張るだけ。
“クッキーの会”はケッコー行動的だった。
“美味い”という評判の店には直ちに現場へ駆けつけた。
そして、ひたすらもしゃもしゃ食べる…
まるで餌場に群がる十姉妹のようにピーチクパーチクしゃべりながら。
そしてメンバーたちは、必ずその店のクッキーを一袋“自分のお家で食べる用”
として買って帰った。
美味しかったら、一袋でも二袋でも買って帰る。
メンバーの内のある一人は、しょっちゅう勝手に抜け駆けして自分だけのお気に入りの店を見つけては、他のメンバーには秘密にしておいて一人ほくそ笑んでる。
でも大抵はすぐばれる。
なぜかって、皆クッキーが好きだったから。
そんな秘密くらいアッという間に嗅ぎ出してしまう。
クッキーに関しては、まるで“セッター”並みの嗅覚の持ち主たちだったのだ。
さて、今日の会議ではどんな事が話されてることやら…
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