1.ビジネスで英語を使うということとはどういうことか(その4)常識や価値観の異なる人たちとのコミュニケーションであること

ビジネスでのコミュニケーションでは、単にお互いの意見や主張をぶつけ合うのではなく、お互いの意見や提案にある背景(なぜそのように考えるのか、なぜその様な提案をするという結論に至ったのか等)を理解することが必要なのです。
 
もちろんいつも全てがお互いに受け入れられるという訳ではありませんが、会議や交渉の場で、より実りのある結論を導き出すためには、こちらからはより丁寧な説明を心掛け、できるだけお互いの主張と背景を理解した上で、お互いに守るべき点は守り、歩み寄れるところは歩み寄り、妥協点を見出すことが重要なのです。
 
仮にあなたが海外の本社や外国人の上司に何か提案を行う場合、個々の案件において結果としての相手からの賛成や反対、条件付き同意や否定はありますが、それはその時のお互いの状況によって変わることもあります(例えば承認を受けて途中まで進んでいたプロジェクトが競合製品や通貨レートなど環境の変化でキャンセルになる等)。
こちらの提案が結果的には否定されることはしばしばあります。
でもその根底ではお互いに通じるものがあり、こちらの話を十分に良く聴いて理解した上での結論であれば、それは次に(たとえ案件自体の関連性はなくても)つながるのです。
ビジネスにおけるコミュニケーションとは一過性のものではなく、ある期間を経てのお互いの良好な人間関係の構築があって成立するものですからね。
 
自分がどういう人間かを相手に分かってもらい、相手から信頼を得、またこちらも相手の立場や状況を理解することが基本で、その上で意見を戦わせたり、交渉したり、説得したり(されたり)ということが、特にお互いのバックグラウンドが大きく異なる外国の人とのコミュニケーションでは大切なのです。

Fig 4)

ビジネスのための英語を習得する過程で、あるいは仕事の上で英語でのコミュニケーションを実践していきながら、この「相手との基本的な違いを個々の案件の中でどう解決するか」ということを、自分なりに時間をかけながら試行錯誤して身につけていくことが非常に重要です。
 
これは「学習」というよりは、実体験として色々な相手とのコミュニケーションを通して「体得」していくものなので、いわゆる「学力」とは一線を画します。
TOEICのスコアはどちらかと言うと「学力」としての英語力を示すもので、それは重要な力なのですが、『ビジネス英語力』つまり「ビジネスにおける英語でのコミュニケーション力」はある程度の時間を要して経験を積むことで培われていくものなのです。
 
そのトレーニング方法を一言でいえばOJT ( On the Job Training )と言うことになります。
学校等で「学習した英語」ではなく、仕事をする中で実際に英語を使ってコミュニケーションし、その経験を積んでいくのです。
 
あなたの身の回りや近い部署に上司に限らずお手本となる人がいる場合、その人の言動はかなり参考になると思います。
当初はそういうメンター的な(業務上指導や助言をしてくれる)人を参考にしながら、最終的には自分自身で色々な状況の中で英語を使っての外国の人との(コミュニケーション)業務を体験し、考え、判断し、解決したり結果を出すことで自分の力になるのです。
 
メンターに相談などはできると思いますが、いつも人の指示をうけて動いたり、人を頼るわけにはいきません。(まあ、これはどんな仕事でも同じですね)。
 
また、「単なる情報伝達」ではなく「価値感の共有」を達成するためには情報の「中身」と「伝え方」が問われます。
あなたが仕事を行う上での総合力が土台となり、その上に伝達方法(ツール)としての英語力がある状態があなたの『ビジネス英語力』ということになります。

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